【Z世代のマネー学】FIREの種類とFIREの考え方

FIREの種類とFIREの考え方
マネーケア

20代〜40代を中心に話題になっている「FIRE」。

FIREとは、「Financial Independence, Retire Early」の頭文字をとった造語で、経済的に自立し、早期リタイアを目指す、といった意味です。

FIREは資産運用による不労所得を増やすことで経済的に自立し、早期リタイアを目指す人生戦略です。決して億万長者を目指すのではなく、資産運用からの収入で生活費の一部または全部をまかなうことを目指すものです。実際、資産運用の収入で生活費の一部をまかなうことができれば、日々の生活の自由度は増し、人生が豊かになることでしょう。

しかし、いざFIREを実現しようとすると、問題点も少なくないことが見えてきます。

今回はミレニアル世代・Z世代の方がFIREを目指す場合の考え方をお伝えします。

▶︎前回:投資信託の種類・投資信託の選び方

FIREは大きく分けて2種類に分かれる

第一にFIREとは投資法ではなく、生き方を指します。FIREするためには投資は欠かせませんが、「FIRE=投資」ではありません

そして、このFIREは大きく分けて2種類に分かれます。

1つは「フルFIRE」です。完全に仕事を辞めて、資産運用の収入だけで生活するもので、FIREといえばこちらを思い浮かべる方が多いでしょう。もう1つのFIREは「サイドFIRE」と言われている生き方です。

FIREの種類

●フルFIRE

7000万円を超える資産を用意し、仕事をリタイアする(会社を退職する)。退職後は資産の運用益のみで生活するスタイルのFIREです。フルFIREの中には、リッチ型FIRE(Fat FIRE)と超節約型FIRE(Lean FIRE)もあります。

リッチ型FIREは、高収入や事業の成功、投資でハイリターンを得るなどして、数億円に及ぶ十分な資産を確保したうえで早期リタイアするスタイルのFIREで、再現性はかなり低いです。

超節約型FIREは、極端な倹約で生活費を最低限に抑えて、資産運用の収入のみで生活するスタイルのFIREです。生活で使うお金が少ない分、用意する資産も少なくてすみます。物価の安い地方や海外に移住するケースも多くあります。再現性は高いですが、誰もが憧れるスタイルのFIREではないでしょう。

FIRE実践本の多くは、フルFIREを目指したものが多く、収入の5~8割を貯蓄に回しています。その貯蓄は全額を、株などのリスクの高い資産へ投資するというリスク特化型の資産形成方法です。その方法で、実践者の多くが成功したとはいえ、極端な方法が多く再現性が低いと筆者は考えています。

●サイドFIRE

資産運用で収入を得て、同時に働いて収入を得ながら生活するスタイルのFIREです。勤労収入は現役時代ほど必要ないため、好きな仕事や時短勤務を選ぶなど、労働面での自由度は高くなります。人生のリスクを抑えつつ、日々の充実感を得ながら楽しく生活できるFIREといえます。

サイドFIREの中には、「バリスタFIRE」というものがありますが、これは資産運用での収入に加え、カフェで気軽に働くなど、パートタイムという形で働いて収入を得るスタイルのFIREです。サイドFIREのなかでも、より気軽に働きたい人向けといえます。

資産運用の収入があることで、ご飯を食べるために(生活するために)する仕事、いわゆる「ライスワーク(Rice-Work)」からの脱却は目指せます。「好きな仕事で稼ぐ+資産運用収入」のサイドFIREを目指すのはどうでしょうか。

早く仕事を辞めたいのは、その仕事を嫌々やっている可能性が大きそうです。好きな仕事を無理せず続けるためには、「経済的自立(FI)」の確立が必要です。

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頼藤 太希

(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント 中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。...

プロフィール

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