2022年のお金・投資に関わるニュース、まとめ・総括

2022年のお金・投資に関わるニュース、まとめ・総括
マネーケア

2022年もいろいろなことがありました。1年は足早に過ぎ去ってしまうものですね。新しい年を迎えるにあたって、お金・投資に関するニュースを振り返ってみませんか?

今回は、2022年のお金・投資に関するニュースの中から、押さえておきたいものをピックアップして紹介します。

米国の金利利上げ→株安&円ドル金利差拡大→株安&円安

2022年は、為替レートが一気に円安に動いた年でした。2022年1月時点では1ドル=115円程度だった為替レートは、3月以降に大きく円安に振れて、2022年9月には一時1ドル=150円を突破する展開となりました。その後は130円台に戻りましたが、ここまで大きな変動をする年も珍しいでしょう。

円安が進行した大きな要因に「金利差拡大」があります。米国をはじめ、世界各国では急激に進むインフレを抑えるために利上げを行なっているのに対し、日本では利上げが行われていないため、円とドルなど、他の通貨との金利差が拡大しているのです。すると、金利の高い外貨が買われ、金利の安い円が売られる(=円安の要因)となる、というわけです。

一方で、利上げには景気を抑える効果もあるため、株価は下落傾向に。

2022年の株安に翻弄されたのが「レバナス」と呼ばれる投資信託です。レバナスは、株価指数先物取引を行い、基準価額の値動きが米国のハイテク株中心の株式指数「NASDAQ100」のおよそ2倍になるように運用される投資信託です。レバレッジ+ナスダック=レバナスという意味です。レバナスは、市場が好調だった2021年は大きく値上がりして一躍人気となったのですが、2022年は市場に合わせて大きく下落。年初から6割以上も値下がりしているのが現状です。

ロシアのウクライナ侵攻

2022年2月24日、ロシアがウクライナへの侵攻を開始。多くの死傷者が出ているだけでなく、経済的にも甚大な被害が生じています。

ロシアやウクライナは、小麦やとうもろこしなどの穀物の輸出国です。しかし、ロシアのウクライナ侵攻によって安定した供給ができなくなったため、穀物価格が上昇。小麦粉・パン・麺といった、主要な食料品が値上がりしています。

石油や天然ガスといったエネルギー資源も同様です。ロシアからのエネルギー資源も供給されにくくなり、価格が上昇しています。石油を使った製品や火力発電などの値上がりに影響しています。

日本でも食品や電気・ガス代などが値上がり

日本でももちろん、円安、世界的なインフレ、ロシアのウクライナ侵攻の影響をうけて、食品や電気・ガス代などが値上がりしています。帝国データバンクによると、2022年の食品値上げは累計で2万品目を突破。さらに2023年もすでに4000品目以上の値上げが予定されているとのことです。

また、2022年の電気代は、前年の2021年の同月と比べて2000円近く上昇しています。そのうえ、家庭向けの規制料金は電力各社で上限に達しました。2023年は規制料金自体が値上がりして、電気代はさらに増加しそうです。

円安になると、現金や預金は目減りします。また、ものの輸入にかかる費用が上がるため、食品や日用品などの物価が高くなります。さらに、食品や日用品そのものも値上がりしているという状況です。上がる物価に合わせて給料も上がればいいのですが、給料はなかなか上がらないため、生活は相対的に厳しくなってしまいます。

NFTの盛り上がり

2022年前半に話題になったのがNFTです。NFTは「Non-Fungible Token(ノンファンジブルトークン)」という言葉を略したもの。日本語では「非代替性トークン」と訳されます。NFTは、改ざんすることが難しいブロックチェーン技術を使って、デジタルデータの価値を保証することができます。

NFTを利用すると、文字や画像、音声といったデジタルデータに希少価値を持たせることができます。スポーツのトレーディングカード、デジタルアート、ゲーム、さらにはメタバース(仮想空間)などの分野で活用が始まっています。今後活用の幅が広がることで、デジタルデータの世界が変わってくるかもしれません。

