世界のお金を日本円にしてみたら？1000円で何が買えるのか比較してみた

2022年は、円安・円高といった、為替レートに関わるニュースがたくさん報じられました。日本では円安が一気に進んだことが、物価が上昇する要因のひとつになっています。

今回は、円安・円高が生活に与える影響について紹介します。合わせて、日本円の1000円を世界のお金に交換した場合、各国でどんなものが買えるのかを調べてみました。

円安・円高ってそもそもなに？

円安・円高とは、日本の円をドルやユーロといった外国の通貨と交換するときの交換比率（為替レート）がどうなったかを示す言葉です。

為替レートは、外国の通貨から見て円の価値が安くなったか高くなったかを表します。

たとえば、1ドル＝100円ならば1ドルで100円が手に入ります。これが1ドル＝110円になったら、1ドルで110円が手に入ることになります。1ドルで手に入る円の金額が増えたということは「ドルから見て円の価値が安くなった」ことを表します。つまり、円安です。

反対に1ドル＝90円になったら、1ドルで90円しか手に入りません。1ドルで手に入る円の金額が減ったということは「ドルから見て円の価値が高くなった」ので、円高です。

為替レートには、シーソーのような関係があります。円とドルの例でいうと、「円高とドル安」「円安とドル高」はセットで起こります。この10年ほどの円とドルの為替レートの推移は、次のようになっています。

●米ドル/円の為替レート（2012年11月〜2022年10月・月次）

日本銀行のデータより(株)Money&You作成

2012年11月末時点は1ドル＝82.63円でしたが、10年後の2022年10月末時点は1ドル＝148.01円。10年間で実に80％近くも円安になっていることがわかります。しかも、2022年1月末時点では115円でした。わずか1年足らずの間に、30円以上の急激な円安が進行しているのです。

為替レートは、2つの通貨の組み合わせの数だけ存在します。円とドル、円とユーロといった円との組み合わせはもちろん、ドルとユーロ、ドルとポンドといった外国の通貨の組み合わせも存在します。

なお、2022年10月末時点の各国の通貨と円の為替レートは次のとおりです。

各国の通貨と円の為替レート（2022年10月末時点）

・米国　米ドル　1米ドル＝148.01円
・欧州　ユーロ　１ユーロ＝146.97円
・英国　ポンド　１ポンド＝170.56円
・スイス　フラン　１フラン＝148.49円
・オーストラリア　豪ドル　1豪ドル＝95.13円
・ニュージーランド　NZドル　1NZドル＝86.45円
・中国　元　1元＝20.3592円
・南アフリカ　ランド　１ランド＝8.1239円
・タイ　バーツ　1バーツ＝3.9062円

米国のみ日本銀行、そのほかはInvesting.comのデータより

為替レートの決まり方に「購買力平価」という考えがある

全く貿易障壁のない世界、つまり国境がなく世界が一つと考えると、同じ製品の価格は一つであるという「一物一価の法則」が成り立つはずです。この法則が成り立つ時の二国間の為替相場を「購買力平価」と言います。

購買力平価のうち、現時点で異なる国の間で同じ製品を同じ価格で購入できる水準として算出されるものを「絶対的購買力平価」と言い、過去の一時点を起点として、その後の国間のインフレの差を調整して時系列に物価を均衡させる為替相場を算出するものを「相対的購買力平価」と言います。

購買力平価はいくつかに分かれていて、「消費者物価ベースの購買力平価」は、消費者が実際に購入する段階での小売価格をベースとした為替レートで、「企業物価ベースの購買力平価」は、企国内の企業間取引の価格をベースとした為替レートです。

公益財団法人国際通貨研究所の「ドル円購買力平価と実勢相場」によると、2022年9月末基準で、消費者物価ベースのドル円の為替レートは108.72円です。企業物価ベースのドル円の為替レートは88.87円です。

2022年11月7日時点の146.62円は、消費者物価・企業物価ベースから見れば「円安」と言えます。

実際の為替レートが購買力平価と一致していることは稀ですが、長期的には購買力平価に沿って為替レートが推移することが一般的です。つまり、為替レートが購買力平価ベースの為替レートから大きく乖離している時は、いずれ購買力平価の水準に向かって動くだろうという相場の将来の方向性を知る手掛かりになります。

また、現在の為替レートが購買力平価よりも通貨高に乖離していれば輸出に不利な状況にあり、通貨安に乖離していれば輸出に有利な状況にあるといったように、為替相場がもたらす国際競争力への影響を知る手掛かりにもなります。