先物取引「石油」の特徴やリスクまとめ
先物取引(さきものとりひき)とは、ある商品について、将来の売買を約束しておく取引のことです。扱っている商品はいろいろありますが、今回は石油の場合の特徴とリスクについて解説します。
先物取引「石油」の特徴
商品の売買には、「現物取引(げんぶつとりひき)」と「先物取引」の2種類があります。お店などで普段している買い物は、現物取引です。レジでお金を払ったらその場で商品を受け取る、目の前にある物の取引だからです。
これに対して、将来のある一定の日に、いくらで売買するのか約束をしておくのが先物取引です。先の物を取引する、と考えると覚えやすいですね。
先物取引のメリットは、あらかじめ売買する価格と量が決まっていることです。価格が変動しやすい商品は、様々な要因で値上がりしたり、値下がりしたりします。たとえば、生産量が少なくなれば値上がりする傾向になります。
石油の場合は、OPEC(石油輸出国機構)の生産量だけでなく、中東地域の情勢によっても影響を受けます。取引されている石油製品は、原油・ガソリン・灯油・軽油ですが、それぞれ値動きの要因が異なります。
●原油
1キロリットルあたり、4万1000円~4万4000円前後で取引されています。中東情勢に影響をうけることに加え、輸入がドル建てで行われるため、為替変動によっても変動します。
●ガソリン
1キロリットルあたり、5万7000~5万9000円前後です。ほとんどが自動車エンジンの燃料として使われるので、原油価格だけでなく、自動車の販売台数や景気の動向によっても変わります。
●灯油
1キロリットルあたり、5万6000~6万2000円前後です。主として暖房用に使われるので、暖房器具の売れ行きや季節や気候によって変動します。
●軽油
1キロリットルあたり、5万5000~5万9000円前後です。軽油はディーゼルエンジンの燃料になります。トラック、バス、鉄道、船舶にも使われますので、景気が上向いて物流がさかんになると、それに伴って価格が変わります。
先物取引「石油」のリスク、注意点
価格の変動があることを利用して、安く買って高く売れば、その差額が利益になります。ただし注意も必要です。
先物取引は、将来の売買を約束するだけなので、商品の代金を全額用意しなくても始められます。必要なのは、売買取引を担保する証拠金だけ。たとえば、100万円の取引をするのに15万円程度の証拠金からでも始めることが可能です。
そのため、少しの資金で大きな取引ができるので、小さな値動きでも大きな利益を得ることが可能ですが、逆に大きな損失を出してしまう場合もあります。
特に、石油をとりまく情勢が今後大きく変わってくることも考えられるため、予想外の値動きをする可能性があります。
まとめ
電気自動車をはじめとするエコ燃料製品の台頭や、アメリカのパリ協定脱退など、目の離せないことが次々と起こっています。石油の価格推移から世界を見ると、今まで気づかなかったことが見えてくるかもしれませんね。