共済年金が厚生年金に一元化 公務員の受取る年金額はどう変わる?

年金・社会保険

先ごろの「老後資金2000万円問題」の報道は、老後への備えを真剣に考えるきっかけになりました。その一方で、若い世代でも将来もらう年金に対して、支給額が減るのではないかと不安に感じている人は多いのではないでしょうか。
今回は給付が減ったといわれる共済年金について、どう変わったのか見てみましょう。

厚生年金への一元化とは?

老齢年金には、日本の全国民が加入する老齢基礎年金(国民年金)があります。
そのうえに会社員や公務員などが加入する被用者年金(2階建て部分)は、「老齢厚生年金」と「退職共済年金」の二つがありましたが、公務員が加入する共済年金が優遇されていると批判されていました。
また、今後の少子・高齢化が進むことに備えて、年金制度の安定性を高める必要性もあります。

そのような背景で、平成27年10月から公務員や私学教員が加入していた「共済年金」が廃止され、厚生年金に加入することになりました。これを「年金の一元化」と呼んでいます。
一元化の目的のひとつは、官民の年金額の格差の解消だといわれています。これにより公務員の年金の給付や保険料も原則的には厚生年金に統一されました。

保険料率も公務員共済は平成30年に厚生年金と同じ18.3%になりました。
私学共済は平成31年4月分から令和2年3月分までは、15.770%ですが令和9年まで0.354%ずつ引き上げられ、最終的には18.3%になる予定です。

従前の年金給付

共済年金と厚生年金との違い

それでは共済年金から厚生年金とは、保険料率以外にどんな違いがあったのでしょうか。

共済年金の「職域加算」は、共済年金独自の年金の上乗せの制度です。会社員が加入する「企業年金」とほぼ同じ位置づけです。

しかし、具体的には
・保険料率が共済年金のほうが厚生年金より低い
・共済年金は保険料を納めると、1~3階部分に充当されていた
 (厚生年金では、保険料は1~2階部分に充当)

などの点があげられます。
そこで、一元化によって新たな制度の「年金払い退職給付」の制度ができたのです。

一元化後の年金給付

一元化後の公務員の受取る年金額の違い

この年金払い退職給付と従前の職域加算(職域部分)には、どのような違いがあるのでしょうか。

職域加算の場合

・すべて終身年金での受け取り
・職域加算部分の保険料負担がない
・賦課方式(現在働く人が払い込んだお金を現在の高齢者に支給する仕組み)

年金払い退職給付

・年金の受け取りの半分が有期年金(10年または20年)、もう半分は終身年金
・新たに保険料を負担する(保険料は労使合わせて1.5%が上限)
・積立方式(現役時代に払い込んだお金を積立、老後に受け取る仕組み)

つまり、新たに保険料の負担が加わったほかに、年金の給付水準も下がることになりました。
年金額では、毎月の給料の平均が36万円で40年加入していたモデル年金額の場合、65歳からもらえる年金の金額が、職域加算では月約2万円もらえるところが一元化後は月約1万8000円に下がるという計算結果が出ています。

ただし、今までの加入期間の給付すべてが年金払い退職給付になるわけではありません。平成27年9月までの期間分は「職域加算」で支給され、平成27年10月以降の期間分は「年金払い退職給付」で別々に支給されます。

まとめ

新たな制度によって、公務員と民間の会社員の年金の格差は縮まったといえるでしょう。公平になった年金制度ですが、ある日を境にガラリと年金制度が変わってしまうことがあり得るということです。

老後の主な収入源の年金ですが、少子高齢化で年金制度も改正されていくことがあるかもしれません。厳しくなっていく年金制度に対して、個人でも老後資金を準備しておく必要があります。

池田 幸代

株式会社ブリエ 代表取締役 証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不...

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