コロナで注目の雇用調整助成金を解説!個人の働き方はどう変える?
新型コロナウイルス感染症の流行によって、雇用や給与が安定せず不安が続く2020年~2021年。注目されているのが、事業主を助ける「雇用調整助成金」です。
本記事では、雇用調整助成金の仕組みや手続き方法などを解説。また、コロナ禍の今、改めて見直したい「給料が減額された際の個人の働き方」についても考えていきます。
雇用調整助成金って何なの?仕組みを学ぼう
まずは、雇用調整助成金がどんなものなのか確認していきましょう。
雇用調整助成金とは?
雇用調整助成金とは、経済的な事情により事業活動を縮小または休業せざるを得なかった事業主に対し、国が休業手当などの一部を助成する制度です。
雇用調整(休業)だけでなく、従業員を出向、職業訓練させた場合も対象となります。
雇用調整助成金は、あくまで企業に向けたものです。
従業員の雇用維持が目的のため、個人(従業員)に直接、この助成金が支払われることはありません。
しかしこの制度は、企業が従業員に支払った休業手当や賃金などの一部を助成するものなので、間接的に個人に関わる制度ともいえるでしょう。
雇用調整助成金の支給対象事業主の条件とは?
雇用調整助成金の支給対象事業主は、以下のような条件、要件を満たす必要があります。
・雇用保険の適用事業主である
・雇用調整を実施している
・必要な書類を整備、保管、提出できる
・労働局などの調査を受け入れられる体制をとっている
・生産指標(※)、直近3カ月の平均値が、前年度より10%以上減少している
・雇用保険被保険者数(または派遣労働者数)の直近3カ月の平均値が、前年度より一定数以上増えていない(中小企業は4人以上かつ10%以上、その他の企業は6人以上かつ5%以上)
・事業主が提出した労働協定に添った、休業、出向、職業訓練がされている
その他にも、暴力団と関わりがある、支給申請日、決定日に倒産している、労働保険料を滞納しているなど、助成対象外となる条件がいくつかあるため注意しましょう。
(※)生産指標…雇用数の変動の影響を受けて変化する数値のこと(生産量や販売量、仕入れ量など)
支給期間はどうなっているの?
雇用調整助成金の支給期間は1年間です。
ただし、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業主の助成対象期間は、2021年6月30日までとなります。(※休業日の初日が2020年 1月24日~2020年6月30日の期間内の場合)
緊急対応期間中の雇用調整助成金の特例措置とは?
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業主に対し、2020年4月1日~2021年4月30日までを緊急対応期間とし、特例措置が講じられました。
主な変更点は以下の通りです。
<通常の雇用調整助成金>
対象者:経済的な事情により、事業活動が縮小または休業せざるを得なかった事業主
対象の従業員:被保険者
生産指標数減少率:3カ月10%以上
助成率:中小企業 2/3、大企業 1/2
日額上限:1人当たり8,370円
その他の条件:事前に計画届の提出が必要。また、支給期間が終了後、1年経過しないと再度申請できない。
<特例措置>
対象者:新型コロナウイルス感染症の影響を受けた全事業主(業種問わず)
対象の従業員:雇用保険被保険者でない労働者も対象(パート、アルバイトなど)
生産指標数減少率:1カ月5%以上
助成率:中小企業 4/5、大企業 2/3(雇用維持した企業は助成率が10/10になるケースもあり)
日額上限:1人当たり15,000円
その他の条件:計画書、1年間の申請待ちが要らない。
この他にも、いくつか変更点があります。詳しい内容は、厚生労働省のホームページで確認しましょう。
続いては、雇用調整助成金の申請方法を見ていきましょう。