保証期間付き有期年金形式で年金をもらう際のメリット・注意点まとめ
いわゆる「老後2000万円問題」で、これまで資産運用とは無縁だと思われていた一般の方々が、積極的に「資産運用」「資産形成」というワードに興味を持ち、行動に移しているというニュースをよく耳にします。
証券会社、保険会社、不動産会社など、各分野・各業界の勧誘や提案があふれる中、今回は保険会社が提案する「個人年金保険」について、「保証期間」「有期」というワードを掘り下げ、保証期間付き有期年金形式で年金をもらう際のメリットと注意点をお伝えしたいと思います。
保険会社で扱う年金保険の仕組み
保険会社で扱う年金商品(個人年金保険)は、大きく分けて円建て、外貨建て、変額(株式運用含)の分類になります。
まず仕分けをすべきは、「運用方法」です。
リスク度合いは、人それぞれ許容度(どれだけのリスクを取って良いか)が異なりますので、加入者である皆さんは、どの運用方法が自分に合っているか考えましょう。
保険は契約者である皆さんが掛けた保険料を、保険会社が運用することで成り立っています。
その中でもお金を増やすことを目的にした商品(年金保険、終身保険、養老保険など)は、運用の手法に応じて、同じ「保険」「年金」という言葉が商品名に入っていても、運用の仕組みやその後のリターンは全く異なります。
リスクの低い順に、円建て<外貨建て<変額、という認識でよいと思います。
リスクが低いということは、当然リターンも少ないということです。
次に考えるのは、年金原資(年金受け取り開始時のそれまでの蓄え)を、老後どのように受け取りたいかです。
年金の受取り期間を10年と設定した場合、
①受け取り期間中に自身が死んでも、遺族が受け取れるように設定する
②死後の権利は放棄して、自身の生存中になるべく多くもらえるように設定する
保険会社の立場で見ると、①のように年金受給者の生死に関係なく〇万円の年金を〇年間支払います、という「確定」された金額や時間を試算することは比較的容易ですが、保険会社は必ず払わなくてはなりません。(=確定年金)
しかし、②の「生存」を条件に給付される約束であれば、どの年金受給者が何歳まで生きるかはわからないので、全体の平均余命などから年金額を算出する必要がありますが、亡くなれば払わなくてよくなります。(=有期年金)
そのため同じ保険料なら、①確定年金のほうが、②有期年金よりも年金額を少なくしなければ、保険会社としては割に合いません。
つまり、有期年金は「死後には受け取れない」というリスクを取る分、受取れる年金が多くなるのです。
しかし、生きていれば10年受取れる年金が、1年しか受け取れなかったらと考えると納得できないと思う人もいるのではないでしょうか。
そのようなことを解決できるのが、有期年金に保証期間を付けた商品です。
次項以降で、もう少し細かく確認していきましょう。
メリット1:保証期間は、死亡しても遺族に支払われる
「保証期間」「有期年金」について、この2つの言葉がミックスされていると、「意味がわからない」と困惑される方がいるようです。
言われてみればそうだなぁ、と筆者も共感したところで、まずは言葉の意味を説明します。
保証期間は、「保険会社」が「年金を支払う約束」をする期間の事です。
ここまでの説明でとどめておくと、それなら絶対に「保証期間付き」というワードの入っていない年金は入らないでおこう、と思われるかもしれませんが、ちょっと違います。
大まかに個人年金は、年金支払い別に分けて、「確定年金」「有期年金」「終身年金」の3タイプに分かれています。
まず「確定年金」「有期年金」の意味について下の図で見てみましょう。
筆者作成
有期年金は「年金受取人の生存」が、年金の支払い条件になりますので、生きていないと年金は受け取れません。
イメージをしていただくと、国の公的年金の「一定期間版」という感じでしょうか。
「保証期間付き」だと、もし年金受取人が死亡したとしても、その期間であれば遺族に年金が支払われます。
保証期間が終わった後は、保険会社から年金は、支払われません。
メリット2:設定期間より長生きをすれば、確定年金よりも多く受け取れる
保証期間付き有期年金では、図の色が変わっているところを境目に、保証期間を過ぎた後は「死んでしまったら年金はいりません」と、保険会社にメリットを与えているわけです。
設計上、「死んでも遺族に年金を支払って下さい(確定年金)」というケースに比べて、有期年金は加入者がリスクを取っている分、「その代り、年金額は少し多めに欲しい」というリターンも取れるのです。
続いて保証期間付き有期年金形式で年金をもらう際の注意点まとめについて解説します。