介護費用ってどれくらいかかる? 今からできる介護の準備
生きていく上では様々なことにお金がかかってしまうものですが、中でも突然やってくるのが親の介護問題です。
高齢者はいつ、どのタイミングで要介護状態になるのか全くわかりませんが、その際に事前の準備がある、なしでは心持ちも大きく変わります。
今回は、介護費用や知っておきたいことをまとめました。
急増する高齢者の要介護者
思ってもみないタイミングで親がなんらかの病気を発症して要介護状態になってしまう、というのはもはや珍しいことではありません。
平成28年版高齢社会白書によると、65歳以上の要介護者等認定者数は2013年の段階で569.1万人。この数字は、2003年の調査から約200万人も増えています。
75歳以上では全体の約2割の高齢者が要介護状態となっており、要支援状態の高齢者と合わせると3割を超えます。
この数値からもわかるように、高齢の要介護者は年々増え続けているのです。
介護費用は要介護者の状態により大きく変わる!
要介護認定を受けた高齢者は介護保険が適用可能ですが、実は介護保険を適用した介護費用というものは要介護者の状態と世帯の所得状況に左右されるため、人によって大きく数字が異なります。
また、要介護者が在宅介護となるのか、施設に入居するのかでも異なります。
1人である程度のことはできるのか、入院が必要な状態なのか、または全く動くことができないのか……など、要介護者は5段階の等級に区分されます。
要介護度の段階に合わせて支給される限度額(最高の要介護度5なら360,650円が限度)が決まるだけでなく、介護保険が適用できないもの(介護タクシーや食事代、おむつ代など)もあるため、別途費用がかかってくるのです。
介護年数と介護費用の平均はどれくらい?
公益財団法人 生命保険文化センターが行った生命保険に関する全国実態調査によると、高齢者の介護期間は平均して59.1ヶ月(4年11ヶ月)となっています。
介護期間が4~10年と回答した方が約3割と最も多く、4割を超える方々が4年以上介護をしたというデータが出ています。
また、介護生活を始める際に一時的にかかった費用は平均で80万円、月々の費用の平均は7.9万円となっています。
ここで出た数字を元に計算すると、介護に必要となる費用は約60ヶ月×8万円で480万円となり、一時的にかかる費用などと合算すると平均して500万円~600万円程度となるようです。
その介護費用、誰が出す?
500万円程度という数字が出ましたがこれはあくまでも一例にすぎません。要介護者の状態次第ではもっと安く抑えることもできますが、ではその介護費用を誰が払えば良いのでしょうか?
厚生労働省が行った仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査によると、介護費用を被介護者である親自身が出している、と答えた方は50%を超えており、半数の人が介護費用を負担していません。実は、月々の年金や親の貯金で介護費用を賄えてしまうというケースも割と多く(年金受給額にもよりますが)、入居費用が高い民間の老人ホームではなく介護保険が適用できる特別養護老人ホームなどを探すと年金で介護費用を賄えることもあります。
要介護状態になる前にやっておくべきこと
各種介護サービスの詳細や、介護保険について調べて介護のイメージを掴んでおくことは大事です。しかし、それ以上に大事になるかもしれないのが親の貯金状態の把握、そして預金の仕方です。
親の貯金をアテにしていたのに、実際はほとんどお金がなかった……ということにでもなれば、親の介護どころではなくなってしまいます。
また、親が定期預金にして貯金していた場合では、本人の口からでないと定期を解約できないということがよくあります。
認知症や脳障害によって思考・言語能力を喪失した場合、預金すら下ろせない事態にもなりかねないため、普通預金口座に振り替えておくことも必要になるかもしれませんね。
まとめ
両親にはいつまでも健康に長生きして欲しいものですが、もしもの時の可能性に備えておくことはやはり大事です。
その時になって慌てないために、事前にシミュレートしておく必要性があるかもしれませんね。