世界の大卒初任給は日本とどのくらい違う?日本の賃金の推移から見る生き残り戦略

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マネーケア

貯蓄から投資へ意識をシフトしよう

成熟した日本では、かつての高度成長期のような経済発展は望めません。

さらに人口減少・少子高齢化が進んでいるため、賃金は増えなくても税金や社会保障費が増え続けることが予想されます。

収入を増やすとなると、コロナの影響もあって簡単には増やすことはできません。それならば少しでも節約して、貯蓄を増やそうという気になるかもしれませんが、超低金利のご時世では、貯めるだけではいつまでたっても資産を増やすことはできません。

そればかりか物価が上がっていけば、貯蓄はその上昇率についていけないので、目減りする恐れもあるのです。

戦後の日本の復興を支える仕組みとして貯蓄は効果を発揮しましたが、そろそろ貯蓄一辺倒からは脱却する必要があります。いろいろなものが値上がりする状況では、お金に働いてもらう「投資」に意識を向けて増やしていくことが大切になってきます。

「投資」というと、下がったときが怖いので尻込みしてしまう方もいらっしゃるようですが、国が資産づくりを応援する制度もあるので、目的や運用する期間にあわせて、自分にあった方法を選んでお金を増やしていきましょう。

「貯める」と「増やす」を目的とした制度には次のようなものがあります。

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)

自分自身で老後の資金づくりをするための制度にiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)があります。節税しながら老後資金を準備することができます。
毎月継続的に一定の額を積み立て、定期預金や保険、投資信託の中から自分で選んだ商品で運用していきます。掛金は月額5000円以上1000円単位ですが、年間に積み立てられる金額は職業によって異なります。

iDeCoでは積み立てた掛金は所得から控除されて、所得税や住民税が安くなるほか、運用で得た利益は非課税になります。将来受け取るときには、退職所得控除や公的年金等控除という制度が利用できるので、税金面でメリットが大きいのが特徴です。確定拠出年金で積み立てたお金は、60歳までは引き出すことができません。受け取り開始は60歳以降70歳になるまでになります。

運用によって資産を増やすもので、税金がかからない制度があります。
税金がかからずに投資ができますが、一般NISAとつみたてNISAは、どちらか1つの制度しか選ぶことができず、すべての金融機関で1つしか設定できません。また、その年使わなかった非課税の金額を翌年に繰り越すことができないという制約があります。

一般NISA(ニーサ・少額投資非課税制度)

NISAで購入できる商品は、株式、投資信託、ETF(上場投資信託)、J-REIT(不動産に投資する上場投資信託)などです。NISA口座で投資をすると、値上がり益や分配金に対する税金がかかりません。年間に投資できる金額は120万円で、非課税期間は5年間です。

つみたてNISA

金融庁が定めた一定の基準を満たした投資信託を年間40万円まで積み立てていくことができ、非課税期間は最長20年間です。通常は投資で得た利益から約20%の税金が引かれますが、運用益には税金がかかりません。またどの投資信託にも購入手数料がかからず、必要なときには引き出せます。

税制面で有利な制度を利用できる金融機関には、主に証券会社と銀行がありますが、NISAの株式を買う場合には、証券会社でなければ買うことができません。購入する際の手数料や口座管理料などはそれぞれの金融機関で違いますから、比較検討することをおすすめします。

長寿国日本だからこそ、長生きリスクに備えよう

老後に2000万円が必要だと騒がれた時期もありましたが、家計や資産の状況はそのご家庭で違います。退職金や年金であっても、受け取り方や時期によって受取る金額は変わってきます。

手取りを増やすには、3つの方法があります。
1つ目はムダな支出を減らすことです。2つ目は収入を増やすことです。そして、3つ目は資産を増やすことです。

老後に収入を増やすなんて、とてもムリだと思いがちですが、65歳から70歳の間でもらう年金を先延ばしにする「繰り下げ」をすることによって、1か月繰り下げるごとに0.7%増額されます。5年繰り下げて70歳から年金を受取ると42%も増額されます(75歳まで繰り下げの上限が拡大するのは2022年4月から)。
長生きを前提にして考えると、繰り下げ受給をしたほうがお得になります。また、定年後にもなるべく長く働き続ける方法をとることも1つの方法です。

しかし、定年になってからいきなり働くことを考えても、準備なくして行動することは難しいでしょう。2021年4月から70歳まで働く就業確保の環境は整いましたが、まずは健康と社会に必要とされるスキルを身につけておく必要があります。他社へ就職したり、フリーランスとして働いたりするにしても、人脈があれば多様な選択肢が得られるでしょう。

今とは違った働き方を構築したいのであれば、大人になってからの「学びなおし」も必要になります。収入を上げる、長く働くという観点からも、今からの準備や有形・無形の投資が必要というわけです。

池田 幸代

株式会社ブリエ 代表取締役 証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不...

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