【Z世代のマネー学】資産運用の結果に影響を及ぼす「金融機関選び」
銀行にお金を預けても、お金はほとんど増えません。ミレニアル世代・Z世代と呼ばれるみなさんがこれからお金を増やしたいならば、投資をすることが欠かせません。
前回の記事で、資産運用の成果に金融商品のコストや税金が大きく関わることを紹介しました。それと同様に、資産運用の結果に影響を及ぼすのが金融機関選びです。
今回は、資産運用を行う金融機関選びについて解説していきます。
▶︎前回:資産運用の結果に影響を及ぼす「金融商品のコスト・税金」
金融機関選びは超重要
資産運用ができる金融機関には、銀行や証券会社があります。どんな投資ができるのかは、金融機関ごとに異なります。
口座を開設できるところは複数ある
表:筆者作成
資産運用は、普段使っている銀行・街なかにある銀行でもできます。店舗で担当者に投資信託の説明を聞くことができるのはメリットかもしれません。しかし、銀行では株を買うことができませんし、扱いのある投資信託も多くありません。また、取り扱いのある投資信託のコストも比較的高めです。
投資信託だけでなく、株式投資もしたい場合は、証券会社を利用する必要があります。証券会社では、投資信託・株式投資だけでなく、さまざまな金融商品を扱っています。
証券会社には、大きく分けて店舗証券・ネット証券・スマホ証券の3種類があります。
店舗証券は文字通り、店舗を構えている証券会社です。野村證券や大和証券などの証券会社は、銀行と同様に街なかに店舗を構え、営業しています。店舗証券では、銀行よりも多くの商品を扱っていますし、店舗で担当者に説明を受けられるのが強みです。
ただ、売買にかかる手数料が高いのが難点。
投資にかかるコストが高いと、その分利益を減らしてしまうことになります。それに、投資をするのにそれほど難しい知識は必要ありません。何にどうやって投資するかという投資のリテラシーが高まれば、自分で投資して利益を出せますので、説明が受けられるのもさほどメリットではなくなってしまいます。
ネット証券は、実店舗を持たず、ネット上でのみ営業をしている証券会社です。スマホやパソコンを利用して、いつでもどこでも注文が簡単にできるのはもちろんのこと、店舗証券よりも手数料がずっと安くなっています。特に前回(資産運用の結果に影響を及ぼす「金融商品のコスト・税金」)紹介した楽天証券やSBI証券などでは、1日100万円までであれば株の売買手数料が無料(定額プランの場合)ですし、数千本扱っている投資信託がすべて購入時手数料無料(ノーロード)ですので、コストを抑えた投資ができます。
店舗がないので投資の助言は受けられませんが、投資の参考になる情報はたくさん提供されているので、それらを見て投資の判断を下すことができます。
そしてスマホ証券は、スマホで投資をすることを前提にしている証券会社です。口座開設から売買まで、すべてスマホ1台で完結する手軽さが魅力。専用のアプリのインターフェイスはスマホ向けにできており、とてもわかりやすくなっています。初めて投資をする方でも迷うことなく取引ができるはずです。
スマホ証券の株式投資では商品は絞られている場合があるものの、1株から購入できるサービスを用意しているところも多くあります。株は通常100株単位で売買するため、数万円〜数十万円の資金が必要です。しかし、1株から購入できれば、必要な資金は100分の1で済むことになります。ですから、投資初心者でもスタートしやすいのがメリットです。
金融機関によって手数料が違うことも
株式や投資信託を買うときにかかる手数料(売買手数料・購入時手数料)は、金融機関によって異なる場合があります。前回(資産運用の結果に影響を及ぼす「金融商品のコスト・税金」)、主なネット証券の株式の売買手数料は紹介しましたので、ここでは、投資信託の購入時手数料を例として紹介します。
投資信託の3つの手数料、購入時手数料・信託報酬・信託財産留保額のうち、買うときにかかるのが購入時手数料です。購入時手数料は、投資信託を販売する会社(販売会社)に支払う手数料となっていて、その手数料の率は販売会社が自由に決めます(上限はあります)。ですから、どこで買うかによって差が出る場合があるのです。
たとえば、ネット証券では購入時手数料がかからない(ノーロード)のに、店舗型証券だと2%という場合も。この投資信託を100万円分買った場合、ネット証券では100万円で丸ごと運用がスタートできるのに対し、店舗型証券では98万円と引かれた状態で運用がスタートすることになります。
同じ投資信託でも「買う場所」で差が出る!
図:筆者作成
この差を埋めるには、店舗型証券のほうが2万円分多く稼がないといけないことになります。投資信託の商品そのものは、どこで買っても同じものですので、コストの安いネット証券のほうがいい、というわけです。
では、資産運用を始めるにあたって、どんな金融機関を選べばいいのでしょうか。