ハロウィンの経済効果はどれくらい?
まもなく秋真っ盛り・・・読者の皆さんは、10月のイベントと聞けば何を想像するでしょう。多くの方が「ハロウィン」のあの、お化けかぼちゃをイメージしたのではないでしょうか。
イベントなどで街が賑やかになると、動くのが「マネー」。
今回は、すっかりイベントの定番となったハロウィンの経済効果について考えてみたいと思います。
1,300億円の経済規模は、SNSが支えている!?
実はハロウィンは、ここ10年以内で市場規模が急激に拡大しています。
一般社団法人日本記念日協会の調べでは、2011年に560億円規模だったものが、3年後の2014年には、およそ2倍の1,100億円規模になり、その後も拡大を続け昨年2017年には、1,300億円規模で推移しました。
これは2018年に1,300億円だったバレンタインの経済効果と、肩を並べたことになります。
図:筆者作成
なぜこれまでに、一つのイベントが急成長を遂げたかと考えると、筆者はその理由に「SNS」があると思います。
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(=SNS)はクリスマスやお正月など、家族や恋人間などのプライベート色が強いイベントより、大勢で集まってのイベントの方が、投稿しやすく、人数が多いほどその拡散力も強まるわけですから、ハロウィンには打って付けでしょう。
重ねて10年前といえば、急速にSNSが普及し出した時期と重なります。
もともとハロウィンは「悪魔祓い」の意味で、宗教的な行事であったそうですが、近年アメリカで民間行事として定着しているように、日本でも同様のイベントとして親しまれている背景があります。
ただ異なるのが、イベントでの主役です。アメリカでは、子供が仮装して「Trick or treat(トリックオアトリート、お菓子をくれないといたずらするぞ)」と、大人にお菓子をもらい歩くのがよく知られていますが、日本ではどちらかというと10代後半~30代の若者が、街中で仮装し、騒いでいる光景が浮かびますね。
イベントの主役が働き手の世代であれば、彼らの消費を刺激することで経済効果を増やすことができます。また、子供でもターゲット年齢が限定されている卒業・入学や七五三に比べて、親に(パーティーとしたり、家の飾りつけをしたりと)その気があれば、誰でも対象となりえるハロウィンは、こうして急速に年間の恒例行事として、普及していったのでしょう。
クリスマスに学ぶ、柔軟な文化の受け入れ
とはいえ、年間トップクラスで経済効果のあるイベント、クリスマスと比べると、経済規模は足元にも及びません。その額なんと、7,000億円。クリスマスがいかに「行事」として日本人の生活に浸透されているかが汲み取れます。
クリスマスがキリスト生誕を祝う本来の意味から、家族や恋人など大切な人と時間をすごす日へと、宗教と時代を柔軟に超えてきたように、ハロウィンも本来の目的に固執するのではなく、周囲の人と楽しいときを過ごすイベントへと、変化してきました。
特定の宗教を信仰していない無宗教の人口比率が高い日本だからこそ、寛容に他国の文化を受け入れ、また自分たちのスタイルに合うよう変化させながら楽しむことができたのかもしれません。
とてもすばらしいことだと思います。
まとめ
ハロウィンの経済効果や背景を考えると、私たちの暮らしの変化や民族性までもが見えてくる・・・一つの経済指数から学べることは、経済という枠を超えるのですね。