マネー初心者でも分かる!個人年金の「確定年金」とは

年金・社会保険

老後の生活資金準備のための積立商品として保険会社が取り扱う個人年金保険がありますが、受け取り方法には「確定年金」「有期年金」「終身年金」と3種類あります。
今回は「確定年金」の特徴を確認しておきましょう。

公的年金と、私的年金

読者の皆さんは、日本の年金制度を理解されていますか?
最近、様々なメディアで確定拠出年金がピックアップされることが多いので、「確定」の名前がつく別の年金を、一緒のものだと勘違いされる方を見かけました。
一般的に「年金」と呼ばれるものを一覧にしたものが次の表です。

大きく「公的年金」と「私的年金」に分けられます。
公的年金は強制加入なので、日本に住民票をおいている人は全員、加入しなければなりません。たとえ外国籍の人であっても、納付義務があります。
納めた保険料そのものが皆さんのものではなく、年金支給を受けている現在の老齢者の財源になります。みなさんは加入期間と納付額に応じて、将来の年金額が計算されます。

対して私的年金は、皆さんが加入するかどうか選ぶことができ、納めた保険料は皆さんの「財産」となります。この中で「個人年金」というのは「保険会社の年金商品」のことを指します。そしてこの「個人年金」の中に、「確定年金」という種類があります。

確定年金の特徴

確定年金は、個人年金保険の中で、最もポピュラーな種別になります。何が「確定」しているのかというと、「保険会社が年金を支払う期間・および年金額」が確定=決まっている、ということです。

もし、この記事をお読みになっているみなさんが、老後の資金準備の為に、確定年金保険に加入していたとします。「保険会社が支払う」ということは、「みなさんが受取る」ということで、間違いはありませんが、それだけでは不十分な説明になります。なぜなら、年金の受取期間中に死亡した場合でも、保険会社は残りの年金を、遺族に支払うからです。

毎年100万円の年金を、60歳から69歳まで、10年間(年1回×10回)受取る確定年金に加入していた場合、69歳まで生存していたら、皆さんは全額受取る事ができます。
しかし67歳時に、残り2回分の年金受取りを前に死亡すると、その2回分は遺族が同じように2年間に渡って受取るか、もしくは1回にまとめて受取る事ができます。

受取り総額を多くするには

年金受取りまでに支払った保険料総額より、受取る年金総額が多くなければ、そもそも保険で将来の資金作りをする意味はありませんので、みなさんの支払額よりもみなさんの受取額が大きくなるのが当然です。
受取り総額を多くしようとするのであれば、「年金受取り開始時期」をなるべく遅く、「年金受取り期間」をなるべく長く設計することです。
保険会社にとっては、支払時期が遅くなる分「年金原資」を、支払期間が長くなる分、「未払い年金残高」を預かっておくことができるので、そのお金に関して運用し、利息を契約者に還元できるからです。

一括で受取る場合は注意

とは言え、人生何があるか分かりませんので、当初10年間、20年間の受取りで設計した年金でも、「やっぱり一括で受取りたい」と、変更できる保険会社が大半です。
一括で受取る場合は、受取総額が減ってしまいます。本来20年間で受取る前提で設計した「年金額」には、「まだみなさんに支払っていないけれど、将来支払う予定の年金資金の、運用利益」も加算されています。

それを「やっぱり先にちょうだい」と変更するのであれば、運用できる資金は無くなる訳ですから、その分、年金総額から運用利益分を差し引かなければ、他の年金受取人の方と平等には取り扱えません。逆に言えば、年金受取り「開始」時期には、まだ発生していない運用利益も、「年金受取り期間」の間に「これだけ運用益を出せる」と保険会社は先に計算して、「年金額」を確定させて、保障してくれるのです。

まとめ

「確定」とは、保険会社が支払う年金額が確定しているということです。
保険会社は年金受取人が死亡した場合でも、確定された年金は必ず支払いますから、支払った保険料以上に自分もしくは家族が元本割れすることなく受取りたい人は、確定年金を選ぶとよいでしょう。

佐々木 愛子

ファイナンシャルプランナー(AFP)、証券外務員Ⅰ種 国内外の保険会社で8年以上営業、証券IFAを経験後、リーマンショック後の超低金利時代、リテール営業を中...

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