アマゾン、メタ、ツイッター…GAFAMなど有名企業の株の変動による影響は?

アマゾン、メタ、ツイッター…GAFAMなど有名企業の株の変動による影響は?
マネーケア

米国のグーグル、アマゾン、メタ、アップル、マイクロソフト、「GAFAM」と呼ばれるビックテックの成長シナリオが崩れ始めました。米国経済の牽引役となってきた企業だけに、世界に与える影響も見逃せません。

今回は、景気後退が懸念される状況での株価の変動に一喜一憂することなく、俯瞰的な立場で相場をとらえられるよう企業の現状と今後の相場の見通しを確認しておきましょう。

2022年米国の大企業の株価が大きく変動した要因

米国の景気が減速傾向のなか、2022年7~9月のGAFAMの企業決算に注目が集まりました。GAFAMとは、Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoftの米国ビッグテックの5社の頭文字とったものです。現在Facebookは社名をMetaに変更しています。2020年5月には、GAFAM5社の時価総額が計560兆円となり、当時の東証1部2170社の合計を上回ったというニュースは、かなりの衝撃を与えました。

こうした急成長をしてきたビッグテックの企業でも、インフレ、景気減速、為替の影響という逆風に企業業績が悪化しており、株価が大きく値を下げる場面が出てきました。

グーグル(親会社はアルファベット)

検索エンジンや動画配信サービスのYouTubeなどの事業を行っています。2022年7~9月期の売上高は、前年同期比6%増の690億ドル9200万ドルです。しかし、純利益は前年同期比27%減となりました。その決算の結果を受けて、翌日の株価は10%下落しました。

引用元:日本経済新聞

アマゾン

世界最大級の通販サイトです。もともとは書籍のネット販売を行っていました。動画コンテンツの配信のAmazonプライム、クラウドサービスも行っています。2022年7~9月期の売上高は、前年同期比15%増の1271億100万ドルですが、営業利益は48%減になっています。決算後の株価は19%下落しました。

引用元:日本経済新聞

メタ

SMSのフェイスブックを運営しています。収入源とするインターネット広告事業の変調が大きく響いています。2022年7~9月期の売上高は、前年同月比4%減の277億1400万ドル。2四半期連続の減収で純利益は52%減となっています。決算後の株価は25%も下落しています。

引用元:日本経済新聞

アップル

iPhoneやパソコン、ソフト開発を手掛けています。売上高が第4四半期(7~9月期)の過去最高を記録し、市場予想を上回りました。売上高は前年同期比8%増の901億ドルで、純利益は1%増でした。GAFAMでは唯一、増収増益となり、決算後株価は横ばいのマイナス1%です。

引用元:日本経済新聞

マイクロソフト

米国最大手のソフトウェア開発会社です。売上の伸び率が過去5年で最低となり、売上高前年同期比11%増の501億2200万ドル純利益は14%減になっています。決算後の株価は、8%下落しました。

引用元:日本経済新聞

また、GAFAMではありませんが、イーロン・マスク氏が買収したツイッターも見ておきましょう。マスク氏は4月1株54ドル20セントでツィーター社を買収することで合意したもののその後撤回し、ツィーター社に提訴されていました。10月に買収取引が再開され、10月27日の買収が発動、株式は11月8日から上場廃止になっています。マスク氏の発言は、二転三転することが多く、先の見えない「マスク劇場」とも呼ばれていました。そのマスク氏の動向で、株価が乱高下する結果になりました。

米国株式の下落と企業の取った対策とは

企業の業績が悪化すれば、業績の回復を目指して改善や対応策が練られます。特に海外ではアクティビストと呼ばれる物をいう株主の発言力は、日本以上に大きいものがあり、株主からの圧力で要求をのまざるを得ません。米国のビッグテックの業績が軒並み悪化し、株価が急落するなかで取った各企業の対策を見ておきましょう。

アマゾン

生産性の向上や固定費の調整、インフレ対策を重視しています。物流や配送網の効率化や一部のサービスや開発プロジェクトを中断することを決めています。11月3日に今後数か月、人材採用を凍結するとし、11月14日に約1万人の従業員を削減することを発表しました。コスト削減を目指しています。

メタ

従業員の採用において2023年末を現在と同じ水準に抑えると発表すると、株価が急落したことを受け、11月9日に全社員の約13%にあたる1万1000人超を削減することにしました。これは、米国外も対象になります。

アップル

他の4社に比較すると、企業業績が安定していたアップルは、効率的に実行できることを引き続き行うとしました。長期的な成長計画への投資も継続します。

マイクロソフト

雇用調整として、1000人未満の従業員を削減するとしています。

ツイッター

マスク氏の企業買収により、9人の全取締役を解任し、自らCEOに就任しました。11月4日に大規模なレイオフ(一時解雇)を行うとし、世界の従業員数の約5割の4000人を削減する大胆なリストラを決定しました。11月16日に従業員に対して、長時間の猛烈な労働を受け入れるか、退社するかの選択を迫るメールを送信し、回答期限を翌日17日午後5時としました。あまりにも短時間での解雇のため、法的に問題があるとの指摘がされるほどです。

多くの米国テック企業は、企業の成長を前提に人材を増やし、高い従業員報酬で企業につなぎ留めを図っていました。しかし、企業の成長が鈍化し、金利が上昇してきたため、高いコスト体質を許容できなくなっています。特にテック企業では、従業員の報酬は現金と株式で構成されており、総報酬の2~3割が株式とされています。株式が上がれば報酬が上がるしくみです。報酬を下げれば優れた人材が流失するので、コスト削減には報酬の下げより人員の削減の方法が多用されています。

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池田 幸代

株式会社ブリエ 代表取締役 証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不...

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