外貨建て保険リスクの説明不足に対する苦情、注意点やポイント整理
日本円ではなく米ドルや豪ドルで運用する「外貨建て保険」の販売数が伸びています。同時に、外貨建て保険に関する苦情も増加しています。原因は、複雑なしくみを理解しないまま契約をしてしまうケースが多いようです。この記事では、そんな複雑な外貨建て保険のしくみについて、ポイントをおさえて解説します。
外貨建て保険・年金の苦情は4年で約2.8倍!
生命保険協会が公表している外貨建て保険・年金の苦情件数は、2018年度は2,543件。これは、2014年度の922件から、4年間で約2.8倍もの増加です。
外貨建て保険の苦情件数推移
出典:一般社団法人 生命保険協会「生命保険各社の苦情受付情報・保険金等お支払い情報について」
外貨建て保険には、「終身保険」「養老保険」「個人年金保険」「変額個人年金」などがあり、保険そのもののしくみは一般的な円建ての保険と同じです。
保険会社をはじめ、保険代理店や銀行の窓口で販売しています。
しかし、外貨建てならではの注意点もあります。
外貨建て保険は、米ドルや豪ドルなど外貨で保険料の払い込みをし、保険金・年金や解約返戻金なども外貨で受け取るしくみになっています。
マイナス金利政策により超低金利である日本円に比べて、金利の高い米ドルや豪ドルで運用することで高い利回りが望める外貨建て保険ですが、複雑なしくみについての説明不足が問題になっています。
苦情の多くは、為替変動リスクや元本割れの説明不足
年々増え続けている外貨建て保険に関する苦情の内容は、しくみや特性をしっかり理解したとは言えないまま契約をしたことによるものが多くなっています。
米ドルや豪ドルなどの外貨は、日本円に比べて金利が高いことから、その金利差が利益として運用結果に反映されますが、一方で為替の変動による影響を受けます。
変動する方向によっては、払い込んだ保険料を大きく下回り元本割れすることもありますが、そういった「為替変動リスクや元本割れの説明が不十分」という苦情が数多く寄せられています。
また、60歳以上の高齢者からの苦情が多く、80歳以上では「両親が銀行の窓口で次々に勧誘され外貨建て保険を含む複数の保険を契約してしまった。解約したが損失が出ている」といった家族からの苦情が多く寄せられています。
参照:国民生活センター、金融庁
では、外貨建て保険を選ぶ時には、どのようにしたらよいのでしょうか。外貨建て保険で失敗しないための注意点を確認します。