世界のお金を日本円にしてみたら?1000円で何が買えるのか比較してみた
1000円で何が買える?
各国の通貨と円の為替レートを見ると、通貨ごとにけっこう違いがあったり、購買力平価という考えがあることがわかりました。そこで、1000円を各国通貨に両替した場合、何が買えるのかを調べました。
調査にあたっては、世界各国の物価や生活費を調べることができる「NUMBEO」の各国の生活費のページにある金額を元にして、合計およそ1000円分になるように調整しました(2022年11月7日調査時点)。
なお、1000円を各国通貨に両替するための計算式は
「1000円÷(前項で挙げた各国通貨の為替レート)=各国通貨の金額」
です。以下では、わかりやすくするために金額は四捨五入しておよその金額としました。また、両替に際して手数料などは考慮していません。
米ドル(およそ7ドル)
コーラ/ペプシ (0.33 リットル瓶) 2.25ドル
りんご (1kg) 4.76ドル
ユーロ(およそ7ユーロ)※ドイツの物価を参照
国産ビール(ドラフト0.5リットル) 4ユーロ
じゃがいも(1kg) 1.6ユーロ
トマト(1kg)1.27ユーロ
ポンド(およそ6ポンド)
カプチーノ(1杯) 2.89ポンド
玉ねぎ(1kg)0.97ポンド
トマト(1kg)2.00ポンド
フラン(およそ7フラン)
水(0.33リットルのボトル) 3.7フラン
みかん(1kg)3.09フラン
豪ドル(およそ11ドル)
白米(1kg) 2.79ドル
レタス(1kg) 3.41ドル
カプチーノ(1杯) 4.78ドル
NZドル(およそ12ドル)
牛乳(1リットル) 2.93NZドル
食パン(500g) 3.05NZドル
輸入ビール(0.33リットル瓶) 5.46NZドル
元(およそ49元)
安いレストラン 25元
りんご(1kg) 12.88元
バナナ(1kg) 10.29元
ランド(およそ123ランド)
牛もも肉(1kg) 117.61ランド
バーツ(およそ256バーツ)
安いレストラン 70バーツ
ささみ(1kg) 80.59バーツ
牛乳(1リットル) 55.47バーツ
食パン(500g) 45.33バーツ
マクドナルド「ビッグマック指数」で物価をみると?
1000円で買えるものを比べようとしても、対象となるものが違うので、比較しにくいですよね。また、同じ「食パン500g」「牛乳1リットル」といっても、国によって商品の質が違えば、それは正しい比較とは言い切れません。
同じものの価値を比較するのに役立つのが、マクドナルドのビッグマックです。
マクドナルドは世界100か国以上の国に店を構えています。そして定番商品のビッグマックはどの国でもほぼ同じ品質です。そこで、世界中のビッグマックの値段を国ごとに比較した「ビッグマック指数」をみることで、物価の違いがわかるというわけです。
ビッグマック指数の考え方
The Economist「The Big Mac index」より
ビッグマック指数はすでにお話しした「購買力平価」という考え方を基本としています。
たとえば、図のようにビッグマックが米国で5ドル、中国では20元で買えるとします。このとき、5ドルと20元で同じものが買えるのですから、為替レートは5ドル=20元、つまり1ドル=4元になると考えます。この状態を購買力平価といいます。
しかし、実際の為替レートは1ドル=6.4元だった場合、為替レートの比が1:6.4なのに対し、ビッグマックの価格の比は1:4なのですから、中国ではビッグマックが米国より約38%割安で販売されていることを表すのです。
では、日本のビッグマックは米国よりいくら安いのでしょうか。
ビッグマック指数(2022年7月時点)
The Economist「The Big Mac index」より
ビッグマック指数は、米国のビッグマックの価格を基準にして、各国のビッグマックが高いか安いかを示します。日本のビッグマックは390円(2023年1月16日に450円へ値上げ)、米国のビッグマックは5.15ドル。このときの為替レートは1ドル=137.87円なので、米国のビッグマックを円換算すると710円とかなりの割高です。しかし、日本のビッグマックは米国のビッグマックより45.1%も安い(−45.1%の)390円なのです。
日本のビッグマック390円と米国のビッグマック5.15ドルから考えられる、本来の為替レートは、390÷5.15=75.72円です。しかし、実際の為替レートは1ドル=137.87円ですから、かなりの円安に動いていることがわかります。
同様に、各国のビッグマック指数をみてみると、
・欧州 −7.5%
・オーストラリア −10.2%
・英国 −13.8%
・ニュージーランド −14.0%
・中国 −30.9%
・タイ −32.1%
・日本 −45.1%
・南アフリカ −54.5%
となっています。
米国のビッグマックの価格は調査対象の53カ国中6番目ということもあって、上にあげた国の多くが米国のビッグマック価格より安くなっているようです。ただ、日本は53カ国中41番目。日本も、物価が上昇していると日々ニュースになっていますが、海外から見ればすでに物価が安い国になっているのです。それは、円安の影響に他なりません。