女性特有の病気が心配? お金のことは早めの備えを
男性、女性ともにおよそ2人に1人が一生のうちに、がんと診断されるといわれています。医療保険には女性特有の病気に対して特化したものや、特約を付加するものがあります。保険に加入すれば安心は得られるものの、保険の掛金が家計を圧迫するようでは困ります。
そこで、女性特有の病気や入院のデータをもとに、保険の必要性を確認すると同時に、どう備えておけばよいのか考えていきましょう。
女性特有の病気になりやすいのはいつ?
女性特有の病気といえば、乳がんや子宮頸がん、子宮がんを思い浮かべる人が多いでしょう。国立がん研究センターの調べ(「最新がん統計」)によれば、2016年の女性のがんで罹患率(1年間に人口10万人あたり何例がんと診断されるか)が高い部位は、乳房、大腸、胃、肺、子宮の順になっています。
今やがんも早期発見ができれば、死ぬ病気ではありません。実際2006年から2008年にがんと診断された人の5年相対生存率は、女性は66.0%です。
次のグラフは、国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」のグラフデータベースをもとに、女性の年齢別に見た罹患率です(2015年)。
女性の年齢別に見た罹患率
国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」より
女性特有のがんでは、10代から30代にかけて子宮がんが多く、40代から70代にかけて乳がんを発症する人が多くなっていることがわかります。若いから大丈夫と思わずに発症のリスクがあることを認識し、健康診断やがん検診を積極的に利用しましょう。
妊娠や出産の時期にがんになってしまうと、その後の人生に大きく影響してきます。がん検診を自己負担で受ける場合、市区町村によって違いはありますが、400円から2000円程度で受診できます。
治療費はどのくらいかかる?
治療費に関しては、厚生労働省「医療給付実態調査」(2017年度)から、入院と入院外にかかる医療費を算出してみました。
医療費は3割負担の場合は、医療費(全額)に0.3を掛けた金額が自己負担額になります。実際には高額療養費を適用すると、自己負担額はもっと低い金額になります。
厚生労働省「医療給付実態調査」をもとに筆者作成
また、主な病気の平均入院日数は次のとおりです。1か月以上の入院は少ないことがわかります(厚生労働省2017年患者調査の概況)。
厚生労働省「2017年患者調査の概況」をもとに筆者作成
社会保険の制度と医療費控除のしくみを利用する
がんで入院すると、いくらお金がかかるのか不安に思う人は多いと思います。入院期間や症状で医療費は違ってきます。そんなときに助かるのが「高額療養費」です。
高額療養費制度では、医療費が高いときに、事前申請または事後申請によって、1日~末日までの1カ月の医療費が一定の自己負担で済むようになっています。年収が約370万円~約770万円の場合の実質の自己負担は約9万円です。
また、年間の家族の医療費が高額になった場合には、確定申告で医療費控除を利用することによって、所得税を減らすことができます。受け取った保険金などを差し引いて、実質的に支払った金額が10万円を超えた場合か、所得が200万円未満のときには総所得金額の5%を超えると利用できます。