年末調整で受けられない控除は?

税金

会社が税金を計算してくれる年末調整。でも、「これで税金はすべて会社にお任せ!」と思ったら要注意。せっかく控除できるものでも、年末調整では受けられない控除もあります。今回は、年末調整で受けられない控除を確認していきましょう。

年末調整で受けられない控除は?

控除は大きく分けると2種類、所得から差し引く控除(所得控除)と税額から差し引く控除(税額控除)があります。所得控除は所得から差し引くもの、税額控除は税額から差し引くものです。

所得税の確定申告書(下図Ⅰ)を見てみましょう。「所得から差し引かれる金額」の部分が所得控除です。(A)と(B)に分かれ、それぞれを合計した金額が所得控除の金額となります。源泉徴収簿(下図Ⅱ)と見比べてみましょう。
源泉徴収簿は年末調整用ですが(B)の控除はありません。つまり(A)は年末調整で受けられる控除、(B)は年末調整で受けられない控除ということです。

出所:国税庁

年末調整で受けられない控除は、所得控除のうち、「雑損控除」「医療費控除」「寄附金控除」の3つのほか、税額控除のうち「住宅ローン控除の初年度分」です。

雑損控除

雑損控除は、地震や台風などの災害、盗難、横領で自宅や家財等に損害を受けた場合、一定額を控除できるものですが、オレオレ詐欺や恐喝は控除できません。もし損害額が多くてその年では控除できない場合には、3年間繰越ができます。

医療費控除

医療費控除は、1年間に支払った医療費が10万円超の場合に、その10万円を超えた金額(最高200万円まで)を控除できるものです。ただし、この「10万円」という基準は、所得が給与だけの場合なら、10万円と「給与所得×5%」とのいずれか少ない金額となります。病気やけがで生命保険の入院給付金や高額療養費などを受取った場合には、支払った医療費の金額から控除して計算します。

また、2017年から「セルフメディケーション税制」がスタートしました。今までの医療費控除との選択制ですが、健康の保持増進及び予防への取組として一定の健康診査や予防接種などを行っている場合、ドラッグストアで購入できる対象医薬品等の購入費の合計額が1年間で1万2000円を超えた場合に、その1万2000円を超えた金額について最高8万8000円まで控除できます。対象医薬品かどうかは、医薬品記載の共通識別マークやレシートで確認しましょう。

寄附金控除

寄附金控除は、国や地方公共団体等に「特定寄附金」を支出した場合に控除を受けることができます。「ふるさと納税」も寄附金控除の一つです。ただし、控除できる金額は、寄附した金額(所得が給与だけの場合には「給与所得×40%」とのいずれか少ない金額)から2000円を引いた金額です。

住宅ローン控除

住宅ローン控除を初めて受ける場合には確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で控除を受けることができます。

ふるさと納税でワンストップ特例をしていても確定申告が必要な場合

「ふるさと納税ワンストップ特例」とは、確定申告が不要な会社員で、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内の場合、申請書を提出すれば確定申告をしなくても寄附金控除が受けられる特例です。しかし、ワンストップ特例の申請書を提出していても、確定申告を行う場合には適用されず、すべてのふるさと納税の金額も合わせて提出して寄附金控除を計算することになります。

まとめ

控除を受けられるかどうかは、税金を取り戻せる重要なポイントです。でも、年末調整で控除できないからといって、そのままではもったいないですね。医療費控除だけ受けるので確定申告するというような場合、翌年1月1日から申告できる還付申告の制度がありますので、早目に準備しておくとよいですね。

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中島 典子

税理士・社会保険労務士・CFP。 大手外資系会計事務所の税務部門を経て独立。個人・オーナー経営者・起業家のお金の悩みごとをワンストップでトータルサポート。子...

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