【2022年1月】傷病手当金「通算1年6か月」に

傷病手当金は、健康保険に加入している人が、「業務外」のケガや病気で連続する3日間を含む4日以上仕事を休んだ場合に健康保険に申請するともらえるお金です。

傷病手当金をもらうにあたっては、

(1)業務外のケガや病気であること
(2)連続する3日間を含めて4日以上仕事を休むこと
(3)会社から給与が出ていないこと

の条件を満たす必要があります。

これまでは、傷病手当金を受給した日から最大で1年6か月が経過するまでお金が支給されるルールでした。そのため、けがや病気が一時的に回復して職場復帰し、お金を支給されない期間があったとしても、支給開始日から1年6か月経過すると傷病手当金をもらうことはできなくなってしまっていました。

しかし2022年1月からは法改正によって、「最初の受給日から通算して1年6か月まで」傷病手当金がもらえるようになりました。けがや病気の治療と仕事の両立を支援できるようにする、前向きな改正です。

【2022年1月17日】ゆうちょ銀行の手数料値上げ

ゆうちょ銀行では、これまでATMを24時間いつ利用してもATMの利用手数料が無料でした。しかし、2022年1月17日からは、駅やショッピングセンター、ファミリーマートなどに設置されているゆうちょ銀行のATMを時間外に利用すると110円の手数料がかかるようになりました。さらにゆうちょ銀行の提携ATMであるローソン銀行ATMやイーネットATMでも利用手数料が新設・値上げされました。

そのうえ、硬貨の預け入れ・払い戻しなどにも手数料が発生するようになり、改悪だという声が上がりました。

【2022年4月1日】成人年齢の引き下げ

実に約140年ぶりとなる民法の改正によって、これまで20歳だった成人年齢(成年年齢)が18歳に引き下げられました。18歳以上20歳未満(誕生日が2002年4月2日から2004年4月1日まで)の人は、2022年4月1日に成人になりました。

成人になると、親の同意なしで契約が可能に。たとえば携帯電話の契約、各種ローンの利用、クレジットカードの作成、部屋の賃貸契約、民間の生命保険や損害保険への加入、NISA口座や課税口座の開設・投資の実行などが親の同意なしでできるようになります。

【2022年度】学校での金融教育スタート

成人年齢の引き下げに伴い、自由に契約ができるようになるのはいいのですが、一方で何の知識もなく契約すると、トラブルに発展する可能性もあります。

そこで、高校生のうちから正しい金融の知識を身につけるために、成人年齢の引き下げと同じ2022年4月から、高校の家庭科の授業で金融教育がスタートしました。

金融庁が公表した「高校生のための金融リテラシー講座」は高校での授業内容の基準となる「新学習指導要領」に対応した金融教育の授業を行うための指導教材。全6本の動画と、動画の内容に即した資料が用意されています。ウェブサイトで誰でも見ることができるので、ぜひ一度見ておくことをおすすめします。

【2022年4月1日】年金の繰り上げ受給・繰り下げ受給の制度変更

国民年金・厚生年金の受給開始は原則65歳ですが、希望すれば受給開始時期を早める繰り上げ受給や、受給開始時期を遅らせる繰り下げ受給ができます。

60~64歳でもらいはじめる繰り上げ受給ではこれまで、1か月早めるごとに0.5%ずつもらえる年金額が減っていました。2022年4月1日からは、この減額率が0.4%になりました。60歳まで早めた場合の減額率は30%から24%に緩和されたことになります。

66歳以降の繰り下げ受給は、これまで70歳までしかできなかったのですが、2022年4月1日からは75歳まで可能に。1か月遅らせるごとに0.7%増額する点は同じなので、75歳まで遅らせると受給額は84%増額となります。

