経済成長率が悪い時期、株式投資はどのようなスタンスで取り組むべき?
株式投資に取り組む場合、経済成長率は大切な指標です。一般的に、経済成長率が上昇することは景気がよくなることを表し、逆に下落すれば景気が悪くなっていることを表します。
株式投資で利益をあげるには、安く買って高く売るのが基本。将来に向けて経済成長率が上昇すれば株価が値上がりし、利益を大きくすることが可能です。
では、コロナ禍に見舞われている今、株式投資はどのようなスタンスで取り組めばよいのでしょうか。
2020年の経済成長率は下落の予想
まず、経済成長率について確認しましょう。経済成長率とは、経済がどのくらい成長したのかを表す指標です。
経済成長率を見るには一般的に、GDP(=Gross Domestic Product)を使います。GDPとは、国内総生産ともいい、国内で新たに生み出されたモノやサービスの総額を指します。高い国ほど、多くのモノやサービスに囲まれた生活をしていると言えるでしょう。
そのGDPが、たとえば前年は100兆円、今年は105兆円であれば、「1年で5%プラスの成長をした」、と経済成長率が計算されます。
実際の経済成長率は、先進国地域ではそれほど大きくはなく、2019年はプラス1.7%でした。アジアの新興国や発展途上国では、2019年はプラス5.5%でした。そして、世界の経済成長率はプラス2.9%。経済は着々と成長しています。
これらの数字は、IMF(国際通貨基金)が発表しており、2019年の日本の経済成長率はプラス0.7%でした。
しかし、2020年は、新型コロナウイルスの影響により大幅に下落する予測がなされています。
外出自粛で旅行や出張をする人がいなくなり、宿泊業や飲食業は大きな打撃を受けています。今後の回復のペースによっては、ダメージがさらに広がる懸念もあり、マイナス成長は避けられないと考えられているのです。
IMFはコロナウイルスの影響のため、2020年4月に下方修正した経済成長率の予測を発表しました。
それによれば、2020年は先進国全体ではマイナス6.1%、日本ではマイナス5.2%の成長率になるとのことです。新興国や発展途上国にも感染は広がりを見せていますが、経済的な影響は先進国に比べれば限定的であり、世界全体の成長率はマイナス3.0%との予測です。
株価は景気に先んじて動く
経済成長率がマイナスということは、景気が悪く、株価は下がり、経済は停滞するということにつながります。実際、緊急事態宣言が出される直前の2020年3月19日には、日経平均株価が年初来の安値、1万6,552円になりました。
2020年の1月には2万3,000円以上あった日経平均株価が、コロナ禍の影響を受けて3月上旬には2万円を割り込み、一気に値下がりしたのです。
しかし、それから株価は上昇に転じ、3カ月後の6月には、2万3,000円以上にまで回復しています。経済成長率はマイナスにも関わらず、なぜ株価が上がったのでしょうか。
理由は、主に2つです。
ひとつは、金融政策・財政政策の効果。そしてもうひとつは、株価は景気に先行して動くものだからです。
金融政策・財政政策は、日本だけではなく各国で行われています。そのため金融市場にはお金が出回り、行き場を求めた資金は株式市場に流れ込んだ結果、株価が上がっていったと考えられます。
また、株価は景気の先行きを表す傾向にあります。
なぜなら、投資家は株価が上がりそうなら買いますが、同様に考える投資家が多ければさらに株価は上がります。逆に下がりそうなら売りに出て、株価はさらに下がります。
つまり、「これからどうなるか」という未来を予想して売買されるので、株価は景気の先行指標とも言えるのです。
3月に年初来の最安値をつけた日経平均株価ですが、その後日本は緊急事態宣言が発令され、経済的に大きな影響がありました。しかし5月25日に宣言は解除され、今後は回復していくとの期待感から、株価は上がっているのでしょう。
ただし、今後第2波、第3波が大きければ、再度安値になる可能性はあることに注意が必要です。