資産運用は金利をチェックすればわかる 日米金利の動きと株価の関係

マネーケア

資産運用をする際、チェックをしておきたいことはさまざまありますが、なかでも金利は重要な項目です。保有している株や債券といった資産について、売買のタイミングなどの判断は、金利が目安になります。

金利はわかりやすい指標ですが、実は奥が深いもの。それは、日本国内だけではなく、アメリカの金利の動きに影響を受けることも理由のひとつです。
今回は、資産運用に欠かせない金利のことと、日米金利の動きと株価の関係について、実例を交えてお伝えします。

そもそも金利ってなに?

金利とは、いわば「お金の賃貸料」のことです。
今、お金が欲しいのに手元にない、という時にはどこかからお金を借りることになります。借りた後は、金利を上乗せしてお金を返します。つまり、金利はお金を借りるための費用=コストと言えます。

たとえば、マイホームを購入したいけれどもお金が足りない時には、住宅ローンを組んで金融機関からお金を借ります。金利2%の30年ローンで2000万円を借りたら、返済は2000万円に2%の金利分を上乗せして払います。
なぜ2%の負担をしてもお金を借りるか。それは、今マイホームが欲しいからですね。

逆に、今すぐには使わないお金がある場合はどうするでしょうか。個人の場合、金融機関に預貯金として預けておくことが一般的です。
金融機関は、多くの預貯金を集めて、その資金を必要な人に貸付をして利益を得ています。
つまり、預貯金をすることは、金融機関を通じて間接的にお金を貸しているようなもの。そのため、預貯金をすれば金利分、お金を増やすことができます。

では、金利はどのように決まるのでしょうか。
それは、主に需要と供給のバランスで決まります。お金を借りたい人(需要)が、貸したい人(供給)より多くなると、お金の需要が増えて、金利は上昇します。
お金を借りたい人が多ければ、金利を上げても借りてくれるからです。

しかし、金利が高くなりすぎると借りてくれる人が少なくなります。
住宅ローンの例でいえば、金利が高くなると返済額が増えてしまうため、マイホームのランクを下げて借り入れ金額を減らしたり、マイホーム取得を先延ばしにしたり、という判断になってしまいます。

そうすると、逆に金利は下がっていきます。金利が下がれば、お金を借りたい人が増えてきます。金利の低い今がチャンス、と住宅ローンを組む人も増えるでしょう。
そしてお金を借りたい人が増えると需要が増えて、金利は上がっていく…といったように、金利は上がったり下がったりを繰り返していきます。

長期金利と短期金利

さて、金利には長期金利と、短期金利があります。
長期金利は、金融機関が1年以上のお金を貸し出す時の金利です。需要と供給のバランスや、物価の変動、短期金利の動きなどの長期的な予想で変動します。
長期金利は、1年以上の定期預金や、住宅ローンなどの長期のローンの金利に影響があります。

新聞やテレビなどで報じられている長期金利は、10年物国債の利回りです。10年物国債とは、貸したお金が10年後に戻ってくる国債のこと。長期金利の指標になっています。
住宅ローンの金利は、借りる時の金利なので低いほうがいいですが、資産運用として10年物国債に投資=貸すなら、長期金利は高いほうがいいと言えます。

短期金利は、金融機関が1年未満のお金を貸し出す時の金利です。短期金利は、日本銀行の金融政策によってコントロールされています。
指標は、無担保コールレート翌日物の金利です。これは、金融機関同士が、無担保で資金を貸し借りするときの金利のことです。短期金利をコントロールすることによって、市場経済の安定を調整しています。

短期金利は金融政策で決まりますが、長期金利の動きは将来に向けての予想が影響し、一般的に短期金利が上がる前に長期金利が上がりやすい傾向にあります。
資産運用でチェックするべきは、この長期金利です。

金利と株価の関係

長期金利と株価は、密接な関係があります。一般的に、長期金利が下落すると、株価は上昇します。それは、投資マネーが債券から株式に流れるからです。

たとえば、長期金利が3%から1%に下がったとします。すると、10年物国債などで運用すると今まで3%の運用益が得られるところ、今後は1%しか増えません。そのため、多くの投資家は債券ではなく、株式で資産運用をしようと考えます。
すると、株式が多く買われ、株価が上昇していきます。

逆に、長期金利が3%から5%に上がったらどうなるでしょうか。
株式は債券よりもリスクが大きい投資です。そのため、長期金利が上がると、投資マネーは株式から債券に移り、株式が多く売られます。すると、株価が下落していきます。
このような傾向をふまえて、長期金利の動向を見ておくと、株式の売買のタイミングを判断するのに役立ちます。

続きを読む
1 / 2

タケイ 啓子

ファイナンシャルプランナー(AFP)。 36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務...

プロフィール

関連記事一覧