育児休業給付金|もらえる条件・金額・期間は?リアルな体験談も
「育児は尊い仕事である」という認識を広めるため、2022年6月に東京都は「育休」を「育業(いくぎょう)」と呼ぶことを発表しました。育業中に子育て世帯を金銭的にサポートする制度として育児休業給付金制度があります。給付条件や金額、期間の他に、筆者のリアルな体験談も紹介していますので、ぜひご一読ください。
育児休業給付金とは?
育児休業給付金とは、育児休業期間に雇用保険(国)からお金が給付される制度のこと。育児休業は母親に限らず父親も取得できると法律で定められています。東京都では父親の育児休業取得を促進するため、取得率の高い会社を「TOKYOパパ育業促進企業」に登録する制度を導入。男女ともに子育てしやすい環境づくりの取り組みが進められています。
育児休業給付金の条件
育児休業給付金をもらうには、どんな条件が必要なのでしょうか。2つの条件を解説していきましょう。
雇用保険の被保険者である
1つ目の条件は雇用保険に加入していること。配偶者の健康保険に扶養で入っている人や自営業者などは出産育児一時金のみの支給になります。
育児休業前の過去2年間の就業日数11日以上の月が12ヶ月以上
育児休業給付金の支給には過去2年間の就業日数が条件です。具体的には、就業日数が11日以上の月が12ヶ月以上である必要があります。または80時間以上就労した月が12ヶ月以上あれば構いません。
もし上記の条件を満たさない場合でも、該当期間中に育児休業を取得した、または申請者に疾病などがあれば受給できるケースもあります。
育児休業給付金の給付期間は?いつまでもらえる?
次に気になるのが育児休業給付金の給付期間です。母親と父親では給付期間が異なる点についてもくわしく解説していきましょう。
原則子どもが1歳になるまで
育児休業給付金の給付期間は、原則として子どもが1歳になる日を迎えるまでです。
条件に該当すれば子どもが1歳6ヶ月または2歳になるまで
以下の特定の条件を満たせば、給付期間が延長できることもあります。まず勤務先に相談してみましょう。
◇保育所などの申請をしているが、受け入れ先が決まっていない 子どもを預けるために保育所の申請をしていても、受け入れ先が決まらないときは1歳6ヶ月まで期間が延長されます。もし1歳6ヶ月になっても決まらなければ、2歳までの延長も可能です。 ◇就業・子育てが困難な状況にある たとえば… ・養育者が死亡、病気、怪我などにより子どもを育てることが難しくなった ・離婚により養育者が別居することになった ・新たな妊娠で6週間以内に出産する予定 ・新たな妊娠から産後8週間を経過していない |
母親・父親の給付期間は異なる
母親と父親の育休期間開始日が異なる点には注意が必要です。母親の場合、産後8週間は産後休業にあたります。育児休業給付金の支給は、産後休業終了から子どもが1歳を迎える日の前日までです。
一方父親の場合は、子どもが生まれた日から1歳を迎える日の前日までが給付期間にあたります。母親と父親が同じように出産日から1年間育児休業を取った場合でも、支給率が変わるタイミングは異なるので注意しましょう。支給率については次の項でくわしく説明していきます。
育児休業給付金の支給金額は?
育児休業給付金の給付期間は、原則出生日から1歳を迎える前日までと解説しましたが、一定期間を過ぎると支給金額が変わります。最初の6ヶ月間は賃金のおよそ67%、6ヶ月以降は50%に支給額が変わるのをおさえておきましょう。
次に具体的な計算方法を解説します。
育児休業給付金の計算方法
給付金額を計算するには休業開始時の賃金日額が必要になります。賃金とは手取り金額ではなく、残業・通勤・住宅手当などを含めた給与額面です。
・賃金日額の計算方法
賃金日額=産・育休開始前の6ヶ月分の賃金÷180日
・育児休業給付金の計算方法
育休開始から6ヶ月以内の支給額=休業開始時の賃金日額×支給日数(通常30日)×0.67
育休開始から6ヶ月以降の支給額=賃金日額×支給日数(通常30日)×0.5
≪毎月の賃金が15万円程度の場合≫
産・育休開始前の6ヶ月分の賃金合計が90万円の場合、賃金日額は以下のように計算します。
900,000円÷180日=5,000円
賃金日額をあてはめて計算すると下記のようになります。
5,000円×30日×0.67=100,500円
5,000円×30日×0.5=75,000円
つまり毎月15万円の賃金をもらっている人であれば、最初の6ヶ月間は毎月10万円程度、6ヶ月経過後は毎月7.5万円程度の給付金がもらえます。
支給額の上限・下限や支給限度額
2022年7月現在で、賃金月額の上限は45万600円、下限額は7万7,310円です。上限・下限額は毎年8月に見直された額が発表されるので、来年以降の支給額が気になる場合は厚生労働省のHPを確認したほうがよさそうです。
支給率67%の上限は、30万5,721円から、30万1,902円に。また支給率50%の上限は22万8,150円から22万5,300円とやや下がっています。
参考:厚生労働省「育児休業給付について」