外貨建て保険リスクの説明不足に対する苦情、注意点やポイント整理
外貨建て保険の注意点
為替変動リスクを理解して
外貨建て保険は、払い込むときに日本円を米ドルや豪ドルなどの外貨に、保険金や解約返戻金などを受け取るときは外貨から日本円に換えるため、そのときの為替に影響を受けます。
たとえば、保険料を払い込むときに1米ドルが100円、保険金や解約返戻金などを受け取るとき1米ドルが90円と円高になっていた場合は、為替の変動による損失が出てしまうことになります。
一方、1米ドル110円と円安になっていた場合には利益が出ます。タイミングによって、大きな違いがあることに注意が必要です。
出典:生命保険文化センター
さまざまな手数料にも要注意
保険料として払い込んだお金から、差し引かれる手数料にも要注意です。どういったときに手数料が発生するのか理解しておきましょう。
・保険関係費
初期費用として、契約の締結時にかかります。さらに、契約の維持や管理、死亡保障のための手数料が契約期間中かかります。
・年金管理費
保険料の払込期間満了後、年金を受け取るときに差し引かれる手数料です。
・解約時の費用
契約日から一定期間内に解約等をするとき、経過月数に応じて積立金から差し引かれる手数料です。
・外貨取扱手数料
日本円で保険料を払い込みとき、保険金や年金・解約返戻金などを日本円で受け取るとき、負担する為替手数料です。
最低保証利率は利回りとは違う
「最低保証利率○%」「年○%が最低保証されます」は、払い込んだ保険料のうち、手数料などを差し引いたあとの積立部分に対して適用される金利のことです。積立外貨建て保険を契約した人から「最低保証利率が高いため契約を決めた」とよく耳にします。
しかし、ほとんどの人が、定期預金利息とおなじ解釈をしています。払い込んだ保険料に対する利回りではないことを、しっかり押さえておきましょう。
解約時の返戻率が低く流動性が低い
契約期間中に解約をした場合に戻ってくる解約返戻金の割合が低く、通常は払い込んだ保険料総額より少なくなります。契約時の年齢や保険期間・経過年数などによっても異なりますが、契約から時期が早いほど損をするしくみとなっています。
たとえば、契約から1年後に解約した場合、返戻金が払い込んだ保険料の1~3割といったケースもあります。
選ぶポイントを4つに整理
為替変動リスクや手数料、解約返戻率の低さなどリスクを十分に理解し、ポイントをしっかり押さえて外貨建て保険を上手に活用しましょう。
①自分の資産全体の割合を把握した上で、外貨を分散投資のひとつとして考える
②万一のときの保障としての保険には定期保険や終身保険があり、資産形成にはNISAやiDeCoといった選択肢があるが、それぞれの特徴を理解し、自ら外貨建て保険を選択したときに契約する
③契約後、一定期間は解約しても払い込んだ保険料を下回るため、払い込み期間が終了するまでの間に、必要になる予定のお金ではないことを慎重に検討する
④為替市場に関心を持ち、過去10年から20年ほどのトレンドを確認しつつ、今どのような状態にあるのかを確認する
まとめ
銀行だから安心、保険会社の営業担当者とはお付き合いも長いし、といった理由で外貨建て保険を契約することは避けなければなりません。
外貨建て保険も、大切なお金をかける金融商品です。リスクやしくみをしっかり理解し、どこで誰が担当だったとしても結論が同じになるような判断をしましょう。
保険に限らずたくさんの金融商品があります。自分自身の知識や理解を深め、納得をした上で判断をすることが大切です。