転職時の健康保険の手続きで大失敗!その落とし穴とは
会社を退職後に体調不良となり病院へ
Aさんは仕事の引継ぎが終了し、勤めていた会社を円満に退職。ところが、転職に向けて動き出そうとした矢先、Aさんは体調を崩してしまったのです。このとき、会社側の説明を真剣に聞かなかった健康保険の手続きは、まだ行っていません。
病院に行きたいけど保険証がない!
Aさんが退職したのは12月。インフルエンザウイルスが猛威を振るうシーズンに、Aさんは頭痛や高熱に襲われました。普段あまり病気にかからないAさんは、あまりの症状に驚き、必死の思いで病院へ行きました。
無事病院にたどり着いたところで、窓口で求められたのは健康保険証の提示。いつものように財布の中を確認すると、健康保険証が見当たりません。それもそのはず。退職時に健康保険証を返還した後、新たな健康保険の手続きをしていなかったのです。
転職時には健康保険の取り扱いに注意!
退職して保険証を返還すると、健康保険に未加入の状態になります。健康保険による診察料の補助を受けるには、先に説明した3つのうち、必ずどれかの健康保険に入っておかなければなりません。
選択肢のひとつは、退職前に入っていた健康保険の「任意継続被保険者」となること。任意継続を希望すると、会社で加入していた健康保険の被保険者である資格を退職などで失っても、条件を満たすことで一定期間、健康保険に継続加入できます。
他にあるのは、国民健康保険に加入する、もしくは、親族が加入している被用者保険の扶養に入るという選択。しかし、どの形をとるにしても手続きが必要で、新しい健康保険証を取得するまでには時間がかかります。
保険に加入していないと診療代は全額負担…!
健康保険証を持っていないAさんは、「健康保険証がない場合、本日の診療代は全額負担となりますがよろしいですか?」と病院側から告げられました。
今までは健康保険に加入していたため、病院窓口での自己負担額は3割です。「3割でなかったら治療にはいくらかかるのか、持っているお金で足りるのか…」などの不安が募りましたが、あまりの体調不良に断ることはできませんでした。
ひとまず診療してもらえたが高額請求
診察の結果、Aさんはインフルエンザであることが判明。問診後、点滴を行いインフルエンザ治療薬の説明を受けました。待合室で待っていると名前を呼ばれたため、会計窓口へ向かい、支払金額を確認してビックリ!なんと数万円の請求が提示されたのです。
診察代を全額負担することは理解していましたが、健康保険の補助がないと数万円の出費になるとは考えていませんでした。もちろん、財布の中にある金額だけでは足りません。Aさんは家族に電話をして、お金を持ってきてもらうことになったのです。
当月中に健康保険証を持参できれば差額返金
なんとか病院での支払いを済ませると、病院側から「当月中に健康保険証の持参があれば3割の差額を返金します」と言われたAさん。インフルエンザの完治後、急いで健康保険の手続きを行いました。
75歳未満であるAさんの選択肢は、国民健康保険への加入、被用者保険の継続、家族の被用者保険に扶養として入ることの3つです。退職時に被用者保険を継続する手続きをしなかったAさんが、前職の健康保険を任意で継続したい場合は、退職した会社に再度詳細を確認しなければなりません。また、国民健康保険に加入するなら自分で役所や出張所に出向く必要があります。
転職先が決まるまでの期間、どの保険に入るか悩んだAさん。手続きが少なくて済みそうだからと、最後の選択肢である家族の被用者保険の扶養に入ることを選びました。しかしAさんの手続きには、まだまだ困難が続きます…。