投資初心者が知っておきたい「レバレッジ」株・FX・不動産のレバレッジとは

投資初心者が知っておきたい「レバレッジ」株・FX・不動産のレバレッジとは
資産運用

投資には独特の用語があります。すべてを覚える必要はありませんが、初心者が知っておきたい用語のひとつが「レバレッジ」です。

今回は、投資のキーワードであるレバレッジを解説します。

レバレッジとは?

レバレッジは、日本語に訳すと「てこ」のこと。「てこ」は、小さな力で大きなものを動かすことができる仕掛けです。

この「てこ」の働きをお金にあてはめたものが「レバレッジ」です。

100万円の資金で100万円を投資するのは普通の取引ですが、レバレッジをきかせれば、100万円より大きな投資が可能です。レバレッジは倍数で表すことが多く、「レバレッジ3倍」という場合は、100万円で300万円分の投資を行っているという意味になります。

どんな商品にレバレッジがあるの?

投資をして利益が出た場合、もっと大きく投資をしていれば利益も大きくなったのに、という気持ちにもなりますよね。

同じ5%の利益でも、元手が10万円では利益は5000円。しかし元手がもっと大きく100万円だったら利益は5万円、元手が200万円なら10万円にすることができるわけです。

投資に使えるお金がそんなにたくさんないから、とあきらめるのはまだ早い。10万円の元手にレバレッジをかければ、大きな取引も可能になります。

レバレッジが利用できる主な商品は、株式、FX、不動産です。

株の「信用取引」

株式投資は、通常の現物取引の場合、証券会社の口座に預けてある資金で、株式を買って、その後に売ります。買えるのは、口座残高の範囲内です。

ではレバレッジをかけた場合、どうなるか見ていきましょう。

株取引の場合、証券会社に自己資金を委託証拠金として預けると、その金額よりも大きな取引ができます。これを「信用取引」といいます。信用取引のレバレッジは、証券会社によっても差がありますが、基本的には3倍程度。

ちなみに楽天証券の場合は、下記の条件を満たすと資金の約3.3倍までの取引が可能です。

委託保証金と差し入れと委託保証金率

最低委託保証金:30万円
委託保証金率:30%以上

たとえば、自己資金が100万円あるとしたら、通常の株取引なら100万円分の株を買うことができます。株価が10%値上がりすると、100万円で買った株が110万円の価値になります。その株を売ったら10万円の利益が出るので、この時の利益率は10%です。

一方、信用取引を使ってレバレッジを3倍かけた場合は、100万円の自己資金で300万円の株を買うことができます。同様に株価が10%値上がりしたら、330万円になります。その株を売ったら30万円の利益なので、利益率は30%。レバレッジ効果で、利益率が大きくなります。

株の空売り

株の信用取引には、その他にも特徴的な取引があります。
そのひとつが、売ってから買う「空売り」です。

現物取引では、買ってから売る順番ですが、信用取引では逆ができるのです。株の利益は、安く買って高く売ることで得られますから、空売りは、値下がりしそうな銘柄を取引する時に有効であると言えます。

空売りの流れを見ていきましょう。
1. 証券会社から、株を借りる
2. その株を売る
3. 値下がりしたら株を買い戻す→売買価格差が利益に
4. 株を証券会社に返す

問題は、3の「値下がりしたら」の部分です。見込みどおり値下がりしたら買い戻せばよいのですが、逆に値上がりしてしまう場合もあり得ます。

値上がりはどこまで上がるかわかりませんので、損失が大きく膨らむ可能性があります。

値下がりはどんな場合でも0円よりは下がりませんから、損失が出ても買った金額だけで済むことと比べると、リスクの大きな取引であることがわかるでしょう。

たとえば、値下がりしそうな株式を100万円分、まずは売ります。その後、ねらいどおり値下がりして80万円になったら買い戻します。

すると、80万円で買って100万円で売っているので、「安く買って高く売る」ができています。よって、売買差額の20万円を利益とすることができます。

逆に、120万円に値上がりしてしまったら、120万円で買って100万円で売ることになります。「高く買って安く売る」ことになっているので、売買差額の20万円は損失です。

では、値下がりするまで待てばいいかというと、その限りではありません。

もし値下がりせず、値上がりし続けて150万円で買うことになれば50万円の損失、180万円なら80万円の損失と、値上がりすればするほど損失は際限なく増えていきます。

また、売買の期限が区切られている場合があります。

信用取引には、「制度信用取引」と、「一般信用取引」の2種類がありますが、制度信用取引の場合には、6カ月以内に買い戻さなくてはなりません。一般信用取引の期限は無期限など証券会社がそれぞれ定めています。

ただし、どちらも証券会社からお金や株を借りていますので、借りた分に金利がかかります。

楽天証券の場合、金利は年利2.8%、事務管理費が1株あたり11銭(税込)、名義書換料が1売買単位あたり55円(税込)かかります。

このように変動が大きいことと、日々コストがかかりますので、信用取引は比較的短期で売買する投資スタイルに向いています。

株主優待のただ取り

株の信用取引を利用すると、株主優待を有利に得ることもできます。
株主優待を実質ただ取りするには、次の順番で取引します。

1. 株主優待を欲しいと思う銘柄の株式を現物買いする
2. 同じ銘柄を1と同じタイミングで空売りする
3. 株主優待の権利を得たら、信用取引を現渡しで決済

現物取引とは、現金で株式を購入する取引、保有している株式を売却する取引を指します。信用取引は、現金や株式を借りて取引を行うことです。株式を借りられるので、保有していなくても売ることができます。

株を売った際の決済方法に、「現渡し」と「差金決済」があります。現渡しは株の現物を証券会社に渡す取引、差金決済は株のやりとりではなく売買差額を受け取る決済方法です。

株主優待ただ取りを目的とする場合には、差金決済ではなく、現渡しで決済します。

現渡しは株の現物を証券会社に渡す取引ですから、現渡しによって、現物株式と空売りを、1度の注文で決済=解消することができます。株価変化の影響を受けませんので、株主優待の権利落ち日以降の株価下落のリスクを避けられますし、手数料が無料なのもうれしいメリットです。

売買で価格変動による損益はほぼ相殺されるので、プラスマイナスゼロで株主優待を得られるのです。

ただし、株主優待の権利は、権利付き最終日までに所有しておく必要がありますので、売買日には要注意です。

大きいのは利益だけではない

株式の信用取引は、自己資金の約3倍の取引ができるので、利益が出れば3倍になって効率がいいと言えますが、損失を出すリスクも同様に大きくなります。

また、売買期限があるので短期での取引がメインです。

損失を小さくするには、あまり粘りすぎないことです。株価を追っていると、もう少し待てば…、と考えがちですが、あらかじめ決めておいた価格で損切りすることが大切。

タイミングを逸してしまうと、大きな損失を招きかねません。

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タケイ 啓子

ファイナンシャルプランナー(AFP)。 36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務...

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