まだ少ない?日本で投資している人の割合は若年層を中心に増加傾向

まだ少ない?日本で投資している人の割合は若年層を中心に増加傾向
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iDeCoの加入対象者の拡大や、NISAの導入で「貯蓄から投資へ」と資産所得倍増を計画する日本。そんな日本では、今どのくらいの人が投資を行っているのでしょうか。今回の記事では、日本で投資している人の割合やその傾向について紹介します。預金では資産がほとんど増やせない現在。投資の割合を高めて、資産を増やしましょう。

日本で投資している人の割合

現時点で、日本で投資をしている人はどのくらいいるのでしょうか。また、世界ではどのくらいの人が投資を行っているのでしょう。

そもそも投資とは?

投資とは、利益を見込んでお金を出すことです。株式や投資信託などの購入が投資に当たり、教育や老後資金など将来必要なお金を増やすことに向いています。投資は、中長期的に行っていくことで複利の効果が期待できます。複利とは、投資資金を運用し、得られた利益にも利子がつくこと。投資期間が長いほど複利効果も大きくなり、投資による価格変動リスクも小さくなります。

日本は投資後進国?

「野村総合研究所」が25歳から69歳の男女を対象に行った「生活者1万人アンケート」によると、「日本で投資をしている人の割合」は、2021年の時点で21.1%でした。また、日本最大のモバイル専門調査機関「MMD研究所」では、15歳から69歳のスマートフォンユーザーを対象としたアンケート結果から、「いかなる投資も行っていない日本人の割合」は59.2%と発表しており、日本で投資を行っている人はまだまだ少ないことがわかります。一方、アメリカでは62.7%、中国では、74.2%の人が投資を行っているとしており、世界に目を向けると、日本は投資後進国といわざるを得ないでしょう。

若年層を中心に増加傾向

投資人口の少ない日本ですが、過去と比べると投資している人の割合は増えています。とくに若年層で増加傾向にあり、2018年と2021年の「野村総合研究所」のアンケート結果を比べると、25歳から29歳では、11.3%増の17.9%、30歳から39歳では、5.6%増の19.1%となっています。また、まだ投資はしていないが興味はあるという人も、若年層を中心に増加。そのため、今後も投資を始める人が増えることが予想されます。

積立投資の利用率が上昇

「投資信託協会」は、全国の20代から70代までの男女2万人を対象に「2021年(令和3年)投資信託に関するアンケート調査」を実施。現在、投資信託を保有している人の割合は、全国で28.9%であることを公表しました。また、投資信託を保有する人の「積立投資」の利用率が上昇し、全国で62.7%になっています。20代と30代では80%超。つみたてNISAの保有割合は、20代で61.3%、30代で54.5%となっており、長期・分散・積立投資への意識が広がっていることがわかります。

世界から見る日本人の投資傾向とその理由

若年層で意欲が高まりつつある投資。しかし、世界に比べると投資人口が少ないのが現状です。ここでは、世界から見る日本人の投資傾向とその理由について紹介します。

現金や預金の比率が高く株式や投資信託の比率が低い

「日本銀行」が公表する「資金循環の日米欧比較」では、各国がどのような配分で資産を保有しているかを見ることができます。

現金、預金の保有割合は、日本が54.3%、アメリカが13.3%、ヨーロッパが34.3%。日本は、アメリカやヨーロッパに比べ、現金や預金の保有比率が極めて高いことがわかります。

一方、株式、投資信託の保有割合は、日本が14.3%、アメリカが51.0%、ヨーロッパが27.8%です。アメリカは、現金や預金の比率が低く、投資に積極的。そのため、過去20年間のアメリカの家計全体の金融資産は、3倍以上にも増えました。

