50歳で早期リタイア、老後資金は1億円で足りる?

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老後の生活費は1億円で足りる? 賃貸と持ち家の場合で比較

老後の生活設計を考えるうえで、どれくらい生活費がかかっているのかを、総務省「家計調査年報(家計収支編)平成30年」(2018年)を参考にし、さらに賃貸と持ち家の場合に分けて比較してみます。
今回は、女性の平均寿命にあわせて50歳から90歳までの40年間としました。

1カ月の生活費目安


参考データ:総務省「家計調査年報(家計収支編)平成30年

50~59歳までの消費支出額は2人以上世帯の平均を用いました。
借家の家賃については、総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査」を参考にしました。
賃貸の1カ月あたりの家賃は、全国平均は5万5,675円で、前回2013年とくらべて3%増となっています。
ただし、家賃については地域格差があり、首都圏の東京都では8万1,001円、神奈川県では6万8,100円なので、シミュレーションにおいて考慮する必要がある都道府県もあります。

では、平均的に考えて、老後資金はいくらぐらい必要なのでしょうか。

持家・夫婦の場合:約1億2,408万円

50~59歳:29万円×12カ月×10年=3,480万円
60~90歳:24万円×12カ月×31年=8,928万円
合計金額:1億2,408万円

賃貸・夫婦の場合:約1億4,256万円

50~59歳:33万円×12カ月×10年=3,960万円
60~90歳:28万円×12カ月×31年=1億416万円
合計金額:1億4,376万円

持家・シングルの場合:7,500万円

50~59歳:16万円×12カ月×10年=1,920万円
60~90歳:15万円×12カ月×31年=5,580万円
合計金額:7,500万円

賃貸・シングルの場合:9,468万円

50~59歳:20万円×12カ月×10年=2,400万円
60~90歳:19万円×12カ月×31年=7,068万円
合計金額:9,468万円

年齢階層別のデータでは、世帯主が50~59歳の世帯の場合1か月あたり34万2,757円の支出になっていますので、実際には600万円ほど多めに見積もっておくとよいでしょう。
夫婦世帯では50歳で早期リタイアした場合、持ち家でも賃貸でも生活費だけで軽く1億円を超えてしまいます。
また、シングルの場合でも家賃の負担があれば1億円あってもギリギリです。

老後資金はどう作る?

老後はまだ先のことだからと考えていると、老後資金が貯まらないままになってしまいます。
そこで、収入から計画的に積み立てていくのがベストです。

すぐに何にでも使える預貯金は大切ですが、低金利が続いており預貯金を利用してもわずかな利息しか得られません。
ですから、貯蓄だけではなく「お金を育てる」投資に目を向ける必要があります。
投資というと「損をしそうで怖い」と思う人は少なくありませんが、老後までのまとまった期間があるのを利用すればリスクを小さくすることが可能。税制でも有利な方法で準備していきましょう。

日本に住む20歳以上なら使えるものにiDeCo(=イデコ、個人型確定拠出年金)があります。この確定拠出年金では、定期預金や保険、投資信託の中から、自分で選んだ商品で運用していきます。
月額5,000円以上1,000円単位で積み立てていくことができます。iDeCoの場合、掛金が全額所得控除になり所得税と住民税が安くなり、運用中の利益にも税金がかかりません
将来受け取るときも税金の優遇制度があります

このほかにも目的が老後資金に限定されないものには、「NISA(少額投資非課税制度)」「つみたてNISA」が利用できます。
通常、投資によって得られた利益には20.315%の税金がかかりますが、運用中の利益が非課税になるメリットをいかして投資にチャレンジしてみましょう。

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まとめ

老後資金は、少なくとも1億円準備しておきたいですね。老後資金に使えるお金として、退職金のほかには公的年金もありますが、それだけでは足りない分は自分で準備する時代です。
かつては、退職金はもらったら取り崩していくというのが常識でした。平均寿命が延び、老後の期間が長くなれば、「資産運用しながら使う」という発想も必要になるでしょう。

早期リタイアすれば、確かに退職金は定年まで勤めたときにくらべ減りますが、資産を運用して収入を得るという方法もあります。
新しいことをはじめるのには、それなりの気力や体力もいるので、老後の選択肢の一つとして考える価値はあります。
今後、年金支給開始が遅くなったり、医療費や介護で自己負担が増えたりすることも予想されます。
早期リタイアをする場合、十分な老後資金を準備する必要があります。

池田 幸代

株式会社ブリエ 代表取締役 証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不...

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