給与とボーナスはどう違う?ボーナスにも課税されるのはなぜ?
ボーナスの手取り額を計算してみよう
それでは、ボーナス額が50万円だった場合を例にとって試算してみましょう。令和4年分源泉徴収税額表をもとにシミュレーションします。毎月の給与の金額が額面25万円と35万円で、扶養家族なしと扶養家族2人の場合に分けています。
前提条件として、各保険料は40歳未満と仮定して、東京けんぽ※に加入の場合とします。
健康保険料 9.81%(労使折半)
厚生年金保険料 18.3%(労使折半)
雇用保険料 0.3%
※令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
<手順1>賞与にかかる社会保険料を計算します。
支給する賞与額の1000円未満の端数を切り捨てた金額にそれぞれの保険料率を掛けます。
●ボーナスから差し引かれる社会保険料
・健康保険料 50万円×9.81%÷2=2万4525円
・厚生年金保険料 50万円×18.3%÷2=4万5750円
・雇用保険料 50万円×0.3%=1500円
社会保険料合計 7万1775円
<手順2>賞与にかかる所得税額を計算します。
前月の給与から社会保険料を差し引いた金額と扶養親族等の数を「源泉徴収税額表」に当てはめて、所得税率を求めます。
賞与から社会保険料と差し引いた金額に税率をかけて、源泉徴収税額を求めます。
<手順3>賞与から社会保険料、源泉徴収税額を差し引きます。
●月額給与25万円の場合
・健康保険料 25万円×9.81%÷2=1万2262円
・厚生年金保険料 25万円×18.3%÷2=2万2875円
・雇用保険料 25万円×0.3%=750円
社会保険料合計 3万5887円
社会保険料を控除した金額 21万4113円
この金額に対応する源泉徴収税税率
・扶養家族なし 4.084%
・扶養家族2人 2.042%
●月額給与25万円の場合の賞与手取り
・扶養家族なし
まず賞与から社会保険料額を差し引いて、所得税率をかけます。
(50万円-7万1775円)×4.084%=2万726円
賞与から社会保険料、源泉所得税額を差し引きます。
50万円-7万1775円-2万726円=40万7499円
月額給与25万円で扶養家族なしの賞与手取りは、40万7499円です。
・扶養家族2人の場合
同様の計算をしていきます。
(50万円-7万1775円)×2.042%=8744円
50万円-7万1775円-8744円=41万9481円
月額給与25万円で扶養家族2人の賞与手取りは、41万9481円です。
●月額給与35万円の場合
・健康保険料 35万円×9.81%÷2=1万7167万円
・厚生年金保険料 35万円×18.3%÷2=3万2025円
・雇用保険 35万×0.3%=1050円
社会保険料合計 5万242円
社会保険料を控除した金額 29万9758円
この金額に対応する源泉徴収税率
・扶養家族なし 6.126%
・扶養家族2人 4.084%
●月額給与35万円の場合の賞与手取り
・扶養家族なし
まず賞与から社会保険料額を差し引いて、所得税率をかけます。
(50万円-7万1775円)×6.126%=2万6233円
賞与から社会保険料、源泉所得税額を差し引きます。
50万円-7万1775円-2万6233円=40万1992円
月額給与35万円で扶養家族なしの賞与手取りは、40万1992円です。
・扶養家族2人の場合
同様の計算をしていきます。
(50万円-7万1775円)×4.084%=2万726円
50万円-7万1775円-2万726円=40万7499円
月額給与35万円で扶養家族2人の賞与手取りは、40万7499円です。
※筆者作成
まとめ
実際に計算をしてみると、同じ賞与額であっても、前月の給与額が多い人のほうが少ない人よりも所得税額が多くなることがわかります。また、扶養家族がいると税率が低くなるために、所得税額が少なくなります。
コロナ禍に伴い、働き方が職務や役割、成果報酬などで評価されるものに変わりつつあります。ボーナスの計算方法が変われば、支給される額にも影響します。ボーナスの支給を当て込んで、ボーナス前にいろいろ買い物をしてしまうと、予想した金額より少なくて慌てることになるでしょう。業種によっては、今年の夏のボーナスも支給が始まりました。ボーナスの支給がまだだという人は、有効な利用ができるよう今から計画をしてみましょう。