副業で社会保険料・税金が増える人、増えない人
税金はどうなる? 確定申告が必要なケースとは?
会社に勤めている人は、基本的には給与収入が2000万円以下であれば、勤め先が年末調整をするため確定申告の必要はありませんが、副業をして収入を得る場合はどうなるのでしょうか。
確定申告が必要な場合や税金が増えるケースについて、副業の働き方別に考えてみましょう。
本業(会社員)に加え、フリーランス等雇用関係のない副業を行う場合
本業の給与所得に係る所得税が源泉徴収されている場合、副業で得た雑所得が年間20万円以下であれば確定申告の必要がないとされています。
ここでいう所得とは、収入から必要経費を引いた残りの純粋な利益の金額となります。
例えば、副業としてデザインを行っている場合の収入が年間25万円だったとします。何も経費がかかっていなければ所得は25万円となり20万円を超えているため、確定申告の必要があります。
しかし、クライアントを募集するために外部サイトなどで広告を出す費用だったり、デザイン用のパソコンやソフトウェアを購入したりなど、収入を得るために使ったお金が10万円だったとすると、収入25万円-経費10万円で差額15万円が所得となり、この場合所得は20万円以下なので確定申告の必要はありません。
ただし、申告不要となるのは、所得税だけとなり、住民税においては別途申告が必要になります。
副業に係る雑所得が20万円以下であれば、所得税の課税対象となりませんが、住民税においては課税の対象となるので注意してください。
本業(会社員)に加え、別の会社にも雇用される場合
本業も副業も給与所得となり、所得が増える分所得税も住民税も増えることになります。
所得税も住民税も、基本的に源泉徴収をされますが、複数の会社で働いている場合は、そのうち一つの勤務先でしか年末調整をしてもらえないので注意が必要です。
毎年11月ごろになると勤務先から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出を求められますね。この「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は年末調整に必要な書類で、この書類を提出することによって、所得税の計算の際に各種控除を受けることができるようになります。
しかし、この申告書は1つの勤務先にしか提出できないことになっていて、一般的には給与収入の多い本業の勤め先で提出するので、それ以外の勤務先には他社で年末調整を受けることを伝える必要があります。
つまり、副業となる勤務先の給与等は、年末調整がされないということなのです。
副業の給与収入が20万円以下の場合、確定申告は必須ではありませんが、年末調整がされていない場合、所得税が多く計算されているケースが多いので、全ての勤務先から発行された「源泉徴収票」を基に自身で確定申告を行えば、所得税の還付を受けられる可能性があります。
副業は、責任を持って自分で管理・手続きをしよう
会社に勤めていれば、健康保険や厚生年金、雇用保険などの社会保険料や、所得税・住民税などの税金は給与などから天引きをされます。
しかし、会社員として企業に勤めている人が副業をして収入を得る場合、労働者自身で就業のスタイルや時間、収入はどれくらいになるのか把握し、それに見合った社会保険料や税金を納めているか等、自分で管理し手続きをする必要があります。
加えて重要なのは、会社に勤めている時間に加えて働く時間が増えるわけですから、自身の健康管理をしっかりすることです。体調に注意しつつ、違った仕事や環境でのスキルアップや人脈の形成をぜひ楽しんでほしいと思います。
執筆者:ファイナンシャルプランナー(CFP)小野みゆき