4章第4話:「2回目の乾杯!」/恋する3センチヒール

恋する3センチヒール

一人で投資について学んでいた俊明だが利回りばかりに捉われて本質を見失ってしまっていた。
玲奈は俊明との関係を深めていくのか…
前回 4章第3話:「ギャンブラー」

4章第4話「2回目の乾杯!」

「実は、紗愛子さんから提案された物件を断ったんです」

俊明くんは、少し申し訳なさそうな表情で言った。
店員が運んできた新鮮野菜のバ―ニャカウダが、食卓の上を鮮やかにした。
対照的に、俊明くんは浮かない顔をしている。

「どうして断ることにしたの?」

「株が上手くいきすぎてしまって、利回り4.8%とかだと魅力的な投資先に思えなくなってしまったんです。不動産投資の仕組み自体は面白いものだなとは思うものの、新築不動産じゃなくても良いかなと思ってしまって。地方だと160万円くらいで中古の物件が沢山出ているので、そっちで利回り20%とか超えているのを見てしまうと、益々分からなくなってしまいました」

机に運ばれてきたパテをお皿に取り分けながら、俊明くんは首を振って小さく溜息をついた。

「なんで、株とかFXってハイリスクハイリターンって呼ばれているか知ってる?」

「リスクが大きいからですか?」

「そう。株やFXって自分では予測できないような要因に、収益が左右されちゃうでしょ?ファンダメンタルズ分析をしても、そこで予測できていること以外の原因で株価も左右されちゃうよね。マンション投資は、株とかFXみたいに儲かるっていう意味で大きなウマミのある話しではないかも知れない。けど、リスクが少なく安定的っていう意味では、長期的に収益をあげることの出来る投資先だと思うよ」

俊明くんは、納得がいかないような顔をした。

「確かに、不動産投資の良いところは、リスクを予想できるところだと思います。好立地の物件を購入しておけば、不動産価値が半分になったり、賃料が半分になったりすることも無いと見込めますし。ただ、投資っていう面ではどうなのかなって。そこだけなんです」

「そっかぁ…」

投資家脳になっている俊明くんを前にして、何て言葉を掛ければ正しいのか。
私は、慎重に言葉を選んだ。

「一回、不動産投資から離れてみよっか」

「えっ。あ、はい」

意外そうな顔をして、俊明くんはこっちを見た。

「私はね、俊明くんに不動産投資をして欲しい!っていう訳じゃないの。だって、私は紗愛子さんみたいに投資用不動産会社の人間じゃないし。ただの、メーカーの事務職。まぁ、ちょっと異動があって上海に2年間行っていたりはしていたけれども。私は、俊明くんに、俊明くんの人生についてしっかり考えてもらいたいだけ。せっかく、また2年越しに再会出来た訳だし、もう少し私の話しに付き合ってもらっても良いかな?」

「もちろんです。ありがとうございます」

「じゃあ、改めて乾杯!」

丁度運ばれてきた、赤ワインのグラスをそっと合わせた。

「今度、ちょっと勉強会をやろっか」

「是非、宜しくお願いします」

私達は、お互いの顔を見合わせて笑った。

4章第5話:「時間軸」

みかみ

パグ犬愛好家。 趣味は、投資。夢は、世界を虜にする小説家。

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