NISAの人気ランキングに惑わされるな!思わぬ落とし穴を防ごう
年金だけでは老後の暮らしが心もとない今、貯蓄以外にNISAやつみたてNISAを始める人が増えています。これらの該当銘柄の数は膨大なため、購入代金ランキングを参考にする人も多いでしょう。信頼しがちなランキングですが、上位常連である商品には思わぬ落とし穴が…。
今回は、その中でも特に注意したいポイントをご紹介します。
NISAやつみたてNISAには人気ランキングが存在
NISA(ニーサ)やつみたてNISA、ジュニアNISAには、「週間買付金額ランキング(NISA)」や「週間出来高ランキング(NISA)」など、その時点で人気がある銘柄が公表されています。ランクインするものの中には、政治や経済などの情勢を反映した銘柄も多く、見るだけでも新しい発見がありますよ。
まずは、ランクイン常連の銘柄の中から、人気でおすすめの銘柄を見ていきましょう。
【つみたてNISA】eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
eMAXIS Slim(イ―マクシススリム)シリーズは、三菱UFJ国際投信が運用する投資信託です。購入時手数料無料(ノーロード)なのも魅力のひとつ。中でも「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は、アメリカのS&P500指標に連動した運用益を目指すもの。
今後人口減少が見込まれている日本より、経済成長が期待できるとあって今投資家の間では、空前のアメリカ株ブームがきています。そこで注目されているのが「S&P500」指標です。
ニューヨーク市場に上場している銘柄の中から選ばれた500銘柄の中には、マイクロソフトやアップルなど、日本人にも馴染みがあるものが多数あります。今後も長期的に経済成長が見込めることから、積み立てて購入する人が多いのでしょう。
【NISA】日本たばこ産業
JTの愛称で親しまれている「日本たばこ産業」は、NISAの購入ランキングのほか、保有残高ランキングにもランクインしている人気の銘柄です。保有残高ランキングに入っているということは、購入した人がその後売却せずに長く保有していることがわかりますね。
タバコの値上がりや健康意識の向上から、年々禁煙する人は増えています。そのため、株価も2016年を境に年々下落しているものの、配当金は年々増配。株価の値上がり益ではなく、長期的に配当金が欲しい人に選ばれているのがわかります。
【NISA】オリックス
金融サービスやレジャー、自動車サービスなど幅広い事業を手掛けるオリックス。オリックスもJT同様、高配当で投資家から人気の銘柄です。配当金は年々増配。当期純利益の中、どれだけを配当金として株主に還元するのかを示す「配当性向」の割合も、年々大きくなっています。
事業で得た利益の多くを株主に還元する”株主ファースト”な姿勢に惚れ込んでいる投資家も多いよう。長期で保有したくなるのも納得ですね。
紹介したどの銘柄も、長期で保有していると配当金や成長性などのメリットがあることがわかります。反対に、ランキングの常連であるのにも関わらず、ちょっと注意したい良い銘柄もあるのです。
一体どんなものなのか、次で詳しく解説します。
たびたび上位にランクイン!日経ダブルインバースに注意
NISAのランキングにたびたびランクインする「日経ダブルインバース指数ETF」ですが、実は購入要注意の銘柄なのです。
ここでは、ダブルインバースの特徴や、なぜランキングに入りやすいのかを見ていきましょう。
配当金はゼロ!さらには年々減価していく!?
日経ダブルインバース指数ETFは、日経平均株価が下落すると株価が上がる銘柄です。
ダブルインバースは”ダブル”の名前通り、下落率の2倍の値動きが期待できるというもの。日経平均の下落局面で、大きなパワーを発揮してくれます。つまり、日本経済が元気なときはおとなしく、元気がないときに活発になる、“市場とは逆に動く”銘柄なのです。
現在の菅総理大臣もアベノミクス政策を引き継いでいることから、今後も日本経済は長期的に成長していくことが期待されています。そうなると、このダブルインバースは、どんどん元気がなくなっていくと考えられます。
現に、ダブルインバースの株価は年々減価しているため、長期的に保有しているとどんどん資産を減らす結果に。また配当金もないため、長期的に保有するメリットがないのです。
ランキングに入るのは日経平均の下落局面のみ
ランキングの上位にたびたびランクインしているダブルインバースですが、実はランキングに入っているのは、日経平均の下落時のみ。ほかの保有している銘柄が下落している中、ダブルインバースを短期売買してプラスの利益を上げたい戦略から取引されているのでしょう。
また、NISAには毎年120万円を上限に、利益が非課税になります。そのため上限いっぱい使い切りたい投資家は、このダブルインバースで短期的な売買をすることもあるでしょう。これらの局面で集中的に人気が高まったときにランキングに入っているだけなので、長期的に保有するのは危険と覚えておいたほうがいいかもしれません。
続いて、ランキングから気をつけたいポイントをお伝えします。