2020年6月から国民健康保険料が値上げに!すぐにできる対策とは?

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では、前年の所得が840万円の単身者だと、どうなるでしょう。

(1)医療分=((840万円-33万円)×7.14%)+3万9900円×1人
(2)支援金分=((840万円-33万円)×2.29%)+1万2900円×1人

(1)医療分が61万6098円、(2)支援金分が19万7703円と計算されます。
現行では上限額が医療分61万円、支援金分19万円のため、納める保険料は80万円だったのに対し、改定後の医療分の上限額が63万円に引きあげられているので、支援金分の上限19万円との合計で、納める保険料は合計で80万6098円と計算されます。
つまり、年間の所得が840万円以上の単身世帯だと年間約6000円の値上りとなります。

したがって、東京都江東区の場合、約840万円以上の所得である単身世帯が値上げの影響を受けることになるでしょう。

なお、この計算例は東京都江東区を対象としていますが、所得割、均等割のほか平等割が加わる市区町村もあり、具体的な計算方法や保険料改定の影響を受ける所得水準は、各市区町村で異なりますので注意が必要です。

個人事業主ができる保険料を下げる方法とは?

国民健康保険料の額は前年の所得をもとに計算されるので、所得の金額を減らすことができれば保険料を下げることができます。
所得の金額を減らす方法として、所得税を計算する際に適用される所得控除(扶養控除、社会保険料控除、医療費控除など)を増やすことが考えられますが、これらは国民健康保険料の計算時には適用されません。

しかし、個人事業主やフリーランスの方であれば、青色申告制度を利用することで対策が可能です。青色申告制度における青色申告特別控除を利用できれば、2020年分では55万(国税庁「青色申告特別控除」)円を所得から控除することができます。ただし、青色申告特別控除の適用を受けるためには条件がありますので税務署での確認、事前の届出が必要です。

また、会社員が加入している健康保険は、扶養の数に関係なく健康保険料が決まるので、同じ世帯の家族が健康保険に加入している場合、できる対策があります。
例えば、夫は自営業、妻は会社員の世帯で、収入のない子どもや親などを扶養している場合、その子どもや親を自営業の夫ではなく会社員の妻の扶養にすれば、夫の国民健康保険料の削減になります。ただし、各健康保険組合などによって被扶養者にするための要件が異なるのでこれも事前確認が必要となります。

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まとめ

国民健康保険料は、家計にとって大きな負担となります。均等割部分の削減は難しいですが、所得割部分では個人事業主であればこのように可能な対策をもあります。
日ごろから所得から差し引くことのできる経費の記録をきちんとつけておくなど、帳簿を整備することは、経営状態を正しく把握するだけでなく、国民健康保険料を下げることにもつながり、重要だといえるでしょう。

小野 みゆき

中高年女性のお金のホームドクター 社会保険労務士・CFP・1級DCプランナー・年金マスター・1級ファイナンシャル・プランニング技能士 企業で労務、健康・厚生...

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