「国内での仮想通貨取引は違法」とサウジ政府が声明 政府レベルでは技術導入進むも
サウジアラビア政府は12日、同国内での仮想通貨個人取引が違法であるとの声明を発表しました。この声明に伴い、各政府機関代表者からなる常設委員会が設立され、国内での仮想通貨取引の監視を強めています。
資本市場庁のほか、内務省、情報省、貿易投資省、中央銀行であるサウジアラビア通貨庁(SAMA)の代表者から構成されるこの常設委員会は、仮想通貨への投資に伴うリスクについても警告しています。
その理由として挙げられるのは、仮想通貨市場の急激な資産価値変動、詐欺の横行、匿名性、架空契約の存在など。委員会はまた、仮想通貨取引は政府監督の管轄外であり、犯罪行為に利用される可能性も高いとも指摘しました。
2018年に入り、アラブ諸国では仮想通貨取引プラットフォームが整備されつつあり、にわかに市場が盛り上がっています。
1月には、ドバイを拠点とするブロックチェーンスタートアップArabiaChainが仮想通貨取引プラットフォームPalmexのサービスを開始しました。この新しいプラットフォームにより、ユーザーはBitcoin、Ethereum、DubaiCoinなどの仮想通貨を入金して取引することができます。Palmexは無料登録が可能ですが、預け入れ、引き出し、取引を行う際には手数料が請求されます。
また、同時期のエジプトでは、大ムフティー(最高イスラム法官)のシャウキー・イブラーヒーム・アブドゥルカリーム氏がビットコインについて、「イスラム教で禁じる賭博に似ている」として取引を禁じる宗教令が出されました。
一方、2018年2月、サウジアラビアのアル・ラジヒ銀行は、安全な国際送金手段として、仮想通貨ネットワークRippleを使用し、サウジアラビアからヨルダンへ銀行支店間の送金試験に成功したと発表しました。
さらに時を同じくして、サウジアラビア通貨庁はRippleと契約し、銀行向け送金システムxCurrentを同行で採用することで、同システムの技術支援を行うプログラムを開始しています。サウジアラビア通貨庁は、このプログラムに参加する初めての中央銀行となりました。
さらに2018年7月11日には、サウジアラビアの首都リヤド市がブロックチェーン技術活用のためにIBMと契約を結んだことも報じられています。
個人の取引は規制される一方、政府レベルでは積極的な技術導入が進むサウジアラビアの仮想通貨事情、今後もし全面的に解禁され、その「オイルマネー」が流れ込んでくるとなれば、市場全体に大きなインパクトとなります。動向を見守っていきましょう。