年金受給マニュアル 損しないために知っておきたい基礎知識

年金・社会保険

年金の基礎的な知識を理解しているだけで、防げる損があります。
そして、年金を受け取る額は、報酬、納付期間だけでなく、年齢や家族構成、働き方、受給するタイミングなどでも変わってきます。
今回は、年金で損しないための基礎知識と、家族構成で変わる年金の損を、会社員で年上の夫がいる人のケースで考えてみましょう。文中の厚生年金は共済年金も同じです。

保険料の支払いは2年、請求権は5年が時効

公的な年金も民間の保険と同じように、年金を受取れる条件をクリアするように保険料を払っていないと、年金を1円も受け取ることはできません。
年金には、一般的にイメージする「老齢年金」以外に、「障害年金」と「遺族年金」があります。障害年金や遺族年金は、若い方にも受取る可能性があります。重い障害がありながら、保険料を払っていないために、障害年金の請求ができないケースがあります。
保険料は2年分さかのぼって支払うことができます。また、猶予や免除を受けている期間であれば10年前までさかのぼれます。支払い漏れのないようにしましょう。

また年金は、請求しないと受け取れません。請求する権利は5年前の分までさかのぼれます。時間がなくて請求手続をしていなかった、受け取れることを知らなかった、などで時効になってしまい、年金を受け取ることのできない場合があるので注意してください。
なお、一時金などの請求権の時効は2年です。

家族構成と働き方で変わる、損しない受給方法

では、公的年金の発生しがちな損について、年上のサラリーマンの夫がいる妻のケースで考えてみましょう。

●配偶者加給年金
夫は20年以上厚生年金に加入、妻は20年未満の厚生年金期間である場合、夫が65歳からの厚生年金に「配偶者加給年金」が妻65歳までの間、年約39万円(2018年度)が加算されます。
つまり、妻の厚生年金期間が240カ月以上である場合には、加給年金がつきません。妻の厚生年金期間が239カ月と240カ月では、夫の年金に年間約39万円の差がつくということです。年の差が大きければ大きいほど、加給年金を受け取る期間が長くなるので、受け取る年金の合計差は大きくなります。
現在、厚生年金期間が240カ月未満の年下妻は、今後の働き方に注意しましょう。

●繰り上げ・繰下げ受給
繰り上げ受給(=65歳になる前に年金を受取ること)は慎重にしてください。一生年金が減る、障害年金の対象から外れる、それ以外に遺族年金との調整があるからです。
繰上げ受給をすると65歳までの間、1カ月ごとに0.5%減額されます。そのため、本来65歳からの年金を60歳で受け取ると、30%減って70%となり、一生70%のままの額となります。

また、65歳未満の期間は、1つの年金しか受け取れません。会社員の夫に万が一のことがあれば、遺族年金の対象になります。繰り上げの年金を受け取っていた場合、遺族年金とどちらかを選びます。一方はもらえません。
65歳以降はどちらも受け取れますが、自分の年金は一生減った額のままです。

夫側から考えると、65歳からの年金を繰り下げして、1年以上遅らせて受け取ることにした場合、厚生年金は1カ月ごとに0.7%増額となります。最長の5年待てば42%増えます。しかし、配偶者加給年金は待っている期間分は後から受け取ることはできませんし、加給年金は遅らせても増額にはなりません。
加給年金が年間39万円であることと、繰り下げによる増額率から考えると、65歳から加給年金がある夫は、厚生年金は繰り下げしないほうが賢明です。

●離婚分割は離婚後2年以内に手続き必要
離婚による厚生年金の分割は、離婚後2年以内に請求手続を完了していないといけません。元夫から提出してもらう書類が必要となることもあります。離婚後時間が経っていると、元夫との接触がしづらいですよね。離婚が心をよぎったら、離婚前に年金事務所などで相談しましょう。
なお、年金の離婚分割は、厚生年金の多いほうから、少ないほうへ分け与えることをいいます。請求した人がもらえるとは決まっていません。

まとめ

損しない年金の基礎知識と、年金は家族として受け取り方を考えることが重要なことを、ご理解頂けたでしょうか。
年齢や厚生年金期間、働いている状況や収入によって、それぞれ損しない受け取り方が変わります。この記事を読んで、公的年金制度に興味を持ってもらえたら嬉しいです。

小野 みゆき

中高年女性のお金のホームドクター 社会保険労務士・CFP・1級DCプランナー・年金マスター 企業で労務、健康・厚生年金保険手続き業務を経験した後、司法書士事...

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