【Z世代のマネー学】iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)の徹底攻略

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)の徹底攻略
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iDeCoの3つの税制優遇

iDeCoの最大のメリットは、節税ができることにあります。iDeCoでは、「積立時」「運用時」「受取時」の3つのタイミングで節税ができます。

iDeCo節税効果の3大メリット

iDeCo節税効果の3大メリット

積立時:年間の掛金が全額所得控除できる

iDeCoの掛金は、全額が「所得控除」というしくみの対象になります。その結果、毎年の所得税や住民税を安くすることができます。

所得税の金額は、おおよそ次のような流れで計算されます。

①給与などの収入から、経費(会社員・公務員の場合は給与所得控除)を差し引き、所得金額を計算する
→国税庁:給与所得控除
②所得金額から個人の事情を加味した所得控除を差し引き、課税所得を計算する
③課税所得に応じた所得税率を掛けると、所得税の金額が算出される
→国税庁:所得税率

iDeCoの掛金は、全額が②の所得控除の対象になるので、課税所得が減ります。その結果、所得税が安くなるというわけです(住民税も課税所得をもとに計算するので、安くなります)

たとえば、所得税率10%、住民税率10%の方が月1万円(年12万円)の掛金を出したら、所得税から年1万2000円、住民税から1万2000円、計2万4000円の税金を減らすことができます。
掛金・税率が同じだと仮定すれば、毎年20%の節税効果になります。

これは、年利20%の資産運用をするのと同じ効果です。自分の老後資金を貯めながら税金が減らせる、とてもお得な制度なのです。

運用時:運用益に対する税金が非課税になる

NISAと同じく、iDeCoでも投資で得られた利益(運用益)が非課税にできます。
投資の利益には通常20.315%の税金がかかりますが、これがゼロにできるのです。とくに、ミレニアル世代・Z世代のみなさんならば、20年、30年という長い期間非課税で運用できるのはメリットです。

iDeCoでは、定期預金・保険・投資信託のなかから商品を選び、運用を行います。
このうち、定期預金や保険は、元本が確保されている反面ほとんど増えないため、運用益非課税のメリットを生かしにくいのが難点。運用益非課税のメリットを生かすならば、やはり投資信託を選ぶことが大切です。金融機関のiDeCoの商品のラインアップにも、投資信託が多く並んでいます。

受取時:節税に役立つ控除が使える

iDeCoで貯めた資産は、60歳から70歳までの間に一時金形式か年金形式かで受け取ります。

一時金で受け取る場合には、「退職所得控除」が適用になります。掛金の支払い年数に応じて控除額が算出され、税負担を抑えることができます。
退職金はまとまった金額を受け取ることが多いのですが、このお金にも税金はかかります。ただし、せっかく長く働いてもらえる退職金なのに、税金でほとんど持っていかれてしまっては、生活者にとって厳しいのは明らかです。

そこで、「退職所得控除」という優遇措置が用意されています。本来は退職金のための優遇措置が、iDeCoの一時金受け取りの際にも適用されるというわけです。

また、「年金」として受け取る場合ですが、年金を多く受け取りすぎると所得税・住民税の支払い負担が増えることになります。そうなると、税金の支払いで生活者が苦しくなるのは明白なので、税負担を軽くする制度として「公的年金等控除」があります。

公的年金等のほかの収入とiDeCoの年金を合わせた所得金額、年齢に応じて控除額が算出され、税負担を抑えることができます。

働き方や会社の年金制度によって掛金の上限は異なる

iDeCoの掛金は、最低月額5000円から。1000円単位で増やすことができます。
とはいえ、いくらでも増やせるわけではなく、働き方や会社の年金制度などによって異なる上限が定められています。

具体的には、次のとおりです。

●自営業・フリーランス・学生(国民年金第1号被保険者)…月6万8000円まで
●会社員(国民年金第2号被保険者)
・企業年金なし…月2万3000円まで
・企業型確定拠出年金のみある…月2万円まで
・確定給付型企業年金がある…月1万2000円まで
●公務員(国民年金第2号被保険者)…月1万2000円まで
●専業主婦(主夫)(国民年金第3号被保険者…月2万3000円まで

自営業やフリーランスといった国民年金第1号被保険者の場合、サラリーマンの厚生年金にあたる部分がありません。そのため、将来の保障が手厚くなるような制度になっています。
また、会社員は会社が用意してくれる企業年金の有無によって、掛金の上限が変わります。

2022年からiDeCoの制度が変わる

iDeCoの制度は、2022年に一部改正される予定です。

●加入可能年齢が5歳引き上げ

iDeCoで運用を行い、将来受け取るお金(老齢給付金)は、現状60歳〜70歳の間で受け取りを開始するルールです。
これが、2022年4月からは60歳〜75歳の間と延長されます。国民年金・厚生年金の受給開始も75歳まで延長できるようになるため、それに合わせて改正されます。
受給開始までは非課税で運用できます。

●加入できる年齢が5年延長

iDeCoに加入できる(積み立てができる)のは、現状60歳までです。これが2022年5月からは65歳までに引き上げられます。加入期間が5年間長くなる分、長期・積立・分散投資でお金を増やすチャンスになります。
ただし、国民年金第2号被保険者以外が60歳以降もiDeCoに加入するには、国民年金に任意加入していることが条件です。

●会社員でもiDeCoに入りやすくなる

これまで、企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している会社員がiDeCoを併用する際には、労使合意による「規約の定めが必要」でした。そのため、加入したくてもできないという方が多くいたのです。
しかし2022年10月からは、そうした定めがなくてもiDeCoに加入できるようになります。これにより、加入者の拡大が見込まれています。

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頼藤 太希

(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント 中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。...

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