日本人は公の場でお金の話しはタブー

日本では公の場でお金の話しをするのは、タブーとされてきた歴史があります。そのため、「投資など、働かずにお金を稼ぐ不労所得を悪いもの」だと思っている人が、まだまだ多いのが現状です。一方、アメリカやイギリスでは、小さい頃からマネー教育が盛んで、さまざまな金融教育を受け、親子でもお金の話をします。このような違いが、投資人口に影響していると考えられます。日本では、2022年度にやっと高校の家庭科の授業に、資産形成の内容が追加され、株式や投資信託など、金融商品の特徴も学べるようになりました。

リスク回避・安全志向

株式や投資信託の比率が低いことから、日本人はリスク回避志向が強いことがわかります。日本人は、安全志向が強く、元金が変動するリスクのある資産運用に消極的です。金融商品で重視する点を聞いた「日本証券業協会」のアンケートでは、「いつでも出し入れができる」が47.5%、「元金が安全」が40.1%で上位にランクイン。金融資産を、より安全なかたちで保有したいと考えている人が多いことがわかります。また、「投資の知識がなく不安」という人が多いのも現状です。投資初心者ほど「知識がないと投資はできない」「ギャンブルと同じように損をするのでは?」などと決めつけて、投資のハードルを高くしてしまっています。

同世代はどんな投資をしている?

投資にはさまざまなものがありますが、多くの人はどのようなかたちで投資を行っているのでしょうか。「株式会社ヒューネル」が男女500人を対象に行った「資産運用に関するアンケート調査」では、「運用中の資産運用の種類」を調査したところ、1位は「株式投資」、2位は「投資信託」でした。1位と2位との合計が、全体の80%以上を占めています。

株式投資の特徴は、自分で銘柄を選んで投資できる点。株主になると、配当金や株主優待を受けられるのも魅力です。一方、投資信託は、運用のプロに投資を任せます。分散投資でリスクを減らせるため初心者にもおすすめです。

「資産運用でよく利用する情報源」は、金融機関もしくはそれ以外のWEBサイトやSNSという回答が多く、こちらも80%以上を占めています。投資初心者でも、簡単に情報を得られるので、まずは金融機関のホームページを開いてみましょう。

投資割合の決め方

投資を始めるときには、使う目的と時期を明確にしておくことが大切です。そこでポイントとなるのが、お金の色分け。貯金や収入などを確認し、お金を以下の3つに分類しましょう。

生活に必要なお金(そなえるお金)

「生活に必要なお金(そなえるお金)」とは、生活に必要なお金と、何かあった場合にそなえておくお金です。家賃や光熱費、食費など毎月かかるお金や、病気やけが必要になる治療費などが該当します。そなえるお金の目安額は、毎月の生活費の3か月から1年分。必要になったときにすぐ使えるよう、預貯金などで管理しましょう。

将来使う予定のお金(まもるお金)

「将来使う予定のあるお金(まもるお金)」は、使い道と時期が決まっているお金です。

子どもの教育資金やマイホーム、マイカーの購入資金などが当たります。「まもるお金」を投資に回すかどうかを考えるポイントは、使う時期。使う時期が近い場合は、預貯金で管理を、使う時期が先の場合は、投資に回しても良いでしょう。

使う予定のないお金(のこすお金・ふやすお金)

「使う予定のないお金(のこすお金・ふやすお金)」は、今ある資産や収入から「そなえるお金」と「まもるお金」を差し引いたお金です。他のお金に比べて自由度が高く、時間に縛りがないため、積極的に運用できます。投資に回して、資産を増やしましょう。

自分に合った運用方法で資産形成を

日本で投資をしている人の割合や、多くの人が運用中の投資の種類などを紹介しました。初めて投資をする場合、すべてを理解してから始めようとするとかなり時間を要します。まずは、貯金や収入などを改めて確認して投資割合を決め、想定されるリスクなどのポイントをおさえましょう。負担のない金額から始めてみるのがポイントです。

shipi

大学卒業後は、航空会社に勤務。 結婚後、FP3級を取得し家計のやりくりに努めています。

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