消費者物価指数でわかること これからの日本はどう変わる?
年の初めに必ずTVや雑誌で取り上げられる、今年の経済を占うニュース番組や記事。
各界の大物経営者やエコノミスト、経済研究機関の方々がそれぞれにコメントを出しているものです。
株価や為替の予想も興味のあるところですが、今回は普段の生活に密着した「ある指数」から、これからの日本を考えてみたいと思います。
生活密着の指数、消費者物価指数(CPI)とは
景気を知る上で一つの指数が大きく影響することが知られていますが、それは「物価」です。
物価自体が、景気の良し悪しを判断する指数ではなく、景気が良くても物価が下がる事はありますし、景気が悪くても物価が上がることがあります。
しかし、景気と物価は影響し合う関係にあることと、何より一般消費者に関わり深いことから、読者の皆さんにはよく知っておいて欲しい指数です。
さて、物価の変動を示す指数として、ニュースなどでよく耳にする言葉「消費者物価指数」というものがあります。英語でCPI(Consumer price index)とも表記されます。
消費者物価指数は、ある年を基準年として、その年の物価(商品やサービスの価格)と対象時期の物価とを比較した数値で総務省統計局が、毎月発表しています。(年報は翌年3月下旬発表。)
現在の基準年は2015年となっていますが、西暦の末尾が5または0の年に、調査対象の品目と全体に占める割合(ウェイト)が見直され、その都度基準年として改定されます。改定時には、改定前の基準年指数を換算して、新たな基準年の物価指数に接続されます。
高度経済成長期とリーマンショック不況の物価指数
次の図は、現在公表されている2015年基準消費者物価指数の、1970年~2018年までの年平均の変化です。つまり2015年を100として各年の数値がいくつか、という見方です。
2018年は101.3で、1.3ポイント増加です。
分かりやすく言えば、2015年、ひと月に消費する家計が30万円であったとしたら、同じ商品やサービスを購入する為に、2018年には30万3,900円が必要になっていたという事です。
2015年基準 消費者物価指数時系列
総務省統計局HPより筆者作成
このグラフを見てまず分かるのは、1970年~1990年までの物価上昇が非常に激しかったということです。1970年は2015年の1/3程度の物価水準だったのですから、筆者の親世代がちょうど子育てをしていた時代と今とでは、実に2~3倍の価格差があるのです。
そしてもう一つ気になるのが、記憶に新しい2008年のリーマンショック以降続いた、不況の中、消費者物価指数はそれほど大きく変動していないという事実です。2008年~2015年までの間で、最もポイントが下がっているのは2012年の96.2(-3.8)です。
これは、2015年ではひと月の家計が30万円の場合、2012年なら28万8,600円で済んでいたという計算になります。
今後、物価はどうなるのでしょうか。また、家計において物価変動がどう影響するのか、確認しておきましょう。