仮想通貨マルウェアを駆除する「正義の」ボットネット
ボットネット(マルウェアに感染し乗っ取られたコンピューターのネットワーク)が、ここ数年勢力を拡大し続けています。アメリカの国土安全保障省でさえ、自分達では手に負えず善良なハッカーに助けを求めるほどです。
ボットネットは時には数千台規模となり、大量のスパムメールの送信や、DoS攻撃を行います。その結果、攻撃を受けたサイトは応答しなくなります。
2017年には、数百万台のコンピューターが乗っ取られ、仮想通貨を勝手にマイニングされるという事件もありました。
ボットネットの中でも特に有名なのが、ビットコインをマイニングするために家庭用オンライン機器を乗っ取った「Mirai」です。Miraiは非常に感染力が強く、わずかな時間で数千台の機器が感染しました。
このように、ボットネットというと悪い印象ばかりです。しかし今、この常識を打ち破る新たなボットネットが登場しています。
セキュリティ調査企業のNetlabがこのボットネットを発見し、「Fbot」と名付けました。 これは「ADBminer 」という仮想通貨マイニング用のソフトを改造したもののようです。
このボットネットに感染したコンピューターからは、「com.ufo.miner」という別の悪質なマルウェアが駆除されます。そして他に何かしいてる形跡はないのです。そのため、本当に善良な目的で作られたのだと考える人もいるほどです。
しかし見えないところで何かしているのかもしれません。あるいは何か他の計画があるのかもしれません。自分たちの攻撃の邪魔になるライバルのマルウェアを除去しているだけだという可能性もあります。
ボットネットの運営には時間も労力も資金もかかり、他の人を助けるためだけに活動しているとはにわかには信じられません。
真実は分かりませんが、これは恐らく、他のマルウェアを駆除する世界初のボットネットでしょう。今後ますます注目を集めるに違いありません。