公務員の年金はどうなった? 今さら聞けない公務員の年金事情 どう準備すべき?
「職域加算」と「年金払い退職給付」の年金額の違い
職域加算が廃止され、年金払い退職給付に変更となったことにより、保険料負担だけでなく、年金受給額も減額となりました。
標準報酬月額36万円、40年加入のモデル年金月額での試算によると、職域加算であれば月額2万円の支給が、年金払い退職給付ですと、月額1万8,000円となるとされていて、2,000円の減額です。
保険料負担の発生、受給期間の短縮、年金受給額の減額を考えると、大きく条件が下がったといえます。
公務員は老後資金をどう準備すべきなのか
では、公務員の老後資金はどう準備すればいいのでしょうか?
次から代表的な3つをお伝えしましょう。
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)
老後資金の準備のためと目的がはっきりしているので、いちばんのオススメは、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)です。
iDeCoの特徴は、掛金は全額所得控除となって税金の対象となる課税所得が減ることと、加入している間の運用益は非課税という大きな税制優遇があります。掛金の所得控除についてですが、公務員の掛金上限は月1万2,000円なので、最高で年間14万4,000円の掛金です。所得税率10%、住民税率10%で合計20%の税金を納めている人なら、年間約3万円の節税となります。
もう一つの運用益非課税メリットは、本来運用益には約20%の税金がかかりますが、iDeCoではそれがかかりません。
例えば30歳~60歳の30年間上限の掛金で加入していたとすれば、元金だけで432万円を貯めることができます。iDeCoは掛金でどのような商品に投資するかを自分で選ぶので、選んだ金融商品によっては、元本割れすることもあります。
注意点は、60歳以降しかお金を現金化できないことです。でもだからこそ、確実に老後資金としてお金を貯めていけるともいえますね。
iDeCoには受給時の税制優遇というメリットもあります。これは、60歳以降に一時金で受給したら「退職所得控除」という所得控除を受けることができて、課税の対象となる金額が減ることです。もし年金として分割で受け取ったときでも、「公的年金等控除」という所得控除を受けることができて、こちらも課税される金額が減ります。
公務員は退職金、公的年金ともに会社員に比べて、平均的に受け取れる金額が高いようですが、そのためこれらの控除を受けても払う税金が多くなってしまうことが予想されます。退職金や公的年金とiDeCo受け取り方法や金額を、税金面も考慮して受給できるように、調べる手間や専門家に相談する機会をぜひ作ってください。
つみたてNISA(積立NISA)
つみたてNISA(積立NISA)とは、月単位や半年単位など、年間40万円までの資金で投資信託を買って、それを最長20年間積み立てていくことができるというものです。iDeCoとの違いは、いつでも資金化できること、所得控除がないことと、元本確保型の商品がないことです。
つみたてNISAとして購入した金融商品の運用益が全額非課税となります。いつでも解約して現金化できますが、一人1口座しか作れません。
個人年金保険・個人年金共済
個人年金は保険会社や共済が独自に販売している商品です。毎月など一定期間ごとに保険料(掛金)を積み立てて、将来老後資金として一定期間または一生涯そのお金を取り崩して老後資金にあてていくというものです。
個人年金のメリットは、毎月の保険料(掛金)が個人年金保険料控除または生命保険料控除という所得控除の対象となることです。ただし、iDeCoと違って所得控除の対象となる保険料(掛金)の上限があるので注意してください。
年金として受け取るときには、自分が払った保険料(掛金)の合計額より受け取る年金額合計のほうが多ければその差額が税金の対象となります。
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まとめ
年金払い退職給付制度があるため、完全に格差が解消したわけではありませんが、一元化によって差はずいぶん縮小されました。国からもらう年金は、誰にとっても大きな老後の収入源です。所属している団体の指揮命令のもと働いているという、同じ立場の人の金額差が、少しずつ解消されて平等になっていく意義は大きいのではないでしょうか。
老後資金という目的が決まれば、税制優遇の恩恵を受けることができる制度を活用しない手はありません。この話は公務員に限った話ではありませんが、有効に活用しなければ、活用しないときと比べて老後に使える資金の差が大きくなります。
幸せな老後が送れるよう、老後資金の準備を今から始めていきましょう。