【2022年4月・5月・10月】iDeCoの改正

老後の年金の上乗せを作るiDeCo(個人型確定拠出年金)の制度は2022年、大きく3つの変更がありました。

4月:老齢給付金の受取開始年齢が5年延長
iDeCoの資産の受取開始年齢が「60歳から70歳まで」→「60歳から75歳まで」になった

5月:iDeCoの加入年齢が5年延長
iDeCoに加入できる年齢が「60歳未満まで」→「65歳未満まで」になった
(ただし、60歳以降加入できるのは会社員・公務員と国民年金の任意加入者のみ)

10月:企業型DC加入者がiDeCoに加入しやすくなった
これまでiDeCoが事実上併用できなかった企業型DCの加入者も、iDeCoを併用しやすくなった

【2022年10月】児童手当がもらえない世帯が……

児童手当は、中学生以下(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の子どもがいる世帯に給付される現金です。基本的に、子ども1人につき、3歳未満なら月額1万5000円、3歳以上中学生までには月額1万円が支給されます。

児童手当は、児童2人+年収103万円以下の配偶者の3人を扶養している場合、目安となる収入が960万円以上になると「所得制限限度額」を超えます。すると、児童手当は特例給付となり、金額が一律5000円に減額されてしまいます。さらに2022年10月からは、目安となる年収が1200万円以上になると「所得上限限度額」を超えます。こうなると、児童手当が支給されなくなります。

【2022年11月】FTXの破綻・仮想通貨暴落

FTXは暗号資産(仮想通貨)の売買や取引を行う業者だったのですが、11月に破産しました。FTXによると、負債の総額は推定100億ドル〜500億ドルとのこと。しかも、破綻後のサイバー攻撃によって資金が盗まれた(紛失した)といわれており、100万人いるともいわれる顧客にお金が戻ってくるかどうか怪しい情勢です。日本では、メジャーリーグの大谷翔平選手や女子テニスの大坂なおみ選手が「広告塔」になっていたことでも話題になりました。

【2022年12月】2024年からの新しいNISA制度が発表

投資の利益にかかる税金が非課税になるNISA。2022年12月16日に公表された「令和5年度税制改正大綱」に、2024年からNISA制度が大幅に拡充されることが盛り込まれました。新しいNISA制度は「統合NISA」と呼称したいと思います。

現行の一般NISA・つみたてNISAは2023年末で買付終了

現行の一般NISA・つみたてNISAの買付は、2023年末で終了します。現行の一般NISA・つみたてNISAで保有していた資産は、2024年以降も現行の非課税期間で保有できます。

統合NISAで用意される「生涯投資枠」(後述)とは別枠で保有できます。

制度の恒久化・非課税保有期間の無期限化

統合NISAは制度の恒久化となり、運用益の非課税保有期間は一般NISAが5年間、つみたてNISAが20年間でした。統合NISAでは、非課税保有期間が無期限になるため、より長期間投資ができるようになります。

年間の投資枠の拡大・生涯投資枠の新設

現行のつみたてNISAは年40万円、一般NISAは年120万円までですが、統合NISAでは「つみたて投資枠」で年120万円、「成長投資枠」で年240万円、合計で年間360万円まで投資できるようになります。

また、新たに生涯にわたる非課税限度額(生涯投資枠)が設けられます。生涯投資枠の上限は1800万円(うち成長投資枠は1200万円)です。

投資商品

安定的な資産形成のため、成長投資枠では「高レバレッジ投資信託」などの商品は投資対象から除外されます。また、回転売買(金融機関が手数料を取るために何度も売買を繰り返させること)の規制が行われます。

ジュニアNISA

2023年をもって廃止になるジュニアNISAの継続管理勘定(成人になるまで非課税で運用のできる勘定)は、統合NISAの成長投資枠に移管されます。

なお、未成年は統合NISAを利用することはできません。

2022年のお金・投資に関わる出来事・ニュースを確認してきました。2023年はどんなことが起こるでしょうか。2023年のお金・投資のニュースもきちんと追いかけていきましょう。

頼藤 太希

(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント 中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。...

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