2023年提出分の確定申告は要注意!変更点をわかりやすく解説
そろそろ確定申告の準備をしなければ…と思っている人は多いでしょう。2023年提出分の確定申告には、いくつかの変更点があるので注意が必要です。
そこで今回は、どこがどのように変わったのかを分かりやすく解説します。この記事を参考にして、記入の際には漏れやミスがないように気をつけましょう。
確定申告Aが廃止となり単に「申告書」となる
2023年提出分の「令和4年度の確定申告」から、確定申告書Aの書式が廃止となります。令和3年度の確定申告までは、サラリーマンで医療控除の適用を受ける人や年金をもらっている人などは確定申告Aを使用していました。また、個人事業主や不動産を売却した人などすべての人は確定申告Bを使用と、それぞれ分けられていました。
しかし、令和4年度からはAとBの区別がなくなり、単に「確定申告書」として一本化されます。
これまで確定申告Aに記載していた人が令和4年度からの確定申告書を見ると、項目が多く、複雑に感じられるかもしれません。
しかし、確定申告Aは確定申告Bの簡易版ともいえる内容なので、Aで記載するべき項目は、すべてBの中に盛り込まれています。そのため、書式が変わっても記入する項目は基本的に変わりはない、と考えてよいでしょう。
なぜ書式が一本化されたのか、その理由は明確にはされていません。推察するに、これからますますデジタル化が進むにあたり、複数のフォーマットがあるよりも簡素化した方が、さまざまな手続きがスムーズになる…と考えられているのではないでしょうか。
第5表が廃止になり、第1表に「修正申告」欄が追加
2023年提出分からは、第5表が廃止になり、変わって第1表に「修正申告」欄が追加となります。修正申告とは、確定申告の期限後に、本来納付するべき額よりも少ない金額で納付してしまった場合に、修正して申告することです。
2022年提出分までは、修正申告する際は原則として第5表に修正前の所得及び税額、修正で増加となる額などを記入、第1表には修正後の所得及び税額を記入して提出する必要がありました。しかし、2023年提出分からは第1表に修正申告欄が新設され、そこに「修正前の第3期分の税額」及び「第3期分の税額の増加額」を記入するようになります。
第5表には一度提出した申告書と同じことを記入する欄がとても多かったので、「修正申告が面倒くさい」と感じていた人も少なくないでしょう。
しかし、第5表が廃止されることによって書類が簡素化されたので、修正申告にさほど時間を取られる恐れもなくなるはずです。とはいえ、修正はないに越したことはありません。確定申告を行う際は、ミスがないかしっかりチェックするようにしましょう。
雑所得も「収支内訳書」の提出が必要になる
白色申告である個人事業主は、確定申告の際に総収入額及び必要経費の内容を記載した「収支内訳書」を提出する必要があります。2022年提出分までは、収支内訳書は不動産所得や事業所得についてのみでした。しかし2023年提出分からは、一定の条件に当てはまる人は雑所得についても収支内訳書が必要となります。
一定の条件とは「2022年の所得税において業務にかかる雑所得を有する人で、なおかつその年の前々年分の業務にかかる雑所得の収入金額が1,000万円を超える人」となります。副業をしている人は、該当する可能性があるので注意が必要です。
2023年提出分の収支内訳書より、雑所得の区分が「公的年金等」「業務」「その他」に分けられるようになります。そのため個人事業主が事業所得とは別に収入を得た場合、雑所得として計上・申告しなければなりません。
たとえばネットオークションやフリマアプリなどで収入を得た場合は「業務」の雑所得に該当します。「業務」とは、副業の収入など、営利を目的とした継続的なもの、と定義づけられています。本業のほかにライターや家庭教師などを兼業している人も、当てはまります。
FXや暗号資産で得た利益は「その他」の雑所得として計上・申告しなければいけません。また、競馬などのギャンブルで得た利益は、一時所得となるため、こちらも申告が必要となります。