iDeCoの2022年改正ポイントを解説!老後資金の運用ルールはどう変わる?
自分でつくる年金制度として設けられている「iDeCo(イデコ)」は、2022年に3つの改正が行われます。加入できる年齢や老齢給付金の受け取り時期の拡大、企業DCとiDeCoの併用ができるといった変化は、私たちの老後資金形成にどのように影響するのでしょうか。この記事では、iDeCoの改正点についてくわしく解説していきます。
そもそも「iDeCo」とはどんなもの?
iDeCo(イデコ)とは、確定拠出年金法にもとづいて行われている、任意の私的年金制度です。個人型確定拠出年金とも呼ばれており、自ら申し込み、掛金を運用しながら資産形成を行うのが特徴です。
原則として60歳になるまで資産を引き出せないことから、老後資金の形成を図る方法の1つに位置づけられています。そのほか、2つの特徴もあります。
税制上のメリットが高い投資方法
資産を引き出す年齢に決まりがあるなど、iDeCoならではの制約はありますが、基本的な運用方法は一般的な投資と変わりません。しかしiDeCoには、税制上の面で次のような大きなメリットがあります。
【iDeCoの税制上のメリット】
・掛金は全額が所得控除の対象である
・運用で出た利益に税金がかからない
・受けるときにも控除が受けられる
例えば、毎月1万円をiDeCoで運用したならば、年間で2万4,000円の税金が軽減されます(所得税10%、住民税10%の場合)。さらに、一般的な投資ならば運用して出た利益には税金がかけられますが、iDeCoの運用益には税金がかからず、すべて再投資にまわすことが可能です。加えて、老後に給付を受ける際も、公的年金等控除や退職所得控除の対象となります。
このように、iDeCoに拠出したお金は、控除されたり非課税になったりとさまざまな優遇が受けられるのです。
働き方に左右されずに老後資金形成ができる
iDeCoは個人で行う私的年金制度のため、働き方を変えた場合でも老後資金形成が続けられます。「企業を辞めてフリーランスになる」「結婚や出産を機に一時仕事から離れる」など、会社に所属しているかどうかにも影響されにくいのです。
ただし転職する場合はこれまで、事業主が主体となる企業型確定拠出年金(企業型DC)との兼ね合いで、iDeCoへの加入が認められないことがありました。しかし2022年10月からは、企業型DCとiDeCoがより併用しやすくなります。 このため次の章も参考に、改正点についてしっかり理解しておくことが大切です。
2022年に変わる!「iDeCo」3つの改正ポイント
2022年4月に公的年金の制度が変わりました。これに伴いiDeCoも、2022年の4月と5月、そして10月に3つの改正が行われます。どのような変更があるのでしょうか。
改正点1.iDeCoの受給開始時期が75歳まで延長
これまでiDeCoで運用したお金を「老齢給付金」として受け取り始める時期は、60歳~70歳までの間で選ぶことができました。60歳で受け取ることもできれば、最大70歳まで資産運用を行うことができたのです。
2022年4月1日の改正からこの期間がさらに5年延長され、希望すれば75歳まで運用できるようになりました。これにより、老後もより多様性のある暮らし方を選択できるようになったのです。
こうした改正によるメリットはあるものの、iDeCoの運用には給付手数料や口座管理手数料が必要なため、延長が必ずしもプラスになるとは限りません。合理的に受け取るためには、退職金や公的年金などと組み合わせて、どのように受け取るか考えることが大切です。
改正点2.iDeCoの加入年齢が65歳未満まで延長
2022年5月1日からは、iDeCoへ加入できる年齢も延長されます。これまで60歳未満までとされていた加入年齢が、65歳未満までに拡大されるのです。年齢の拡大は、掛金を拠出できる期間にも影響します。
改正前までは60歳になると加入者資格が失効となるため、運用はできても元本を増やすことはできませんでした。しかし今回の改正により、所定の手続きを行えば64歳までは掛金の拠出ができ、元本を増やせるようになったのです。
これにより65歳になるまで働きたいと考えている方は、老後資産の積み増しや掛金を所得控除できるなどのメリットを得られるでしょう。
改正点3.本人の意思で企業DCとiDeCoの併用が可能に
これまで企業DCに加入している場合は、勤め先が所定の手続きをとっていなければiDeCoへの同時加入は認められませんでした。しかし2022年10月からは、本人の意思のみでiDeCoを利用するかどうかを選択できます。
企業型DCに自分で掛金を上乗せする「マッチング拠出」を行っている場合は、今後もiDeCoの加入は認められませんが、それ以外であれば併用が可能となるのです。まだマッチング拠出をしていない方は、iDeCoへの同時加入をするべきか検討してみると良いでしょう。