【2022年最新版】日本人の平均給与はいくら?年収400万円台は全体の何%か

【2022年最新版】日本人の平均給与はいくら?年収400万円台は全体の何%か
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物価は上昇するのに、日本人の給与はなかなか上昇しないと言われます。物価が上昇するのに給与がそのままだと、その分買えるものが減り、生活が苦しくなることに……。実際のところ、日本人の平均給与はいくらなのでしょうか。そして日本人の給与は今後上昇が見込めないのでしょうか。

今回は、日本人の平均給与のデータを解説します。

日本人の平均給与は443万円

日本人の給与についてまとめたデータに、国税庁の「民間給与実態統計調査」があります。これによると、2021年の日本人の平均給与は443万円となっています。

会社員の平均給与の推移(2000年〜2021年)

国税庁「民間給与実態統計調査」(2021年)より(株)Money&You作成

2000年代、平均給与は年々下落傾向にありました。さらに2009年には2008年に起こったリーマンショックの影響で大きく下落。平均給与は406万円となったのです。

2010年代は一転して緩やかな上昇傾向が見られたものの、2019年・2020年と2年連続でダウン。しかし2021年は3年ぶりに上昇に転じ、443万円となっています。リーマンショック後でみれば最高額、という見方もできなくはありません。しかし、平均給与が3年ぶりに上昇に転じたといっても、依然として2000年の水準を回復していないことも事実です。

ここまで見て、「平均給与に届いていない…」という方がいても不思議ではありません。そこで、男女別にもらっている給与額の割合を確認してみましょう。

給与階級別給与所得者の構成比

国税庁「令和3年分民間給与実態統計調査」より(株)Money&You作成

平均給与は443万円ですが、実際に400万円超500万円以下の給与をもらっている人は男性16.9%、女性18.0%しかいません。むしろグラフからわかるように、400万円超500万円以下よりも給与が少ない人が多いのが実態です。500万円以下の人だけでカウントすると、男性は55.1%、女性は87.1%もいます。

平均給与はあくまで平均で、平均は一部の高給取りの人が押し上げてしまうのです。実際、男女別の平均給与も男性545万円、女性302万円となっているのですが、上のグラフと比べると、違和感のある方が多いでしょう。

また、正社員(正職員)の平均給与は508万円、正社員(正職員)以外の平均給与は198万円と、正社員(正職員)か否かでも大きな開きがあることがわかります。実は前年の民間給与実態統計調査では正社員(正職員)は「正規」、正社員(正職員)以外は「非正規」と分類されていました。そのため参考値ではありますが、正社員(正職員)の平均給与は前年比+2.6%、正社員(正職員)以外の平均給与は前年比+12.1%の伸び率となっています。

日本の平均給与はG7最下位……

そんな日本の平均給与は、世界と比べてどのような位置にあるのでしょうか。OECD(経済開発協力機構)のデータによると、2021年の主要国の平均賃金は次のグラフのようになっています。

OECD各国の平均賃金(2021年・ドル換算)

OECDのデータより

平均給与がもっとも高いのは米国で約7.4万ドルです。それに対して日本はというと、OECDの平均よりも少ない3.9万ドルで、G7諸国(アメリカ・ドイツ・カナダ・イギリス・フランス・イタリア・日本)の中でもっとも少なくなっています。OECD34カ国中、24位です。

さらに、G7諸国の1990年以降の平均給与の推移を見てみましょう。

G7諸国の平均給与の推移

OECDのデータより(株)Money&You作成

日本のグラフは、イタリアと同じようにほぼ横ばい。視覚的にも、日本の平均給与はこの30年ほど、ほとんど増えていないことがわかるでしょう。実際、1990年(ドイツは1991年)と2021年の平均給与の増加率をチェックすると、

・アメリカ +53.2%
・イギリス +50.4%
・カナダ +38.2%
・フランス +35.5%
・ドイツ +33.7%
・日本 +6.3%
・イタリア +1.2%

となり、ほとんど増えていないことがわかります。

日本人の平均給与がここまで増えない理由は、さまざまに取りざたされています。

経済が成長していないから

日本は世界第3位の経済大国であることは間違いないのですが、国のGDP(国内総生産)の成長率は低迷しています。中国に抜かれたのは2010年のことでしたが、今やその中国とも大きな差がついています。このままでは、3位の地位も危ないかもしれません。経済が成長しない以上、給与をあげにくいというわけです。

30年にわたってデフレが続いたから

バブル崩壊後の「失われた30年」とも呼ばれる長い不況の中で、物価が上がらないデフレ(デフレーション)が続きました。デフレ下では、ものの値段が下がってしまうので、給与をあげることができなかったという意見もあります。

雇用の維持が優先されているため

日本では長らく「終身雇用」「年功序列賃金」が続いています。終身雇用・年功序列は長く働き続ける高齢社員にはありがたい制度かもしれませんが、会社が利益をあげなくても高い給与を出す必要がある、若手に給与を出しにくいなどの問題もあるとされています。

企業の生産性が低いから

日本企業には、無駄が多いといわれることがあります。本当に必要な仕事をしないで、不要な会議を開いたり、山のような書類を作ったり、デジタル化が遅れていたりするため、企業の収益が上がらず、給与をあげることができないという意見もみられます。

賃金の安い非正規雇用が増えたから

不況などによる就職難などを背景に、正社員以外の形態で働く非正規雇用者が増加しました。上記でも紹介したとおり、非正規雇用の給与は正社員に比べて低く、上昇もしにくいため、給与があがらない、と考える人もいます。

さらに、給与があがっても、それに伴って税金や社会保険料も増えます。そのため、年収が増えても手取りの金額はそこまで増えない…という問題も抱えています。

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高山 一恵

(株)Money&You取締役/ファイナンシャルプランナー(CFP) 2005年に女性向けFPオフィス、株式会社エフピーウーマンを創業、10年間取締役を務め...

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