金融商品にかかる税金はどうなっている?今後増えるかもしれないって本当?

金融商品にかかる税金はどうなっている?今後増えるかもしれないって本当?
マネーケア

金融所得課税は今後どうなる?

先ほど述べたように、2022年の税制改正大綱には、今後検討する必要があると明記され、金融所得課税の強化は先送りされる結果になりました。政府は2022年の夏に参議院選挙を控えているので、安定基盤確保の選挙対策のために、金融所得課税の強化は話題に取り上げにくいのではないでしょうか。しかし、選挙が終わった秋以降は、来年の税制が検討されるので、再び話題に上がってくる可能性があります。

株式市場では、新型コロナのオミクロンリスク、米国の利上げと量的緩和の回収に伴う思惑に加え、今後のウクライナ侵攻の動向が懸念材料になっています。また、金融所得課税の強化は、岸田リスクとして、日本から海外の資金が逃げ出しているともささやかれています。背景には海外投資家の岸田政権に対する成長路線の乏しさや、改革路線の後退に失望しているとみられています。

今や投資マネーは、経済のグローバル化やデジタル化の影響を受けて、世界を飛び回っています。より金融所得課税の負担が少ない国を求め、金融資産は移っていくでしょう。そうすれば、金融所得課税が重たい国には、資金が集まらず、投資が減少し、税金の税源も乏しくなるのは明らかです。せっかく「貯蓄から投資へ」という流れを作りだしても、金融所得課税の負担増は、流れに逆行する状態になってしまいます。

もし、現状20%の分離課税が30%に税率が引き上げられることになれば、単純計算で金融所得の売買で得られる利益が1割も減ることになります。もちろん、高額所得者の所得税の負担率は引き上げられますが、低所得者の所得税の負担率も引き上げられることになり、ダメージが大きいといわれています。

経済格差を是正するために、金融所得金額に累進税率を導入する案や、金融所得も総合課税に算入して累進税率とする案などが出ています。どんな案が採用されるとしても、株式市場に大きな影響が出ない方向で論議を進めてほしいものです。

今後の方向性として金融所得の課税強化が予想されるとすれば、私たち個人単位でできる有利な資産形成の制度は、ぜひ活用しましょう。

NISAやつみたてNISAといった投資した利益に対して税金がかからない制度は、節税効果が絶大です。NISAでは、株式、投資信託、ETF、REIT(不動産投資信託)などを年間120万円を上限に購入することができ、非課税期間が5年間です。一方、つみたてNISAは長期で低コストの投資信託を積み立てることで、資産形成が行えます。年間40万円まで、非課税期間は最長20年間です。

また個人で年金を準備するならiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)も税制面のメリットを利用できます。2022年から年金制度が改正され、4月からは年金の受給開始年齢の上限が75歳に引き上げられます。また5月には加入できる年齢の上限が64歳までとなり、10月からは規約の変更がなくても企業型とiDeCo(イデコ)の併用が可能になります。改正で税制の優遇期間が長くなったことを利用して、資産をより大きくしていきましょう。

金融所得課税の強化以外にも、贈与税や相続税の見直しも検討されています。今後の動向には十分な注意を払い、今できるところから少しずつ節税できる制度を活かし、資産を増やす努力をしていきましょう。

池田 幸代

株式会社ブリエ 代表取締役 証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不...

プロフィール

関連記事一覧