お金が学べるおすすめ映画2選

マネーケア

 幼少時代から映画が大好きな筆者ですが、今日はファイナンシャルプランナーとしておすすめする映画を2本、ご紹介しましょう。

【殿、利息でござる!(2016年 中村義洋監督 日本)】

殿、利息でござる!
 まずこの作品は、タイトルに惑わされないでほしい。コメディであることに違いはないのですが、ストーリーは江戸時代の仙台藩における、貧しい宿場町で起こった実話をもとにしている骨太の物語です。

 その宿場町では、藩の物資を次の荷物の中継所になっている宿場町まで運ぶ役割を担っていました。もとより貧しい宿場町では、そのために必要な馬を飼い、人を雇うお金に苦しむ人が増え、破産や夜逃げが続出してします。
これでは宿場町がダメになってしまいます。そこで、金欠の藩に対してお金を貸し、利息を受取ろうという奇抜なアイデアが生まれるところから物語は始まるのですが、当時の身分制度に従えば、アイデアが明るみになれば、打ち首も覚悟しなければならない事案です。

 しかし最後には、その奇策は現実のものとなります。現代のように教育が行き届いていなかった時代、文字の読み書きができない大人も少なくない中で、苦しみから何とか町人と宿場町を救いたいと、知恵のある者が知恵を出し、金のあるものが金を出し、という、利己的な考えでは決してなし得ることができなかった、奇跡と言えるでしょう。

 タイトルに「利息」とありますが、経済社会において利息は「取る側」か「取られる側」かで、立場が大きく変わります。お金の賃借契約は、お金が入ってくる「仕組み」を決定づける重要な規則だからです。
低金利が長年続いている今日の日本において、若年層の読者の皆さんは、あまりピンと来ないかもしれませんが、金利の力はとてつもないのだと、覚えておいてください。

 ぜひご覧になる際は、劇中でアイデアに加担するかどうか迷う町人(西村雅彦)が、「投資」と考え違いをする経緯で、「誰(何)に対する」投資なのかを考えてください。そして藩の金庫番を務める役人(松田龍平)が町人の申し出に下す判断が、なぜそうなのか考えると、私たちの実生活で役立つ場面があるでしょう。

【最高の人生の見つけ方(2007年 ロブ・ライナー監督 アメリカ)】

最高の人生の見つけ方

 分かりやすいアメリカ映画という印象が大きいですが、「お金とは何か」という道徳的教育に用いる材料としては、シンプルに適していると思います。

 正反対の人生を送ってきた老人二人が、たまたま一緒になった病室でそれぞれ余命宣告を受けるところから物語は始まります。方やその病院のオーナーで、一代で10億ドルを築いた大富豪(ジャック・ニコルソン)。方や自動車整備工場で働く、妻と3人の子供やその孫に囲まれた平凡な生活を送る者(モーガン・フリーマン)。

 大抵のことがお金で手に入る資本主義社会においては、莫大な資産を持つ者は「やりたいことをやりたいときにやる」という行動が当たり前のようにできるものですが、一般庶民はそうではありません。持たざる者は無意識のうちに、「かなえたい夢はあっても、どうせ無理だろう」と、諦める「思考」にある様子が、病室でのモーガン・フリーマンを観て思います。

 対して持つ者は「やろう」と実行に移すことを勧めます。

 人がこの世に持つ財産として、お金の他に住み慣れた我が家(モノ)や、家族や友達、恋人(ヒト)などありますが、誰にとっても二度と戻る事の出来ない財産として、「時間」があります。
「最後の晩餐は〇〇を食べたい」とか、「死ぬ前に行きたい場所」など、時間が限られたと分かると急に日常とは距離を置いた行動をとる、また逆に、改めて日常に向き合うなどという行為は、「自分にとって何が大切なのか」を直球で知らせてくれるものです。

 映画のレビューを見ると意見は千差万別ですが、筆者は主人公の2人は、最高の余命生活だったと思います。使いきれないほどのお金を持つジャック・ニコルソンが、お金のないモーガン・フリーマンの夢をかなえることで、共に過ごす幸せな時間を手に入れたように、「幸せ」の価値とは、財産の金額や家族の有無で決まることではないと、教えてくれます。

【まとめ】

 2つの映画に共通するのは、お金そのものに値打ちがあるのではなく、お金を使って何をなしえたのか、その経緯にこそ価値があるのだと、教えてくれます。
そしてもっとも気を付けなければいけないのが、今は「無い」事により、無意識のうちに自分の将来を否定してしまう「思考」に落ちてしまうことです。

 お金は道具、人生の主役は自分自身だと、肝に銘じるのです。道具に振り回されるのか使いこなすのかは、皆さん次第なのです。

佐々木 愛子

ファイナンシャルプランナー(AFP)、証券外務員Ⅰ種 国内外の保険会社で8年以上営業、証券IFAを経験後、リーマンショック後の超低金利時代、リテール営業を中...

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