正社員から業務委託に転職!知識ゼロで確定申告した体験談
「業務委託」という働き方が注目を集めていますが、「実際どういう風に働くの?」と言う声や「確定申告をしなきゃいけないんでしょ?」といった声も聞かれます。業務委託だと、必ず確定申告が必要なのでしょうか?
今回は、正社員から業務委託に転職した筆者の経験から、業務委託と確定申告の関係を見ていきます。
今注目されている「業務委託」とは?
雇用関係がない働き方
「業務委託」という働き方を最近よく耳にするという人も多いのではないでしょうか。ここではまず、業務委託という言葉の定義を確認していきましょう。
▽業務委託とは
雇用関係のない依頼主から委託された仕事をすること。法律上は「業務委託」という名称は正式ではないものの、民法が定める契約形態で言うところの「請負契約」や「委任(準委任)契約」にあたります。
業務委託を受託するのは、企業の場合もあれば個人の場合もありますが、この記事では個人として業務委託で働く場合について見ていきましょう。
【請負契約】
ライター、デザイナー、プログラマーなどの職種で結ばれることが多い契約。請負契約では成果物に対して報酬が支払われるため、成果を出すために何時間働いたのかは問われません。
【委任(準委任)契約】
弁護士、医師、美容師などの職種で結ばれることが多い契約。成果物ではなく、業務の遂行自体に報酬が支払われます。
業務委託のメリット・デメリットは?
業務委託は、雇用契約を結ばない働き方ということはご理解いただけたと思いますが、働き手にとってどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
【メリット】
・請負契約の場合は、成果さえ出せばそれ以外は比較的自由。会社勤めのように、特定の場所で時間を拘束されることがありません。
・自分で好きな仕事を選べるため、自分の特技や資格を活かして働くことができます。
【デメリット】
・労働基準法が適法されないため、業務に関する取り決めや条件の交渉は自分で責任を持って行わなければなりません。
・受託できた仕事の分しか報酬が発生しないため、常に自分から仕事を取りにいかなければ安定した収入が得られにくいでしょう。
業務委託だと確定申告が必須?
業務委託の場合、働き方によっては確定申告が必要になります。本業として業務委託で働いて得られた所得が年間48万円以上の場合や、副業でも業務委託で20万円以上の所得を得た場合は確定申告が必要です。
ただし、業務委託の契約内容や委託元との取り決めによっては上記に当てはまらないこともあります。
業務委託で働く場合は、契約内容と報酬を自分でしっかり確認して、必要ならば確定申告をしましょう。
【体験談】正社員から業務委託に転職した場合
ここからは、実際に筆者が正社員から業務委託に転職した経験に基づきお話していきます。
正社員から業務委託のライターに転職
筆者は数年前、正社員で働いていた会社を5月末で退職、6月から業務委託のライターとして働き始めました。この体験をもとに、業務委託と確定申告について考えていきましょう。
転職先に選んだのは、業務委託としてライターを募集している会社。仕事の受注や経理的な処理をライターに代わってやってくれるので、初めての業務委託・初めてのライター業でも安心して働ける環境でした。
確定申告のことについて確認すると、この会社のライターは税務処理上の準労働者という位置づけになるとのこと。そのため、ほかからの収入がなく所得が103万円以内であれば確定申告は不要とのことでした。
確定申告はできればしたくなく、夫の扶養内で働きたかった筆者にとっては、とてもありがたい条件です。所得制限としてはアルバイトやパートと同じ感覚で、業務委託として働けることになりました。
業務委託だと年末調整がない
業務委託のライターとしては確定申告が不要な筆者でしたが、転職した年は結果的に確定申告をすることとなりました。理由は、正社員時代に源泉徴収をされていたため。もう少し詳しくご説明しましょう。
正社員やアルバイトとして働くと、通常であれば勤務先が従業員に代わって所得税を計算し、「源泉徴収」として月々の給与から差し引いて国に納めてくれます。毎月差し引かれる金額は仮に計算された税額のため、毎年の終わりに「年末調整」を行うことで、実際の税額との差額が返還(不足する場合は追徴)されるのが一般的な仕組みです。
筆者の場合、年末調整が行われる年の終わりには元の勤務先に所属しておらず、業務委託に転職したため源泉徴収や年末調整は自動的に行われません。そのため、確定申告が必要になったのです。
学生アルバイト時代も正社員時代も、税金に関することはずっと勤務先に任せきりでいた筆者。生まれて初めて確定申告をしなければならない事態に遭遇することとなりました。どう進めていったのかは、次の章で詳しく説明します。