【Z世代のマネー学】会社四季報には何が書いてある?値上がりするお宝銘柄を見つけ出すには

会社四季報には何が書いてある?値上がりするお宝銘柄を見つけ出すには
マネーケア

「株式投資をする」といっても、日本の上場株式は3800銘柄以上。株式投資でお金を稼ぐには、その中から値上がりする株を探して投資をする必要があります。

将来値上がりするお宝銘柄を探すために、個人投資家のバイブルと言われる「会社四季報」をチェックしましょう。書籍としてはかなり分厚いですが、観るべきポイントを押さえれば、決して難しくありません。

▶︎前回:FIREの種類とFIREの考え方

会社四季報には何が書いてある? まずは読み方をチェック

会社四季報は東洋経済新報社が年に4回刊行している、「投資家のバイブル」とも呼ばれる書籍です。国内の株式市場に上場する全企業の情報が掲載されています。ここでは、会社四季報に何が書いてあるのか、具体的に紹介します。

なお、作成にあたっては、「会社四季報」2022年第2集より、マクニカ・富士エレホールディングス(3132)(以下「マクニカ」)のページを参考にしております。

●会社四季報の見方

東洋経済新報社「会社四季報」2022年第2集より(株)Money&You作成

●(A)事業構成欄

事業構成欄には、決算期や会社の事業概要が記載されています。【特色】欄を見るだけで、この会社がどんな事業を展開しているかがすぐにつかめます。

【連結事業】欄には、会社が手がける事業が記載されています。各事業の後にある数字は、その事業が「売上全体の何割を占めているか」を表しています。また、この数字のあとにあるカッコ書きの数字は、各事業の営業利益率を示します。

マクニカの場合、「集積回路・デバイス他」が売上の87%・営業利益率2%で、「ネットワーク」が売上の13%・営業利益率12%だとわかります。

●(B)記事欄

記事欄には、四季報担当記者が独自に行った取材をもとにした記事が記載されています。前半部分は(G)の業績欄にある業績予想数字の根拠、後半部分は会社の中長期的な展望、業績に影響を与えそうな新商品、設備投資、今後の経営課題など、株価の変動につながりそうな話題が掲載されます。

記事欄は文字数が少ないため、記者の思いがにじみ出るところでもあります。特に最初の【】にある見出しに注目しましょう。ここにポジティブな言葉が記載されていれば、四季報の記者が期待していることがつかめます。

【独自増額】は、記者が「会社の予想が保守的だ」と判断し、後述する(G)の業績欄の予想を引き上げていることを示しています。また【最高益】【連続最高益】などとある場合も、会社の業績が好調に推移していることを示しています。これらの強い言葉があれば、今後も右肩上がりで成長していく可能性が高いのではないかと考えられます。

マクニカも【最高益】と、期待できる見出しになっています。

●(C)株主欄

株主欄には、上位10位までの株主が記載されています。<外国>には、外国人投資家の株の保有比率も記されています。その会社に対する外国人投資家の関心度がわかります。

●(D)財務欄

財務欄には、会社の資産や現金(キャッシュフロー)に関わる情報が記載されています。

ここで注目したいのは自己資本比率。自己資本比率は、会社にある資本(お金)のうち返さなくていい部分(自己資本)の割合を示す比率です。自己資本比率が50%以上あると安全性が高いと判断できます。逆に30%未満だと安全性が低いと判断できます。

また、キャッシュフローには営業CF・投資CF・財務CFの3つがありますが、特に大切なのが営業CFです。営業CFがプラスということは、本業がうまくいっていて、手元に資金が入ってきていることを表します。

●(E)資本移動・株価欄

資本移動・株価欄には、四季報発売前月の株価の高値と安値、増資や減資といった情報が記載されています。

●(F)業種・比較会社欄

業種・比較会社欄には、同一業種内の時価総額の順位が記載されています。また比較会社には、四季報の編集部が時価総額の規模や営業地域などを踏まえて選考した類似企業が掲載されています。

●(G)業績欄

業績欄には、過去5期分の売上や利益の推移といった実績と、今後の予想が記載されています。特に注目したいのは今後の予想。「予」とついている予想は、四季報の記者が取材や各種データをもとに予想した業績です。(B)の記事欄に【独自増額】の見出しがあった場合、四季報の記者の判断でこの「予」の予想を増額したことを示します。また「会」とついている予想は会社の予想です。

「会」よりも「予」の方が大きい会社は期待が持てます。理由としては、四季報担当記者が取材を通じて、会社の予想である「会」は保守的と判断し、もっと売上・利益が高いと考えているからです。

会社の予想を大幅に上回る業績となった場合、会社は業績予想を引き上げる「上方修正」を行います。上方修正が発表されると、株価が大きく上昇する可能性もあります。

●(H)配当欄

配当欄には、配当の実績と1株あたり配当金が記載されます。左側が配当の行われた年月、右側が1株あたり配当金です。

●(I)業績予想の修正欄

業績予想の修正欄には、今号の四季報と前号の四季報の営業利益の予想を比較して、どのくらい増減したかを矢印で記載しています。具体的には、次のとおりです。

・↑↑大幅増額:30%以上の増額
・↑増額:5%〜30%未満の増額
・→前号並み:5%未満の増額
・↓減額:5%〜30%未満の減額
・↓↓大幅減額:30%以上の減額

四季報を読む方の中には、まずはこの欄だけをみて「大幅増額」の銘柄をスクリーニングしている方もいるほど。とても重要な欄です。

また、欄外に顔のマークがつく場合があります。これは、四季報営業利益予想と会社営業利益予想の乖離が大きいことを示す顔マークです。

・(^^)(^^)大幅強気:乖離率が30%以上
・(^^)会社比強気:乖離率が3%〜30%未満
・(><)会社比弱気:乖離率が▲3%〜▲30%未満
・(><) (><)大幅弱気:乖離率が▲30%以下

「(^^)(^^)大幅強気」がついていたら、四季報営業利益予想と会社営業利益予想の乖離率が30%以上あることを表します。四季報の予想が正しければ、好決算や上方修正によって、株価が大きく上昇する期待ができます。

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頼藤 太希

(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント 中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。...

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