海外移住や海外赴任したら年金はどうなる?必要な手続きとは

年金・社会保険

海外で年金を受取るためには

受給要件を満たしていれば、海外に住んでいても年金を受け取ることはできます。そのためには、年金請求書に必要書類を添えて日本年金機構に提出しなければなりません。
年金は請求しないと受給できないのは日本在住の人も同じですが、日本在住なら日本年金機構から事前に案内が送られてくるので気付きます。しかし、日本に住所がない人には年金請求書は送られてきません。注意しておいてください。

年金の請求は、日本年金機構のホームページから年金請求書を印刷して、必要事項を記入したものを郵送または持参します。とはいえ記入内容が複雑で、間違いや不備が起こりがち。その他、戸籍謄本など必要書類の取り寄せや年金請求書以外にも提出しなければならない書類もあり、自分で全てをするのはとても困難です。日本に在住している親族や社会保険労務士に手続き一切を委任するのが現実的でしょう。
年金の受け取り口座は、日本の口座でも海外の口座でもどちらもOKです。

海外移住から日本に帰ってきた場合

海外移住から戻って日本に住所を移せば、20~60歳未満ならば第1号被保険者として国民年金に強制加入となります。たとえ日本での在住が短期間であっても、日本に住所がある限り強制加入となり、国民年金保険料を納付しなければなりません。
海外在住の任意加入期間に、付加保険料を納付していたときは、強制加入に変更になったときに再度付加保険料の納付手続きをする必要があります。

海外の大学に留学している人は学生納付特例の対象とはなりませんが、日本の大学に編入したときは、学生納付特例の対象になる可能性があるので、学生納付特例の手続きも忘れないようにしましょう。

また、すでに年金を受給している人が海外から戻って日本に住所を移した場合は、年金受給者の住所変更手続きに加えて、口座を変更する場合は口座変更の手続きを、住所地の市役所または年金事務所でしなければいけません。

iDeCoのことも忘れずに

iDeCoに加入している場合は、どのような手続きが必要でしょうか。
iDeCoは、日本に住所がある人しか、掛金の積み立てを続けることはできません。かといって60歳未満では、商品を解約して資金化もできません。
海外移住したあとは「運用指図者」として、資金の運用だけを続けていくことになり、口座管理手数料だけがかかることになります。商品ごとの残高を定期的にチェックして、適正な分散投資となっているように、保有商品のリバランスを行いましょう。

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まとめ

海外へ住所を移すときは市役所で、「海外転出届」を必ず提出しておきます。年金を受給し始めたら提出しなければならない、「現況届」が来ないと困るからです。
日本にいれば誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」ですが、海外に住所を移すと自動では送られてきません。ねんきん定期便が欲しいタイミングに、その都度申し込みをしてください。

小野 みゆき

中高年女性のお金のホームドクター 社会保険労務士・CFP・1級DCプランナー・年金マスター・1級ファイナンシャル・プランニング技能士 企業で労務、健康・厚生...

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