住宅ローンを組む前に知っておくべき、連帯債務と連帯保証の違い
共働き夫婦が増えたことで、住宅ローンを夫婦で組みたいという相談も多くなってきました。夫婦で住宅ローンを組む場合には、債務責任の違いや、住宅ローン控除、団体信用生命保険への加入の違いなどにより3つの方法があります。
今回は住宅ローンを決める前に知っておきたい3つの方法と、それぞれのメリット・デメリットをお伝えします。
借入金も債務責任も独立したペアローン
夫婦2人で住宅ローンを借りるときに、いちばんわかりやすのがペアローンです。
ペアローンは夫婦2人がそれぞれ住宅ローン契約をし、それぞれのローンの債務者になります。
2本の住宅ローン契約となるため、住宅ローン控除や団体信用生命保険などすべてお互い適用することができます。
また、所有権についてもそれぞれ登記できます。
しかし、契約が2本になることで、事務手数料や印紙税など2倍になりコストは高めになるというデメリットもあります。
さらに、もし夫婦のうちどちらかに万が一のことがあった場合には、相手の住宅ローンは無くなりますが、自分の住宅ローンは無くなりませんので完済するまでの支払いは続きます。
住宅ローン契約は1本でも2人で返済する連帯債務
連帯債務とは、1人が主たる債務者となり、もう1人も同じ責任を負う連帯債務者となる契約です。
夫婦2人の収入合算ができることがペアローンとの違いで、例えば夫の年収500万円、妻の年収300万円だとすると、世帯年収800万円として合算評価されますので幅広い価格帯の物件を検討することができます。
つまり、ひとつの住宅ローンを夫婦2人で返済をしていくと考えるとわかりやすいでしょう。
主たる債務者は夫でも、妻も全額返済の義務を負うということをしっかり認識しておきましょう。
連帯債務の場合、住宅ローン控除は夫婦2人とも適用することができることがメリットです。
しかし、団体信用生命保険については主たる債務者のみ加入することができ、連帯債務者は加入できないことがデメリットです。
ただし、フラット35の夫婦連生団体信用生命保険デュエットなどは、夫婦2人で加入することができます。夫婦連生団体信用生命保険は夫婦どちらかに万が一のことがあった場合は住宅ローンが0円になる団体信用生命保険です。
住宅ローンの債務の保証をする連帯保証
連帯保証の住宅ローンの場合は収入合算をして借入金を増やすことができ、債務者は1人の1つの契約です。債務者に何らかの理由があって返済ができなくなったときに、代わりに全額の返済義務を持つのが連帯保証です。
収入合算をして幅広い価格帯の物件の検討ができることはメリットですが、住宅ローン控除も、団体信用生命保険も契約者本人しか適用されないことがデメリットです。
もし、連帯保証人に万が一のことがあった場合でも住宅ローンがなくなることはありません。借入金額を増やすこと以外では、共働きであるメリットはそう多くはないかもしれません。
夫婦2人で住宅ローンを借りる方法
※フラット35では夫婦連生団体信用生命保険がある
夫婦の住宅ローンはどう選ぶ
住宅ローン控除や団体信用生命保険のことを考えると、夫婦2人で組むペアローンはメリットが大きいことがわかります。
定年退職まで働き続けるつもりであれば、収入や借入金割合など無理のない範囲で決めて、ペアローンでもいいでしょう。
また、女性は出産など一時的にでも仕事を離れる可能性が心配、というのであれば、連帯債務型の住宅ローンがいいかもしれません。
住宅ローン控除は2人とも適用できるし、フラット35の夫婦連生団体信用生命保険なら2人で団体信用生命保険も加入できます。妻の働き方が変わったとしても、返済計画に大きく影響しない範囲で借入金を決めるといいでしょう。
また、借入金額を増やすために収入合算するだけなら連帯保証でもいいようですが、保証人には住宅ローン控除が適用されないし、団体信用生命保険にも加入できないので、他の二つと比べると少し見劣りするかもしれません。
どの住宅ローンの契約がいいのかは、その人のライフプランに大きく影響します。住宅ローンを選ぶときは長期的なライフプランと一緒に考えましょう。
まとめ
共働き夫婦が住宅ローンを考えるとき、忘れてはならないのは、今のままの働き方がずっと続くのかどうかということです。
特に女性は、出産や介護などで働くペースを変えなければならいこともあります。時短勤務になり収入が減少することもあるかもしれませんし、退職しなければならないこともあるかもしれません。そうなると住宅ローンの返済が厳しくなることも予想されます。
そうならないためには、長期的なライフプランに変化がないか考えて、どのようなローンの組み方をしたらいいのか初めにしっかりと考えておくことが必要です。