仮想通貨にも所得税はかかる? 所得税率は最大45%

税金

「億り人」という言葉を知っていますか? 亡くなった人を弔うあの映画……ではなくて、資産運用で1億円以上稼いだ人のことを指す言葉です。
2017年は、ビットコインをはじめとする仮想通貨への注目が高まった年でした。急激に値上がりした結果、億り人も多数誕生したといわれています。
しかし、うまく利益が出ても、無計画に使ってしまうと、翌年、税金の問題に頭を抱えてしまうかも?

仮想通貨の利益も確定申告が必要!

私たちは、1年間に得た所得(収入から必要経費を引いた額)を税務署に伝え、税金(所得税)を支払わなければなりません。この手続きを確定申告といいます。

サラリーマンで、給与以外に所得がない場合は、会社が代わりに税金を計算して納税してくれるため、確定申告の必要はありません。しかし、その他の所得があったときは、自分で確定申告をしなくてはならない場合があります。

仮想通貨で儲かったときも、もちろん確定申告が必要です。基本的に、買ったときより売ったときの価格が値上がりしていれば、儲かることになります。
ただし、確定申告が必要なのは、値上がりした後に売って利益が出た(実現益があった)ときだけ。値上がりした状態(評価益・含み益)のときは不要です。また、利益が20万円以下の場合も確定申告は不要です。

たくさん稼ぐと一気に税額が増える!

確定申告は、毎年2月16日から3月15日(土日にあたる場合は翌週月曜日まで)の1カ月間に行います。前年の1月から12月までの所得を専用の用紙に記入し、そこから納める税金の額を算出します。
確定申告に必要な書類は、税務署などの窓口で手書きで作成することもできますが、国税庁のウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」を使えば、自宅でも簡単に用意できます。

仮想通貨の確定申告で問題になるのがその税額。実は先ほど紹介した所得には全部で10種類あり、どの所得なのかによって税額が変わってくるのです。

仮想通貨は今のところ「雑所得」という分類です。雑所得の税額(所得税)は以下の表のとおり、課税される所得金額に税率をかけ、控除額を引いた金額です。

所得税の速算表

国税庁:所得税の税率

なんと、仮想通貨の税額は所得が増えるごとに段階的に増え、4000万円超で45%にもなるのです。これに加えて住民税も10%かかります。億り人は、5000万円以上の税金を支払うことになったのです。

なお、株式投資や投資信託など、ほかの多くの投資の税額は一律で約20%。なんだかずるいと思われるかもしれません。

もしも申告しなかったら?

ずるいからといって、確定申告をせず、税金を納めないのは立派な「脱税」です。

確定申告の期限までに税金を納めないと、延滞税・無申告加算税・重加算税といった税金が加算されます。
加算される税金の額は日割りで計算され、どんどん増えていきます。お店で借りたDVDを借りたままにすると延滞料金がかかりますね。あれと同じようなものです。
ですから、万が一「忘れてた!」ということがわかったら、一日も早く確定申告を行うことをおすすめします。

さらに、所得をごまかしたり隠したりする悪質な脱税の場合は逮捕されることも。最大で懲役10年、罰金1000万円が科せられる可能性があります。

まとめ

仮想通貨の所得税額は現状、ほかの投資の税額よりも高くなっています。だからといって、税金を納めないのはNG。重い罰則が用意されていますから、ごまかしてはいけません。
仮想通貨の今後の値上がりに期待するならばなおさら、正しく納税するようにしましょう。

【参考文献】
「3000円を積み立てる仮想通貨入門」頼藤太希

頼藤 太希

(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント 中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。...

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