押入れは使い方次第!収納率を上げられないなら効率的な活用を

押入れは使い方次第!収納率を上げられないなら効率的な活用を
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住宅の面積の中で収納が占める割合の指標に「収納率」があります。収納率自体はリフォームなどをしない限り上げることは難しいのですが、収納率が増えなくてもスペースの使い方次第で収納できる物量は格段にアップするのです。今回は押入れを例に、収納スペースの有効活用について解説します。

収納率とは?

収納率とは、住宅の総床面積に対する収納部分の比率です。分かりやすく言うと「間取り図の中で、収納部分がどれくらいあるか」ということで、ここでは容積は考慮せず面積で考えます。また、収納率は一般的に押入れやクローゼットのような高さがある収納スペースが対象で、キッチンの吊戸棚や洗面台下収納は含みません。

住宅の平均的な収納率は、マンションで約8~10%、戸建て住宅で約13~15%程度。収納スペースは大きければ大きいほど良い気がするかもしれませんが、スペースの大きさよりも有効活用できているかどうかのほうが大切です。収納しているものの出し入れはしやすいか、空間をムダなく使えているか、ということによって収納に対する満足度は違ってきます。

また、収納スペースを大きくした分、生活するスペースが狭くなることにも考慮が必要です。収納スペースが広くてもその分リビングが狭くなってくつろげないようでは、暮らしの満足度が下がってしまいます。

リフォームで収納率を増やせないなら?

家が片づかない原因のひとつに、物量と収納場所のアンマッチが挙げられます。収納しておきたいものの量に対して、明らかに収納するスペースが足りていないというケース。このような場合「ものを減らせないから、収納スペースを広げよう」と考えることも多いのではないでしょうか。

明らかに収納スペースが足りないなら、リフォームや増築で収納スペースを増やすことができます。しかし、大がかりな工事は簡単にはできないことが多いですし、賃貸物件ではそもそも工事をともなうリフォームなどはできません。

工事による収納スペースの確保が難しい場合、置き家具で収納スペースを増やす方法が一般的です。しかし収納家具を置いた分、部屋が狭くなるのがデメリット。トランクルームを借りて家の外に収納するという方法もありますが、費用がかかるのがネックです。

ここでもう一度着目したいのが、元からある収納スペース。収納率自体は面積で考えますが、高さのある収納スペースを容積で考えたとき、果たして「100%に近い活用ができているのか?」ということです。

収納スペースの空間を上手く活用すれば、間接的に節約にもつながります。例えば、家賃10万円で収納率8%の賃貸マンション。収納部分に、8,000円の家賃を支払っていることになります。収納スペースに収まらないものを置き家具に収納していたなら、8,000円のほかにも収納スペースに対して家賃を支払っているということに。その分、生活スペースも狭くなっています。生活スペースを確保するためにトランクルームを契約するとなると、さらに費用がかさむでしょう。

しかし、収納スペースを最大限に有効活用できたなら、その費用は抑えられるのです。例えば工夫次第で今の3倍の物量を収納スペースに納められたとしたら、間接的ではありますがかなり節約になるのではないでしょうか。

押入れの有効活用法と注意点

ここからは、収納スペースを有効活用するための具体的な方法と注意点をお伝えします。特に使いづらいとされている、押入れを例にとってご紹介しましょう。

元々布団を収納するスペースとして活用されていた押入れですが、ベッドの生活になり布団の収納に使っている家庭は少ないのではないでしょうか。筆者は整理収納サービスの仕事をしていますが、訪問先でも押入れを布団収納に使っている家庭は少ないです。また、そのまま収納として使うとなると「ものを置くと、上に空間が空いてしまってもったいない」「奥に入れたものが取り出しにくい」というお悩みも、クライアントから多く寄せられます。

大きな空間である押入れを有効活用するには、上下や前後に区切ることがポイント。押入れの高さを有効活用するには、棚や引出しを入れたり押入れ用のハンガーラックを入れてクローゼットとして使ったりします。

奥行きを有効活用するには、前後に区切って別のものを収納すると良いでしょう。奥に入れたものは取り出しにくいため、前後で区切る場合は箱やキャスター付の引出しなど移動させやすい収納用品を使うのがおすすめです。

奥行きがある押入れは、奥に入れたものが見えなくなるため、何を収納したのか忘れてしまう可能性があります。見えなくなって存在を忘れ、死蔵品になってしまわないよう注意が必要です。前後で区切って、奥には季節家電やクリスマスツリーなどを収納すると良いでしょう。扇風機やヒーターなど「必ず使うけれど頻度が低い」という基準で、奥に収納するものを選ぶとよいかもしれません。

筆者宅では季節家電のほか、家族の希望で「使うかどうかわからないけど残しておきたいもの」を押入れの奥に収納しています。例えば、ゲーム機やプラモデルが入っていた箱です。リサイクルショップやフリマアプリで売却する際に箱が必要なようですが、普段は使わないので家のどこかに保管してあればよいという類のもの。出し入れする必要がないため、使いづらい押入れの奥に収納してあっても問題ありません。

高さのある押入れに何も工夫せずものを置いたとしたら、活用できるのは大体高さの三分の一程度でしょう。それ以上積み上げると、下に置いてあるものは簡単には取り出せません。しかし、棚や引出しなどで高さを活かした収納方法にすると、かなり多くのものが収納できます。

クローゼットやパントリーであれば、元々付いていた棚板の枚数を増やすことで収納力がアップします。棚板はメーカーに注文するほかに、ホームセンターに元の棚板を持参して似たような板を探すこともおすすめです。棚板をカットしてくれるサービスがあるホームセンターもあるので、利用してみてはいかがでしょうか。

高さや奥行きを有効活用して収納力アップを!

リフォームや増築で収納スペースを広げることは簡単にはできませんが、押入れやクローゼットなどを有効活用して収納力をアップさせることは案外簡単です。収納スペースの棚板を増やしたり引出しや棚を入れたりして有効活用すると、生活スペースを圧迫していた置き家具も不要になるかもしれません。ものの見直しをして不用品を処分することも大切ですが、収納スペースの活用法についても見直しをしてみてはいかがでしょうか。

井手本 亜希

元・汚部屋住人で片づけのプロ。整理収納アドバイザー1級。 幾度となくリバウンドを繰り返したのち、思考と空間整理の資格「ライフオーガナイザー®」を取得。 モノ...

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