消費税が上がると、不動産投資ってどうなるの?
投資用不動産を売る時の消費税
消費税をシンプルに表現すると、事業者から物やサービスを買ったときにかかる税金のことです。
そのため、個人の居住用の物件を売却する場合には消費税はかかりませんが、投資用の物件を売却する場合には消費税がかかります。
投資用、つまり対価を得るために行なっている行為なので、実際には「事業用不動産」になるからです。
しかし、売主は買主から預かった消費税を納付するため、自分で負担するわけではありません。
また、消費税には、「納税義務者」と「免税事業者」があります。基本的に前々年度の課税売上高が1,000万円以下であれば「免税事業者」となり、消費税を支払う義務はありません。
尚、2023年からは適格請求書等保存方式(インボイス制度)が導入され、免税事業者の場合は消費税を請求できなくなります。
さらに、購入の時と同じように、手数料には消費税はかかります。
消費税のかかる費用
・ 建物の売却代金
・ 不動産仲介手数料
・ 繰上げ返済手数料
・ 司法書士報酬
売却をするときに一番大きな費用の負担は不動産会社への仲介手数料です。
売却する価格が高くなればその分負担は増えるし、消費税の増税分の負担も増えます。
さらに、ローンの残っている物件を売却する場合、残りのローンを繰上げ返済すると、それに関わる手数料にも消費税がかかります。
手数料の金額は金融機関によって違い、一部ネット銀行などでは無料のところもありますが、数千~数万円かかる場合があります。
あわせて、登記を移転するための司法書士に対する報酬にも消費税がかかるので、こちらも増税分の負担は増えることになります。
投資用不動産の選び方
消費税の増税は建物価格によって影響が異なります。
一般的に新築の物件の方が高く、中古物件では時間とともに価値が下がっていく傾向がありますので消費税も新築よりも、中古の方が少なくなります。
さらに、物件の所有に関する経費などにも影響はあるでしょう。
たとえば、将来的なリフォーム代金や修繕のための費用などが考えられます。
また、マンションの場合、管理費や積立修繕費などが将来上がる可能性もあります。
不動産投資の家賃収入は非課税のため、それらにかかる消費税分を負担することになり、家賃の収入が減ってしまう可能性があります。
売買価格を考えると、新築よりも中古の方が安くなりますし、将来のリフォームや修繕のことを考えればあまり古すぎる物件では結果的に支払う金額が増えてしまうかもしれません。
そのため、投資用不動産を考えるときは次の3つのことに注意するといいでしょう。
①将来的に不動産の価値が大きく変化しない人口の集まるところで保有すること
②単身世帯の増加により、需要の増加が見込まれる比較的コンパクトな大きさの部屋であること
③耐震性が高い、鉄筋コンクリート造りのマンションであること
具体的には、東京都心の築浅ワンルームマンションなどが失敗しにくいでしょう。
また、投資用不動産をローンで購入するときの金利についても考えておかなければなりません。
増税が直接金利に影響することはありませんが、景気が上向いてくれば、それとともに金利も上がっていくことが考えられます。金利が上がって支払いが増えたとしても、確実に自分の資産を構築できるようにしておきましょう。
まとめ
大きな買い物は消費税が増税される前に、と駆け込みで購入しようと考えがちですが、不動産に関してはよく考えた方がいいかもしれません。
もちろん、すでに十分試算やシミュレーションもして準備ができているのであれば、増税前は買い時になるでしょう。
しかし、そうではなく目先のコストだけにとらわれてしまうと、不動産投資自体が失敗してしまう危険性もあります。
不動産投資をするのであれば、長期間のキャッシュフローを考えて慎重に選びましょう。