年金75歳から選択受給開始で年金額が84%割増! 注意すべきデメリットとは
受給額が増えることは大変喜ばしいのですが、出費も同時に増えてしまうことがデメリットです。
所得税、住民税、健康保険料、介護保険料の負担が増え、現役並みの所得者と判断されれば、75歳から加入する後期高齢者医療の負担割合が1割から3割にアップする可能性も。
医療費の自己負担額が基準額を超えた場合に支給される高額療養費の基準額にも影響がでます。
また、本来なら65歳から年金を受給できますが75歳から受け取る場合は、この間の10年間、年金を受け取ることができません。これは、国民年金の場合で計算すると、年間78万100円(2019年度)×10年で、約780万円もの年金を受け取らないと言うことです。
年金受給者の妻や子が一定の条件を満たした場合に支給される加給年金も、老齢厚生年金を繰り下げている間は受け取ることはできません。
このように、老齢年金の繰下げ受給については、メリットだけでなくデメリットもあります。
自分の人生の終わりがいつくるか誰にもわからないもの。増やす事にばかり目を向けず、必要に応じて繰り下げている期間分の一括受給も検討してください。
老後資金準備は「公的年金」と「じぶん年金」の二本立て
政府が75歳から選択受給開始を進める背景は、できるだけ長く働いてもらって年金はそれ以降に受け取ることを期待してのことでしょう。老後の人生を考えると、退職後も働けるうちは働いて将来の年金を増やすことに意味はあります。
ただ、いつまでも仕事ができるとは限りません。長生きをリスクにしないためにできることとして、お金の寿命を延ばす工夫も必要でしょう。
じぶん年金作りに最適と言われているiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、預金や投資信託で得られた利益にかかる20.315%の税金が非課税に。
また、掛け金全額が所得控除の対象となり、所得税と住民税が節税できます。
さらに、掛金以外に年金として受け取る際も、年金受け取りなら公的年金等控除、一時金なら退職所得控除が受けられるため、税金が安くなります。60歳まで引き出せない縛りをうまく利用しながら、負担のない金額で積み立てることをお勧めします。
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まとめ
健康で動ける間にお金は使いたいもの。筆者は旅行や趣味を楽しみながら過ごすことも、人生にとって重要だと考えています。
豊かな老後を過ごすために働き方を工夫しつつ、年金制度を利用して上手にお金を増やしましょう。