第4話「変化」/ちゃんちゃんCO

ちゃんちゃんCO

前回 第3話「ハンバーグ弁当」

第4話「変化」

7⽉から、約4ヶ⽉月ぶり。
⽞関に置いてある男物の靴を見て、以前とは違う「変化」に、思わず口元が緩んだ。

「お邪魔します」

前は、「ただいまです!」と言って帰っていた家に、他⼈行儀を装うのは少しだけ違和感もあった。
けれども、4ヶ月前とは同じようで何もかもが違う。
それでも、桃夏さんは4 ヶ⽉前と同じように私を迎え⼊れた。

「おかえり、まりん」

久しぶりに⾒た桃夏さんに、思わず気持ちはパッと明るくなる。
⾃分でもクシャッとした笑顔になったのが、分かった。

「ただいまです!」

滑るように、明るい声が出た。
桃夏さんは、嬉しそうに笑ったあと、ワザとらしく頬を膨らませた。

「急にいなくなっちゃって、ずっと待ってたんだからね」

「その節は失礼しましたっ。これ、お詫びの気持ちも込めてお土産です」

桃夏さん好物のチョコレート菓子。

「わっ。さすが、まりん」

中⾝を確認した桃夏さんは、満足げな顔で微笑んだ後、先にリビングに向かって歩きだした。
その足取りを見ただけでも、桃夏さんのウキウキした心が伝わってくる。
リビングにつくと、⾒慣れない男性が頭を下げた。

「まりんちゃん、初めまして。徳原夏月と申します」

爽やかさの隙間から芯の強さを覗かせる、重みのある声。
⼤人の余裕ってやつを夏⽉さんから感じて、これなら桃夏さんを任せられると初対面ながら思った。

「桃夏さんから伺ってます。お会いできて光栄ですっ」

右⼿を差し出して握⼿を交わすと、オープンキッチンの向こう側で、お茶菓子を⽤意している桃夏さんが、嬉しそうな表情を浮かべたのが見えた。

「このツーショット⾒るの、実は楽しみにしてたんだよね。⼆人とも、私の大切な⼈だからさ」

「桃夏さん…」

幸せオーラを⾝に纏っている桃夏さんの美しさに、私の⼼までもが満たされて、続ける言葉を見失ってしまった。
夏⽉さんも、少し照れたようにして「ひゅー」と⼩さく⼝笛を吹いた。

「ふふっ。バニラティー⽤意するから、⼆人とも座っちゃって」

照れたような表情を浮かべながら小⾛りでキッチンに戻った桃夏さんを⾒て、夏⽉さんと目を合わせて笑ってしまった。

「桃夏さん、可愛いですよね」

「お陰様で、いつも癒されてます」

嬉しそうに笑った夏月さんからは、幸せが溢れていた。
春のようなポカポカとした陽気を部屋の中に感じる。
私が初めて訪れた時の家とは、やっぱり全然違った。

「なんだか、こっちまで満たされてきました」

思わず溢れた⾔葉に、夏月さんは不思議そうな顔をして、⾸を傾げた。
私は、慌てて⾔葉を足す。

「私が初めて桃夏さんの家にお邪魔した時って、このお家全体がドンヨリしていて。家にいるだけで、肩が凝りそうな空気感のお家だったんです。それが、こんなに活気付いていて、花が似合うお家になって。その中で、桃夏さんが幸せそうに笑って過ごしているので、私まで幸せで満たされてきちゃいました。夏月さんパワー、さすがです」

ニコニコと⾃分が心の底から、笑っているのを感じた。
桃夏さんの幸せで、自分自身も幸せになれたことが、なんだかとっても嬉しく思えた。

「まりんちゃんが初めて家に来たのって、今年の夏じゃないの?」

「そうですよ」

「俺から⾒ると、まりんちゃんが良い⽅向に桃夏を変えたんじゃないかなって思うけどな」

「えっ…。そんな嬉しいことを言ってくれるんですか? 夏月さんからそんな事を言われたら、素直に喜んじゃいますよっ」

腕を組んでいた夏月さんは、少し恥ずかしそうに右手でポリポリと頭を掻いた。

「なんか、まりんちゃんってすごいよね。俺、普段は素直に⼈の気持ちを受け取れないタイプなんだけど、まりんちゃんに言われると、なんかスッと受け⼊れた自分がいて、びっくりした」

「またまた嬉しいことを!」

「けど、桃夏もいつも言ってるよ。まりんは、すごいって」

今度は私が、熱くなった頬を隠す番だった。

「褒められ慣れていないので、なんだか照れちゃいますね。そういえば、お二人ってお付き合いしてどれ位なんですか?」

「おっ、話題を変えてきたな」

悪戯っぽい⽬で、夏月さんはチロッと私を⾒て笑った。
私も、思わず舌をチロッと出して笑って誤魔化す。

「んー。ちょうど2ヶ⽉くらいかな」

腕を組んだ夏⽉さんは、少し考えるようにして答えた。

「お誕⽣日も、一緒なんでしたっけ?」

「そう!」

「お⼆人とも、7月8⽇生まれってことですよね」

「そうそう。しかも、偶然…」

嬉しそうな顔をして話していた夏⽉さんは、テーブルに戻ってきた桃夏さんを⾒て話すのをやめてしまった。
私が、首を傾げると、少し気まずそうな表情で頷かれた。
そんな夏月さんの異変に、桃夏さんも気がついたようだった。

第5話「バニラティーと3人」

みかみ

パグ犬愛好家。 趣味は、投資。夢は、世界を虜にする小説家。

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